1971年大阪府生まれ。大阪外国語大学、名古屋大学大学院を経て、香港大学教育学系Ph.D(博士)取得。在中国日本大使館専門調査員、早稲田大学准教授などを経て、2013年より東京大学大学院准教授、2020年より同大学院教授。現代中国の政治・社会変動、農村の社会関係資本、農村から都市へ向かう出稼ぎ労働者、土地・戸籍制度、知識人や市民社会の動向などを研究している。主な著書・共著書に『香港 あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ、2020年)、『超大国・中国のゆくえ5 勃興する「民」』(東京大学出版会、2016年)、『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告』(新潮選書、2014年)など。
広東省広州市の番禺区には、私も調査で訪れたことがある。広州市に戸籍を持たず、急に解雇されても生活保護や失業手当を得ることのできない「外地」の労働者たちが主に働いている。景気が悪化している今、長期契約の形ではなく日雇いや短期間の契約で雇用され
米国が対外援助を一時停止し、今後のODAのあり方を見直している中で、日本は何ができるのか。世界のルールは先進国だけで決められるわけではないが、政治・経済面において多くの課題を抱えている開発途上国のサポートにおいては、より主体的に日本が提示す
「台湾サンダル」というのを知らなかったので、興味深く読みました。なぜ「台湾サンダル」って日本語で呼ぶのかなと思い、このサンダルを売る台湾の会社「江湖跑堂」調べてみると、台湾アイデンティティをかなり意識したラインナップを揃えていますね。「台湾
基礎教育を受ける小中学校で、子どもが外で走り回って遊ぶのではなく、教室で横になって睡眠を取らなければならないほど疲れ果てている。中国の学校で、休み時間の「目の体操」(目やその周辺のマッサージ)や机に突っ伏しての仮眠はよくみられる光景だ。子ど
子どもが親と、自分の民族の言葉で話せなくなるような教育がいいはずがない。学校でチベット語ではなく、標準中国語で学んで成長した子どもが、標準中国語がうまく話せない親を批判することもあると聞いた。これはとても悲しい現実だ。中国政府には、チベット
「私たちの東京ストーリー」、これはぜひ見たいです!ドキュメンタリーだったらもっと価値が上がったでしょうが、今の中国の情勢では、リスクを考えると取材を受けられない人が多いのではないでしょうか。私も日々、中国の友人たちや若い人たちの悲喜交々、さ
中国ではSNSの投稿は次々に削除され、経済的・社会的弱者や不当な扱いを受けている人たちの声はますます聞こえなくなっている。中国のような権威主義国家だけでなく、民主主義の理念を理解しない政治権力者やデータをコントロールする巨大資本が勢力を誇る
初公判と判決のいずれでも、日本への言及はなかったという。外務省によると、地裁は「今回の犯行は借金苦から生きているのが嫌になり、子どもを含む3人を殺傷したもので、その犯行は極めて悪辣」と批判し、「社会的影響が重大であって、極刑が相当」と判断し
「八失人員」というのは、八つの挫折を味わった人、つまり、八つの敗者を意味する。努力が報われ、能力が正当に評価される社会で競争に負けたとしても、恨みを抱かないだろう。しかし、中国の社会保障は大都市、中小都市、農村で条件が大きく異なるし、大学入
裁判を公開し、被告の動機や事件発生の状況の詳細を解明することが、今後類似の事件発生を防止することにつながる。社会問題の分析に役にたつ情報を得ることもできるはずだ。仮に、同様の事件が日本で起こり、中国人に被害が出たとしても、徹底した調査と説明
この記事でも「汚職摘発の手を緩めない姿勢を強調し、引き締めを図る狙いがある」と書いているように、中国の反腐敗運動は権力闘争の中で利用されている側面がある。もちろん、汚職の取り締まりは重要だが、権力を利用して政敵をたたく側面が強くなれば、人間
香港の国家安全維持法と日本の治安維持法、私にとっては研究者として、一市民として活動を続ける中で、とても身近で重要な学習のテーマです。私が暮らす中野区には、戦前戦中に多くの政治犯・思想犯が収監された豊多摩監獄(中野刑務所)の正門が残っており、
「食を守ることは反戦的な営み」とても強く共感します。食べることは、人間にとって最も基本的な営みであり、最も基本的なニーズ。どの国の、どの政治的ランクや経済的レベルの人間も、安全と健康を必要としています。すべての人間のBHN(Basic Hu
メディアを通して残酷な戦争の現実に接しても、自分はどう向き合ったらいいのか、わからないで悩む人が少なくない。この記事は、身近な食べ物を通して戦場に思いを馳せ、食卓での会話を大切にしたいと思わせてくれる。戦争によって、ウクライナの女性はこれま
思い描く政策をめぐる競り合いが、権力をめぐる争い、足の引っ張り合いに変わるこの歴史的事例を、今日の政治家はどのように受け止めるのか。政策論争における「フェアプレー」とは?その基準がより明確になれば、議論をとことん深め、負けを潔く認めることが
民主主義において、公共の課題を多数決で決めるのに、少数派を抑圧することがあってはならない。多数派は、民族的背景、宗教上の信念、地理的要因、所得水準における少数派の言論の自由、信仰の自由、法の下で正当な手続きと平等な保護が得られる権利、集会結
私が大学生で初めて中国を訪れた時、「地球の歩き方」に書かれていたのは、まだ社会主義の文化が色濃く残る中国社会に関する注意事項でした。商店で商品があるか聞いても、店員が探すこともなく「没有」(ない)と答えたり、お行儀よく並んでいても列から横入
中国では中国国家インターネット情報弁公室や各地域を管轄する公安ネットワークセキュリティ部門が情報の検閲や削除を行なっている。台湾有事や処理水の問題があるとはいえ、日本政府が尖閣諸島を国有化した翌年の2013年のように大きな出来事がないにも関
ユニクロは人権団体やウイグル人の団体などからも継続的に批判を受けてきた。欧米メディアの取材に対して、「ノーコメント」では済まされなかったのだろう。しかし、本当に使っていないのであれば、事実を述べただけだ。消費者によく知られているブランドは中
董郁玉さんのご家族によると、判決は口頭で言い渡され、家族にも書面の判決文を渡していないそうです。口頭で伝えられた内容によると、日本人外交官8名が「事件の代理人」として名指しされ(伝えたのは某〇〇など名前の一部のみ)、北京の日本大使館「スパイ