高橋健人
(27日、全国高校バスケットボール選手権 ウインターカップ男子準々決勝 福岡第一○74―71●京都・東山)
第4クオーターの残り1分2秒、東山は1点差まで詰め寄られていた。
ポイントガードの瀬川琉久(2年)がファウルをもらって、フリースローを得た。
前半からチームを牽引(けんいん)し、消耗し切っていたエースに背番号4の佐藤友(ゆう)(3年)が近寄った。
瀬川の背中に右手を添えながら、「慌てるな。慌てるな」。
自分も左足をつり、体力は限界だった。
疲労を態度に見せず、声を絞り出して励ましていた。
佐藤友は、新潟市で生まれ育った、4人きょうだいの末っ子。姉3人の影響で、小学2年からバスケを始めた。
190センチに迫る長身を生かして得点を量産するプレースタイル。中学3年では新潟アルビレックスBB・U15(15歳以下)チームで主将を務め、中学世代の日本一を決める「ジュニアウインターカップ」で16強に進んだ。
全国の強豪校から声をかけられたが、進路先には東山を選んだ。
練習の8割を攻撃に割く、超攻撃型スタイルに共感したのが理由の一つ。
そして、1年生から出場機会をもらえる可能性が高かったことに気持ちを動かされた。
入学直前に左ひざの後十字靱帯(じんたい)を部分断裂したが、復帰したばかりだった6月の近畿大会でいきなりスターターで使ってもらった。
2021年のウインターカップでは高校での全国デビューを果たす。初戦で27点を挙げ、敗れた次戦でも21点を取った。「1年生スコアラー」として将来を嘱望された。
そのあと、歯車が狂いだした。
新チームでは下級生ながら背番…