自戦記31 対後手三間飛車 居飛車穴熊02
こんにちは
リコー杯女流王座戦第3局は、カド番の加藤桃子女流四段が会心の将棋で勝利されましたね。先手里見女流王座得意の中飛車に対してじっくり穴熊に囲い、先手の無理気味な動きに冷静に対応して最後は鮮やかに寄せ切りました。居飛車のお手本になりうる将棋でした。大きな一勝で、シリーズの流れを大きく変えるやもしれませんね。第4局は、12月11日に東京・将棋会館で行われます。
さて今回は、久しぶりに私の対局をご紹介しようと思います。私が先手番でお相手の方が三間飛車でこられました。
初手から
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩
▲4八銀 △4二銀 ▲6八玉 △3三角
▲2五歩 △4三銀 ▲5八金右 △3二飛 - 図1
▲7八玉 △6二玉 ▲5六歩 △7二銀
▲7七角 △7一玉 ▲8八玉 △5二金左
▲5七銀 △8二玉 ▲9八香 - 図2
序盤お相手の方は雁木模様にもなりそうな駒組でしたが、結局三間飛車に落ち着きました。最近プロ棋士の間では三間飛車が流行っていると聞きます。菅井八段の活躍の影響が大きいように思います。駒組が進み、後手は美濃囲いに、先手の私は居飛車穴熊を指向しました。
図2から
△9四歩 ▲9九玉 △6四歩 ▲8八銀
△6三金 ▲6八金寄 △7四歩 ▲7八金寄
△7三桂 ▲6六銀 △4五歩 ▲6八角
△5四歩 - 図3
後手は高美濃囲いに盛り上げてきましたが、こちらは▲8八銀と穴熊のハッチを閉めて一安心です。その後は相手の攻撃陣の動きを見つつ、2枚の金を玉に寄せていきました。途中▲7八金寄と上段の金の動きを先にしたのは、本譜でも出てくるように角の引き場所を早めに確保する意図がありました。こちらの▲6八角は▲2四歩からの攻めを狙った手で、後手穏やかに指すなら△2二飛とするところですが、お相手の方は堂々と△5四歩とされました。この局面は、▲2四歩から攻めるか▲7九金寄と浮き駒をなくすか悩みました。
図3から
▲2四歩 △同 歩 ▲同 角 △2二飛
▲3三角成 △2八飛成 ▲4三馬 △2九龍
▲7九金寄 △3九飛 ▲4一角 △5一桂
▲5二銀 - 図4
本譜▲2四歩から攻めていきました。図3の局面はAI先生は+462と評価しており、候補手も▲2四歩を推奨されていました。こうなると△3九飛打くらいまでは一本道だと思います。角銀と飛車桂の交換となり、後手の2枚飛車の攻めも迫力があります。こちらも負けじと▲4一角~▲5ニ銀と角角銀で後手陣に迫りました。3枚の攻めなので切れないように注意が必要な局面でした。
図4から
△4三桂 ▲6一銀不成 △同 銀
▲6三角成 - 図5 △7二銀打 ▲7四馬
△6三角 ▲6四馬 △7九飛成 ▲同 金
△7四金 - 図6
こちらの穴熊が手つかずの堅陣だったので攻めに専念することができました。攻め駒が少なかったので、6六の銀を援軍として送るべく(▲7五銀~▲6四銀)▲7四角成(図5)としたのですが、AI先生的には疑問手で代わって▲5三馬等を推奨されていました。後手の7筋の歩を取ったため、後に△7七歩からの攻めを嫌っているのかもしれません。後手も△7九飛成とこちらの守りの金を一枚剥がし、取った金を△7四金(図6)と打ち付けて頑強に守ってこられました。
図6から
▲5三馬 △5二銀 ▲4二馬 △6五歩
▲7七銀引 △8五桂 ▲8六銀 △1九龍
▲7八金打 - 図7 △1七龍 ▲3一飛
△7七歩 - 図8
先手優勢を意識していましたが、後手の方もこちらの馬を責め簡単には土俵を割りませんでした。途中穴熊の薄さが気になり▲7八金打と一枚補強したのはどうかなとも思ったのですが、AI先生的には候補手上位にあげておりアリなようでした。その後こちらは満を持して▲3一飛と打ちおろして後手陣攻略を図ったのですが、後手も△1七龍から一歩を手にしてからすかさず△7七歩打と嫌味なところを攻めてこられました。
図8から
▲同 桂 △同桂不成 ▲同銀引 △1九龍
▲6四桂 △8五桂 - 図9 ▲7二桂成
△同 玉 ▲8一銀 △7三玉 ▲7一飛成
△7二香 - 図10 ▲7五歩 △7七桂成
▲同 銀 △8五桂 ▲7四歩 △8四玉
▲7六桂 △9三玉 ▲7五馬 △8四銀
▲同 馬 △同 歩 ▲8二銀 △8三玉
▲7三金 △同 香 ▲同 龍
まで先手の勝ち
終盤戦です。頭の丸い後手の角頭からふんどしの桂を放って攻めていきました。先手を取ろうと△同金も考えられますが、▲同馬と取る手が王手となるのが痛いところです。やもなく本譜攻め合いで△8五桂とこられましたが、やはり穴熊遠さ堅さの前にあまり響きがありませんでした。最後△7二香の局面で後手玉に詰みがあったようですが、対局中は見えていませんでしたが、大事には至らず何とか寄せ切ることができました。
一局を通して、図3の局面は対抗形の将棋の教科書に出てくるような局面なのですが、思い切って踏み込んだのが良かったようでした。以降は、攻めを切らさないように攻め続けつつ途中補強する一手を入れつつ上手くさせたのではと思います。穴熊は堅さ遠さを改めて認識した一局でした。
今回は、この辺りで失礼します。
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