身体障害者であり、アスリートであり、夫婦であり――。東京パラリンピック・水泳代表の西田杏(26)と冬季北京パラリンピック・ノルディックスキー代表の森宏明(27)は2021年末に結婚した。1年後に迎えるパリ・パラリンピックを前に、自身の「障害」との向き合い方について語ってもらった。
西田 「最初に出会ったのは19年8月にあった日本パラリンピック委員会主催のアスリート研修会です。その後、私の大会に彼が応援に来てくれました」
森 「今でこそ、僕は義足の金属部分がむき出しですが、当時はスポンジ状のものを巻いていた。少し足の膨らみが出て、長ズボンで隠れると本当の足っぽく見えるんです」
「でも、研修会で出会った彼女は短パンを履いて義足がむき出しだった。席につくと、義足を取って自分の隣にぽーんって置いて。同じ義足ユーザーとして衝撃的でした」
にしだ・あん 1996年9月3日生まれ、埼玉県所沢市出身。生まれつき左腕と右足が短い。2021年東京パラリンピック水泳女子50メートルバタフライ(運動機能障害S7クラス)8位。シロ所属。
もり・ひろあき 1996年4月26日生まれ、東京都板橋区出身。高校2年のとき、交通事故で両足を切断。2022年北京冬季パラリンピック・ノルディックスキー(距離スプリント座位)で30位。朝日新聞社所属。
――森選手は高校2年のとき、車の事故で両ひざから下を切断しました。義足を見られたくないという気持ちがあったのでしょうか。
森 「周りに気を使わせたくないと配慮したつもりでスポンジをつけていました。また、『義足障害者の森さん』として見られるのではないかと。そこで交流が減るようなことをしたくなかった。でも、杏ちゃんと一緒にいるうちに、自分が気にしすぎていたのかなと思うようになってきました」
西田 「私は過ごしやすいように過ごしています。スポンジをつけると重くなって邪魔だなって。短パンは、夏だったし暑いし、着たい服を着ていただけです」
――結婚に至るまで、障害が2人の間に影響したことはありますか。
対談の後半では、自身の障害に対する考え方、パラスポーツ報道に思うことなどを語っています。
西田 「障害は私たちの中で全…