聞き手・小村田義之
黒柳徹子さんの大ベストセラー「窓ぎわのトットちゃん」の続編が出版され、アニメ映画も公開されました。先の見えない不安な時代を、自分らしく生き抜いてきた黒柳さんに、戦争体験や平和への思い、いまの率直なお気持ちをうかがいました。
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――「窓ぎわのトットちゃん」に書かれた子どもの頃、東京の北千束に住んでいたんですね。
「そうです。地元の小学校に入学したんですけど、すぐに退学させられて。でも、私を外に出してくれたことには感謝しています。それでトモエ学園にも行けたし、校長の小林宗作先生にも出会えたんですから。あのままだったら、『あれはいけない』『これもいけない』とばかり言われて、ろくな人生じゃなかったと思います」
――塞翁(さいおう)が馬と言いますが、何がいいかわかりませんね。
「小林先生は私と会うたび、何度でも『君は本当はいい子なんだよ』と言ってくださいました。でも、思い出すと、『本当は』という言葉がついていたなと。『君はいい子だよ』じゃなくて、『君は本当はいい子なんだよ』。良くないところもあったのかもしれない」
「いい先生でした。あの先生に出会わなかったら、こんなふうにはならなかったと思います」
――「そのままでいい」と認めてくれたんですね。時には変えない方がいいこともあります。
「そう思います。最近知った、こんな言葉があるんです。『神よ我に与えたまえ。変えるべきことを変える勇気と、変えられぬことを変えない冷静さを、そして、その二つを見分ける英知を』。米国の神学者ニーバーの言葉で、すごいな、と思いました」
「私の性格は小さい時から、本質的には変わっていないと思います。変えるか、変えないかを考える時、今の時代に大事だと思うのは、誰が何と言おうと、自分がいいと思ったら、平和の方に賛成する。私の基準は、平和かどうか、ということです」
――テレビ朝日の番組「徹子の部屋」でのやりとりも、平和を基準に考えているんですか。
「だいたい、そうですね。私は…