明日葉のビール!神津島で唯一のクラフトビールに込められた思いとは【別視点ガイド】

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みなさんはブルーパブをご存じだろうか。

ブルーパブとは小さな醸造所つきのパブのことである。作りたてのクラフトビールをその場で飲める地元密着型のお店というと分かりやすいかもしれない。

なんだか考えるだけで心が躍る存在だ。

 

ところで先日、東京都の離島のひとつ、神島へ行ってきた。

なんでも神島には唯一1軒だけブルーパブがあるという。小さな離島では一体どんなビールを作っているのだろうか。面白い出会いがありそうだ。

気になったので、お店にお邪魔させていただいた。

 

島で唯一のブルーパブ、「Hyuga brewery(ヒューガブルワリー)」

日が暮れてすっかり暗くなった村落の中で、あたたかな光を放つお店、それが「Hyuga brewery」だった。

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光に誘われるようにフラフラと、腹ペコの団体で押しかけた。

 

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入ってすぐにビールの醸造所がお出迎え。

 

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所狭しと並ぶ大きな銀色のタンクに、ワクワクが止まらない。気分は社会科見学だ。

 

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この大きな袋には麦芽が詰まっているのだろうか。

 

よく見ると「GERMANY」の記載がある。単純なもので、ドイツからやって来た袋を眺めているだけで、喉が鳴りそうだった。

 

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クラフトビールは仕込みから出来上がるまで約20日間もかかるらしい。

今まで何の気なしにビールを飲んでいたが、改めて工程の数々を見ると、とても手間がかかっているのが分かる。

ビールを作る大変さを知ると同時に、一体どんな味のビールが飲めるのか、たまらなくなってしまった。

 

個性豊かなクラフトビール。絶妙な味のバランスの明日葉ビール

一刻も早くビールをいただくべく、さっそく隣のパブでクラフトビールを注文することに。

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▲黒板に書かれたクラフトビールのメニュー

 

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▲左から「アンジー」、「燈(アカリ)」、「爽(サワ)」(各700円)。全てこちらで作られたクラフトビール

 

私は「燈(アカリ)」を注文した。ブラウンエールという種類のビールだ。

口に含むとカラメルのようにほんのり甘い。おいしい! グイグイ飲んでしまった。

この日は5人でお邪魔していたので、それぞれのビールを飲み比べてみたのだが、私はバレないよう早々にブラウンエールを自分の手元に回収した。独り占めしたかったからだ。「燈(アカリ)」は私のものだ。

 

「爽(サワ)」はライトエール。色白だ。すっきりとした苦味の中に、強い華やかな香り。名前の通り、爽やかでキリリとした味わいだった。

同じビールなのにこうも味が違うものか。

 

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▲ご機嫌で「アンジー」を飲む

 

「アンジー」はひと味違う、明日葉の風味がするビール。

飲む前は「ビールに明日葉?」と、正直イロモノではないかと疑っていた。ところが満場一致で全員がおいしいと絶賛したビールだ。

明日葉は神島などの伊豆諸島に自生するセリ科の植物で、なんといっても独特な香りが特徴だ。ひょっとしたら苦手な人も多いかもしれない。

でもビールと合わさると最高。お互いの苦みと香りを尊重し合う組み合わせだ。お似合いすぎてビールと明日葉の脇腹を肘で小突きたい。ナイスカップルだと。

 

島の恵みを生かした絶品料理

ご機嫌で料理もたくさん注文した。

なかでも絶品だった島の恵みをいかした料理をご紹介したい。

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▲干物パスタ(860円)

 

干物なのにおしゃれだ。盛り付けがおしゃれなのにボリューミーときている。味も干物のうま味がパスタに絡んですごくおいしかった。

「女」に「干物」を付けた「干物女」はネガティブな言葉なのに、「パスタ」に「干物」が絡んだらこんなにポジティブな存在になる。あっぱれ干物パスタ。

 

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▲明日葉ピザ(900円)

 

こんなにも明日葉がたっぷりとのったピザを見たことがあるだろうか。

これがまた予想外なおいしさで、あっという間にお皿の上から無くなった。明日葉パーティー大盛況。

 

明日葉は下処理で湯がいているそうで、確かに嫌なえぐみが全然なかった。

驚いたのは明日葉とツナマヨネーズとのハーモニー。意外な組み合わせに思えたが、島の家庭料理ではポピュラーな組み合わせらしい。私もまねして作って、さり気なく料理上手を気取ろうと思う。

 

島でブルーパブを経営し、クラフトビールを作り思うこと

ビールもおいしいし、料理もおいしい。神島にこんなに素晴らしいお店があるとは。

オーナーの宮川さんにお店についてお話をおうかがいした。

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ーー神島唯一のブルーパブとのことですが、どのようなきっかけで始められたんですか?

 

十数年前に親戚から酒販店を引き継いだのですが、もともとビールを作ってみたいという思いがありました。島にはきれいな湧き水があるので、それをビール作りにいかせないかと思っていて。 

それで最近、東京オリンピックが決まってから、これは東京の島を外に周知してもらうチャンスじゃないかと思ったんですよね。

そこでビールを作りたいという思いが再燃したのがきっかけです。

 

ーー確かにビールって手に取りやすいですもんね。

 

最終的にはビールをボトリングしたくて、今クラウドファンディングで資金を募っているところです。

ボトルビールを外へ売り出すことで、神島を知ってもらうきっかけになってほしいと思っています。

 

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ビールは素材として面白いと思うんですよ。

今お店で出してる明日葉のビール「アンジー」もそうですし、もちろん神島だけじゃなくて、例えば新島ならトマトなりの特産を仕込んだビールとか。

ゆくゆくは各島々の特色をいかしたビールを売り出していきたいと思っています。

ただ、苦労する面も多いですね。

 

ーーどういう点で苦労されているんですか。

 

島ならではの苦労なんですが、送料などでコストがかかること。

あと難しいのは税務署とのやりとりですね。

 

ーー税務署!

 

島なので税務署へ簡単に出向けないので、やりとりに苦労します。

あとお酒にかかる税金ですね。お酒って原料とか分量、アルコール度数などで税金が変わるんです。ビールでいうと麦芽の割合なんかも。

 

ーー税金。思いつきもしませんでした。

 

なので、お酒って味だけで適当に作ればいいというものじゃなくて。税金の兼ね合いも考慮しつつ、適切な割合のレシピを考えるのは大変ですね。

苦労もありますが、スタッフと試行錯誤を重ねながら頑張っていきたいと思っているところです。

 

ーーそうなんですね。今回はお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

 

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▲オーナーの宮川さん(左)、マネージャーの桑田さん(右)

 

今回、「Hyuga brewery」でお話をおうかがいして、外へ発信することを目的にしているのは意外だった。ブルーパブやクラフトビールに地元密着型のイメージがあったからだ。

島をはじめ、各島々のビールを手軽に飲める日が来るのも近いのかもしれない。とても楽しみだ。

 

お店情報

Hyuga brewery(ヒューガブルワリー)

住所:東京都神島村142番地
電話番号:04992-7-5335
営業時間:18:00〜23:30
定休日:月曜日
ウェブサイト:神津島観光ガイド

 

書いた人:かとみ

松澤茂信

平日は秘書をしながらマジメな雰囲気を出しています。だいたい甘いもののことを考えています。

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