専攻は労働社会学。会社員、フリーランス経験を活かし、多様な視点から働き方事情、大学生の就職活動などを中心に、執筆・講演など幅広く活動中。『僕たちは育児のモヤモヤをもっと語っていいと思う』(自由国民社)、『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社新書)、『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞社)、『「就活」と日本社会』(NHK出版)など著書多数。北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業、同大学大学院社会学研究科修士課程修了(社会学修士)。リクルート、バンダイ、ベンチャー企業、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師(現在は准教授)。
■スポンサーの姿勢も問うべきだ「総合的に判断して決定した」と言わせるな 良インタビューだが、そうであるがゆえに見出しで判断せず最後まで読んで欲しい。実はスポンサー側の姿勢についても、論じている。黙ってメディアへの広告を中止してはいけないと
■雑な採用が企業を、社会をダメにする ちょうど10年前、16卒採用では第二次安倍政権での若者・女性フォーラムでの検討をもとに、当時の安倍首相から経済団体トップに就職活動の時期を繰り下げるよう要望され、経団連の「指針」が変更となり、採用広報活動の開始時期が採用広報活動は大学3年の3月、選考活動は大学4年の8月となった。この大きな変更の際は企業も大学も、今では考えられないくらい事実上の新ルールを意識していた。しかし、現状では、早期化、形骸化が甚だしい状況になっている。 思えば、日本の就職活動の歴史は、時期論争の歴史でもあった。「六社協定」と呼ばれる、就職活動時期に関する最初のルールができてからもうすぐ100年だ。何度も就職活動の時期が早いと批判され、見直され、形骸化してきた。星野リゾート、無印良品などのように、大学1、2年生を選考対象とし、早期に内定を出す企業もある。リクナビもリモデルを実施し、大学1年生から登録し、キャリア形成支援ツール、インターンシップ検索ツールの要素が強くなった。 もっとも、ごく普通の私学でキャリア形成支援・就職活動支援の現場にいると、この「早期化」についても立ち止まって考えなくてはならないと考えている。たしかに、就職情報会社各社のデータを見ると、早期内定が顕著であるように見える。しかし、このデータ自体、就職活動に前のめりな学生をモニターにしたものであり、現場の感覚とはややずれる。たしかに早期化しているものの、ごく普通の私学では、これから髪の毛を黒くして始める者も多数だ。また、この内定率データのミスリードにも気をつけたい。「もうみんな内定が出ている」「今から始めても無理なんだ」というように求職者が思い込まないよう、大学関係者は学生のフォローが必要だろう。実際は、「早期化」しつつも「長期化」「分散化」しているのもまた現実だ。大学4年の夏から始めても、大手企業に内定はする。 この件、早期化の是非、さらには学業阻害が論点となるが、前者については果たして悪なのかという論点もあるだろう。早期に内定し、残りの学生生活を充実させたい、進路を確定させ、大学後半の学びのポイントをより明確にしたいという学生に、大学教員はどう向き合うか。同じ早期化でも、通常の学期中は積極的に就活を行わず、土日や夏休み中心に行うと、また話は変わってくる(採用担当者のライフワークバランスに影響を与えるし、夏休みも学びの機会だと捉えると、また問題となるのだが)。現状、企業による内定取り消しは問題となるし、それをめぐる判例もあるが、求職者による内定辞退は自由に行うことができる。 むしろ、早期化ではなく、雑な採用が跋扈していることが問題ではないか。よく、「Fランク大学(という言い方も良くないのだが)」と呼ばれる大学を揶揄する際に、「名前を書ければ通る」という都市伝説があるが、実際に明らかに雑な、一見すると「人物重視」などとうたっているものの、名前を言えるレベルしか見ていないのではないかと疑うような採用活動を見聞きする。やや言いにくいが明らかに基礎学力にも、生活習慣にも問題がある学生にあっという間に内定が出て「この学生に、内定を出すのだ」と思う瞬間もある。入社後のミスマッチ、早期離職が懸念されるのは言うまでもない。 また、就活のノウハウを知るプラットフォームも就活マニュアル本やキャリアセンターの指導からYouTubeに移行している。YouTubeはサクッと、ズバッとがポイントで、「バイトの話は一切するな」というような、見ていてわかりやすいものの、そう断定するのも危険なノウハウが流布している。学生もあまり考えずに、これらのノウハウを聞きかじり、内定する。「雑」の連鎖が続く。 雑な採用は企業を、社会を劣化させる。それでも目先の数字をあげるために、採用担当は奮闘し、疲弊する。 就職氷河期、リーマンショック後のように、高等教育機関を卒業しても仕事がない状態よりはずっとよい。ただ、採用活動の劣化が招く不幸を直視したい。
■朝日新聞こそThink Genderだ 高橋純子、岡崎明子はなぜ執行役員になれないのか? おーとこ、おとこ、おーとこ、おとこと、少し前に流行った、今、歌うと別にナウくない”A.P.T"のメロディで歌ってしまった。この書き出し、タカジュン
■働きやすさか、働きがいか、働きごこちか 審査員を担当した。大変に面白い仕事だった。受賞企業は中堅・中小企業が中心だ。それぞれの創意工夫が興味深かった。 斬新な取り組み、ユニークな取り組みがあったかというと、必ずしもそうではない。ただ、
■「自己責任グセ」を粉砕せよ 「自己◯◯」「クソゲー社会」をこえて これは良インタビュー。いや、私がよい話をしているのではなく、高橋記者のインタビュースキルおよび筆力が素晴らしい。「自己責任グセ」の粉砕という、拙著『50代上等!』(平凡社
■「少子化対策」の「反省」を 残念ながら予想通りの結果である。記事の最後に「24年に国内で生まれた日本人の子どもは、70万人を下回る見込みとなっている」とある。これが現実だ。 ここで立ち止まって「少子化対策」の敬虔な「反省」の機会を持つ
■スマート家電の曖昧な不安 アップル製品で身を固めつつも、隠れ情報弱者なのだが、それはいいとして、この手の話に対しては曖昧な不安を抱いてしまう。便利な商品・サービスではあるが、ライフログを取られてしまうのではないか、人々の生活者としての行
■明るい札ド計画を考えよう 全部札幌ドーム、米津玄師のせいだ。先日、仕事で札幌に行ったのだが、3連休でも1.2万円程度の宿が2.8万円だった。札幌ドームで米津玄師のライブがあったことが影響している。札幌は7大都市の1つであり、政令指定都市
■ダイヤモンドだねー 伝統メディアはすごい、という話だと思う 読者にとっても、関係者にとっても大問題のようで、「やっぱり伝統あるメディアはすごいや」という話だと私は解釈する。フジを叩くことを目的化しているわけではなく、センセーショナリズム
■MAD映像サイトが世界を動かすまで YouTubeと出会ったのはまさに20年前だった。当時はMAD映像と呼ばれる、著作権などどこ吹く風で、アニメなどの動画を加工した動画が投稿されていた。やや時期は不明だが、初期だと思うのだが、『北斗の拳
■大雪に関する知識を「自分ごと」に 「あ・・・ありのまま 今起こった事を話すぜ!」と、誰にでもわかるように、ジョジョの奇妙な冒険のポルナレフ風に言うのだが、今週の山形出張は新幹線の異音トラブル、そして大雪でスケジュールが乱れまくりだった。
■テレビとは何か、スポンサーとは何か 「フジテレビ問題、鹿毛さんの話を聞いてみたいな」と思っていたら、超絶良記事が掲載されていた。声に出して読みたい記事である。鹿毛氏は、記事中にあるとおり、エステーで長年、宣伝部長を務め、数々の名CM、く
■「はたらく人」の前提を見直そう 日本の労働社会を読み解く上で、おさえておきたい記事だ。先日、講義の中でアイスブレーキングで「いまどきの社会人をイラストに描いてみる」というワークにとりくんだ。男性ではなく女性を、しかもいかにもスーツ、スカ
■雑な「大学多すぎ論」に終止符を 大学批判は、ウケる。少子化、さらには人口減少、地方においては人口流出などが進む中、大学は多すぎないかという議論である。まして、定員割れしている大学、低偏差値大学などをFランク大学などと揶揄する声もある。特
■記者会見の本質は変わらない 報道機関とは人々の「知りたい」にこたえる機関である(はずである)。フジテレビが報道機関として機能していなかったことはこの会見で明らかになったのではないか。「知りたい」にこたえていなかったからだ。さらには、アッ
■フジテレビ労組による草の根からの改革を期待する。 山一證券経営破綻時の「社員は悪くありませんから」という当時の社長の言葉、そして、SMAPの「夜空ノムコウ」の「あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ… 」という歌詞が頭の中をぐるぐ
■若者のパッションを称賛しても、バカにするな!今日が人生で一番若い日! レペゼン50代として言いたいことがある!北九州の若者、城真弓、武内市長に感謝!新成人も50代の私も今日が人生で一番若い日、そして昨日、死んだ人が生きられなかった日を生
■新卒初任給アップとは何を意味するのか? なぜ、新卒初任給が上がっているのか?多くの場合、「人材獲得のため」という答が返ってくるだろう。では、その「人材」とはどのような人を指すのか?実はこれが論点だ。その企業の採用競合とはどのような企業か
■「ブルハ 尾崎 永ちゃんが教科書」の生きづらさ この手の若者論は「意識」の変化で片付けてはいけない。さらには「生き方」という美名で語られる理念や理想「だけ」で考えてはいけない。マルクス的な考え方だが理念や理想の下にある物質的基盤の方がよ
■50代の転職、移住は「冷静と情熱のあいだ」を大切に エア転職、エア移住のすすめ 50代からの生き方を考える上での良記事である。棟形祐水の筆が冴え渡っている。 ただ、タイトルから若干、美談、牧歌的な印象を受けるかもしれない。本文をよく読