五輪とパラの二刀流をめざす 大学生スイマーの「信じられない」力
「ぬれますよ」
飛び込み台の近くにいた報道陣に声をかけてニヤリと笑うと、石原愛依(めい、21)はゴーグルをかけてプールに飛び込んだ。普段の練習と違ってギャラリーがいるのを楽しむかのように、水中でスピードを上げていった。
5月、神奈川大横浜キャンパス(横浜市)で水泳部の練習が公開された。報道陣の視線とカメラは一斉に石原を追った。
その理由の一つが、彼女が掲げる目標にある。
「五輪とパラリンピック、どちらの出場も目指す」
保育園に通っていた頃に水泳を始め、ぐんぐんと力をつけていった。中学3年の時、全国中学大会の200メートル個人メドレーで優勝した。高校3年の時には世界ジュニア選手権の200メートル個人メドレーで3位に入った。
神奈川大の舟橋道成監督は、石原が高校1年の頃に一目見て「この子は面白い」と感じたという。
中でも目を引いたのが平泳ぎだった。ひざ関節が柔らかく、足も26センチ台と女子選手としては大きい。効率よく水をかくキックが当時からできていた。「日本のトップレベルになる」と確信した。
石原は、舟橋監督の誘いを受けて神奈川大に進学した後も順調に結果を残した。日本学生選手権では、2年の時に200メートル平泳ぎで2位、200メートル個人メドレーで3位に入った。
ある違和感を覚え、舟橋監督…