スペイン北東部カタルーニャ自治州で新学年が始まった今年9月から、5校の公立校が日本語の授業を選択科目として採用した。現地で普及活動に取り組む日本の関係者も「過去に例がない広がりだ」と驚いている。州都バルセロナで知られる同州で、急速に高まる日本語熱の背景には何があるのか。

 「きりーつ、れーい、ちゃくせーき」

 バルセロナ近郊にあるムンサラット・ロッジ中高等学校。中学2年の生徒を対象に新たに開講した日本語の授業は、日本の学校と同じ風景から始まる。日本語のかけ声に合わせて17人の生徒が頭を下げると、教諭のセルジ・ガルセス・クララムンさん(49)が「みんな元気?」と軽快に日本語で話しかけた。

 10月18日の授業は、あいさつがテーマだった。漫画風のイラストを使った会話向けの教材もあり、生徒たちは日常生活の場面を想定しながら、「こんにちは」や「ありがとう」などの言葉を学んでいく。クララムンさんは「生徒たちは日本語を学ぶ意欲が強く、教えがいがある」と話す。

 同校では必修の英語以外の外国語は、昨年までは選択科目としてフランス語と古代ギリシャ語、ラテン語しかなかった。そこに今年から中学2年の選択科目として日本語が加わった。学年の生徒の半分に当たる60人が日本語を選択。来年度には他の学年でも開講を計画している。

すそ野を広げた日本の「ソフトパワー」

 生徒のアニョル・パスクオルさ…

この記事は有料記事です。残り1495文字
ベーシックコース会員は会員記事が月50本まで読めます
続きを読む
現在までの記事閲覧数はお客様サポートで確認できます
この記事は有料記事です。残り1495文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料記事です。残り1495文字有料会員になると続きをお読みいただけます。