黒田陸離
拡大する光の室内練習場で打撃練習をする谷川忠幸副主将。「甲子園に出たことで、卒業後も野球を続けたいと思った」という=2024年7月2日午後0時55分、山口県光市光井6丁目、黒田陸離撮影
第106回全国高校野球選手権山口大会の開幕を目前に控えた7月上旬、光の室内練習場には小気味よく打球音が響く。だが定期試験中の自主練習日で雨天だったこともあり、バットを振っていたのは10人ほどだった。野球部で17年間指導する川上健一郎部長(63)が首をかしげる。
「今年の新入部員は多いと思ってたんですけどね……」
光は山口県東部の瀬戸内海を臨む県立校。一昨年の秋に地元出身の選手のみで中国大会で準優勝し、初出場した昨春の選抜大会で甲子園初勝利を挙げた。その活躍を見て進学した今年の1年生は相当増えると見込んでいたが、ふたを開けてみると選手は昨年と同じ15人にとどまった。現在は選手40人、マネジャー10人で活動している。川上部長は「ぜいたくだとはわかっているんですが、甲子園に出れば(部員が)増えるという話でもなくなってきている」と話す。
拡大する昨春の選抜大会に出場した光の選手たち。優勝した山梨学院との3回戦でも先制点を挙げ、川上健一郎部長(奥)もベンチで選手をたたえた=2023年3月27日午前9時14分、阪神甲子園球場、滝沢美穂子撮影
今夏の大会に向け、朝日新聞では「部員数確保の工夫」について全国の高校に尋ねた。その中で「グラウンドの貸し出し」を挙げた学校がいくつかあった。光もそのうちの一つだ。
日本高校野球連盟の規定では、…