マルチ
それは兎も角、私は使い捨てのプラスチック製(ポリエチレン)のマルチを使う事には反対です。現在、プロの農家の場合は、(そういう指導を受けて来たので)やや仕方ない面はあるやも知れませんが、趣味の家庭菜園程度でプラスチックマルチを使うくらいなら、家庭菜園での畑作りをやめるべきであると思います。
趣味などで家庭菜園をやっている方は、有機無農薬でやっている方が多いのですが(肥料は化学肥料を使っても、農薬は使わない方が多いようです。)プラスチック製(ポリエチレン)の黒マルチを使う人はかなり多いようです。TVの趣味の園芸の時間などでも平然とプラスチック製のマルチを使うことを指導しています。マルチは苗を植える部分に穴を開けるし、切れやすいので再利用は困難です。使用後の回収率はいいと言いますが、畑の周辺に放置されたプラスチック製マルチは良く見かけます。そして、リユースではありませんから、再生と言っても溶かして作り直すエネルギーを使います。宜しくありません。
因みに私の家庭菜園は、あまりマルチはしませんが、する場合は、有機物・・・頂いた藁、米の籾殻、なども使いますが、主に抜いた雑草が即有機マルチです。(笑)それが最良の方法だと思います。始末する必要がなく、そのうちいい堆肥になり、畑を全く汚染しません。
数年前に新潟で農業を始めた知人から、この春、有機無農薬農業をやっている方は除草剤を使わずに田んぼの除草はどうしているか聞いて欲しい・・と言われました。田んぼの雑草の除草はかなり大変だと聞きます。早速有機無農薬農業をやっている親しくしている方に尋ねたところ、「紙マルチ」を使っているとのことでした。稲の苗の間に紙マルチを敷くのは大変だろうと尋ねたところ「百聞は一見にしかず」だからと田植えを見学に行くことになりました。そして5月15日(土)に見学に行って参りました。
なるほど、こう言うことだったのです!『紙マルチ田植え機』と言うのがあったのです。代掻き後の田の面に、紙マルチ(再生紙)を敷くと同時に紙マルチの上から田植えを行う機械です。(敷いた直後の紙マルチを突き破って苗を植えていくのです。)こりゃあすごいと思いました。日本人が工夫して考えそうな凄い機械だと思いました。 鳥取大学の先生が考案した機械だと言う事です。
この田の持ち主というか、小さな農業法人の主は、西日本出身の若い彼に、稲作を全部任せています。その彼に色々尋ねて見ました。紙マルチは田植え後、2ヶ月ほどで溶けるそうで、紙が溶けた炭素もいい肥料になるそうです。(ただし、その炭素の事を計算して田んぼの土を作って置くそうです。)この辺の田植えの時期は5月半ばから6月上旬です。7月半ばまでは紙マルチの効果で雑草はほぼ生えて来ません。そして7月半ば頃から主にクサムネと言う雑草がちょこちょこ生え出すので、お盆の頃からその雑草だけ軽く手作業で抜くそうです。
目から鱗の紙マルチ田植え機でした。因みにこの紙マルチ田植え機を導入しているのは周辺の農家では此処だけだそうです。有機無農薬でコメ作りをしている農家がそもそもあまりありませんから、当然かも知れません。
しかし、世界的に有機無農薬農業が評価されている現在、有機無農薬農業に対する意識が非常に遅れた日本でも、ようやく農水省が2050年までに有機農業を100万ha(全体の25%)に拡大することを目標に掲げました。これからこの紙マルチ田植え機は多くの農家が導入するやも知れません。
除草剤を撒いたり、プラスチックのマルチを敷くのに比べれば、紙マルチはずっといい方法だと思います。畑でもプラスチックフィルムを使うくらいならば、紙マルチ(古新聞紙とかでも十分でしょう。)を使うべきだと思います。
勿論、私の家庭菜園は、これからも有機マルチ(草、落ち葉、藁、米の籾殻・・)しか使いませんし、そのメインは抜いた雑草です。
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