遠藤和希
急激に進む円安で、輸入原料などを使う肥料や資材の値上がりに、農家が悲鳴を上げている。
さらに、高齢化が進む農家で、いまや農作業の重要な担い手となった外国人労働者の本国への送金が目減り。アジア圏からの働き手の確保に影響が出かねない状況に、関係者は危機感を募らせている。
9月中旬、農家数が全国一の長野県。南牧村の菊池雅美さん(68)は広さ約5ヘクタールの畑でレタスの収穫に汗を流していた。
一緒に働くインドネシア人のタウファン・ガニさん(31)は、5月に来日。特定技能の在留資格を持つ。
菊池さんは、昨年より1割近く増えた月末の肥料や資材の支払いのたびに、ため息をつく。化学肥料やその原材料は輸入に頼る。
だが、農産物の価格は卸売市場で決まり、多くの生産者は値上がり分を生産物に直接転嫁できない。
さらに、天候に恵まれて収穫の増えたレタスが今夏、一時値崩れを起こした。JA長野八ケ岳農業部によると、卸売市場で例年1ケース(16玉)1200円ほどだったレタスは、一時800円ほどに。
8月中旬までレタスや白菜を2割廃棄していた。値は反発し、一時1800円まで上がった。
JA長野八ケ岳農業部企画振興課の篠原康彦課長は「レタスはここ数年来はないような安値が続いていた。肥料の価格が1・5倍になったほか、種、燃料代などの値も少しずつ上がっている。来年はよりきついという印象がある」と語る。
国も肥料の価格高騰に対応して来年5月までの補助金を出しているが、先行きは不透明。「コストが上がっても、売れなければ価格を下げるほかない。もうけがなければ農業の魅力がなくなり、農家の担い手もいなくなる」
さらに円安が、外国人技能実習…