自戦記15 対角道オープン三間飛車
こんにちは
第34期女流王位戦が開幕しましたね。第一局が行われ、挑戦者の伊藤沙恵女流四段が里見香奈女流王位に勝たれました。里見女流王位の向かい飛車に対して、伊藤女流四段が居飛車銀冠穴熊で対抗した将棋でした。最後まで穴熊の玉が遠かったです。伊藤女流四段の強い受け、良くなってからの丁寧な寄せが光りました。次局以降も楽しみです。
里見香奈|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
伊藤沙恵|女流棋士データベース|日本将棋連盟 (shogi.or.jp)
さて、今回は私の将棋をご紹介しようと思います。私が先手番で対抗形の将棋となりました。
初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △3五歩
▲2五歩 △3二飛 ▲4八銀 △6二玉
▲6八玉 △7二玉 ▲7八玉 - 図1
お相手の方が角道を開けたまま三間飛車にされてきました。飛車を振ってこられた瞬間に、▲2二角成~▲6五角打とする将棋もありますが穏やかに指すことにしました。
図1から
△3四飛 ▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀
△3二金 ▲4六歩 △3三銀 ▲4七銀
△6二金 - 図2
△3四飛と浮き飛車にされた瞬間に▲2二角成とするのは部分的な定跡だと思います(△7四飛とされた際に形よく△7七銀として7六の歩を守れるようにするため)。後手4三戦法と比べて、飛車が4筋に途中下車していない分だけ後手が一手得をしておりあまり良い対応でなかったかもしれません。△6二金と簡易に囲われたのも後手の方の工夫に思います。
図2から
▲1六歩 △1四歩 ▲7七銀 △9四歩
▲9六歩 △2四歩 ▲5八銀 - 図3
1筋の端を突き合った後、後手から▲2四歩と仕掛けてこられました。三間飛車4三戦法である仕掛けの筋で、渡辺新手をイメージして▲5八銀と引きつけました。うる覚えの定跡でしたが、後手の囲いが美濃囲いでなくどういった違いになるのか定まらないまま指していました。ちなみに渡辺新手については下記サイトで紹介されています。
図3から
△2五歩 ▲同 飛 △2四飛 ▲同 飛
△同 銀 ▲2二歩 △同 金 ▲4二飛
△3三銀 ▲4三飛成 - 図4
飛車交換となった局面での指し手が良くわかりませんでした。本譜は、▲2二歩から龍を作る手順を選びましたが、どうだったかは微妙です。▲2ニ歩はAI先生の候補手には挙がらず、▲5一飛打(+576先手有利)を推奨されており以下△6一飛打 ▲同飛成 △同 金 ▲2二歩打 △同金 ▲4二飛打 △6二飛打 ▲4三飛成...を示されていました。
図4から
△6五角 ▲4一龍 △2四飛 ▲3九金
△2八歩 ▲1七桂 △2九歩成 ▲2五歩
△4四飛 ▲同 龍 △同 銀 ▲6六歩
△3二角 ▲2九金 △1五歩 - 図5
本譜後手に攻められる展開となり、ちょっと苦しいと感じていました。何とか大駒の侵入だけは防ぐよう指していました。我慢の中盤戦です。
図5から
▲2四歩 △1六歩 ▲4五歩 △3三銀
▲2五桂 △2四銀 ▲3一角 △2三飛
▲2六歩 △5四角 ▲4一飛 △3二金
▲5六歩 - 図6
何とか桂馬を捌き▲3一角打と攻めていきましたが、後手も△2三飛打と頑強に受けてこられました。△3ニ金とされ角が死んでしまいましたが、金との交換はそれほど損では無いと思っていました。後手の角頭にプレッシャーをかけつつ、先手玉のコビンのラインを緩和するため▲5六歩と突いていったのですがあまり良くなかったようです。AI先生はこの局面を‐471後手有利と評価されており、ここで△4三飛とされていたら飛車交換のあと先手3一角がただ取りされそうで危うかったです。
図6から
△2五銀 ▲同 歩 △同 飛 ▲3九金
△3六歩 - 図7
本譜後手の方から銀桂交換をして飛車を捌いてこられましたが、角のただ取りを免れ救われました。図7の局面で良さそうな手が思い浮かび、形勢を盛り返せそうかなと感じていました。
図7から
▲3四銀 △2七飛成 ▲5五歩 △3一金
▲同飛成 △1三角 ▲4一龍 △7六角
▲同 銀 △3七歩成 ▲5二金 - 図8
飛車取りに打った▲3四銀打が狙いの一手で、後手の角を捕獲することができました。先手右辺は食い破られてしまいましたが、駒得であり▲5ニ金打と張り付いて何とかなるかなと思っていました。
図8から
△8二玉 ▲6二金 △同 銀 ▲6一金
△2二龍 ▲6二金 △同 龍 ▲2一龍
△3一金 ▲1一龍 △1二金 ▲同 龍
△同 龍 ▲8六香 - 図9
終盤戦です。後手の△2二龍から頑強に受けられ、こちらの龍を詰まされる筋をうっかりして焦りました。局面がすっきりしてしまいましたが、持ち駒も豊富であり▲8六香打と後手玉頭から迫りました。
図9から
△7四桂 ▲8三香成 △同 玉
▲6一角 - 図10 △7二香 ▲7五桂
△8二玉 ▲8三銀 △7一玉 ▲4三角成
△4一飛 ▲5三馬 △6一玉 ▲7一金
△5一玉 ▲6三桂不成 まで先手の勝ち
本譜▲8三香成~▲6一角打で寄り筋に入りました。以降も△4一飛打等懸命に粘ってこられましたが、何とか詰み筋を見つけ勝ち切ることができました。
一局を通して、中盤苦しめの局面で何とか粘り強くさせてたことは良かったと思います。改めて渡辺新手を振り返り、▲5八銀と一手で自陣を引き締めてから端を絡めつつ綺麗に勝たれている将棋でとても勉強になりました。
今回は、この辺りで失礼します。