『歌唱中の輪状甲状間スペースのピッチ同期変化』
歌手10人(男女各5人)の、5度音程ごと(画像2,3枚目参照 例:参加者E,J)の発声時の輪状甲状間(CT)スペースを調査。殆どの場合にピッチ上昇と共にCTスペースは狭くなったが、サイズの変化は非線形であり、広くなることもあった。
50の喉頭標本を使用した先行研究によると、CTスペースが1mm減少した場合の声帯膜様部の長さの増加は、男性1.4mm/女性0.5mmだと推定されている。
本研究で、5度あたりのCTスペースの減少幅は男性平均1.7mm/女性平均1.4mmだったが、先行研究の推定によるとこれらの変化は、声帯膜様部の長さの、男性2.4mm/女性0.7mmの伸長に相当する。これにより、半音あたりの声帯膜様部の長さの増加は、男性0.34mm/女性0.1mmということになる。
本研究で測定されたピッチと声帯長の変化の関係性は、先行研究の測定値と類似していた。
尚、輪状/甲状軟骨の回転中心(輪状甲状関節)の位置は、喉頭の形状の違いにより当然異なるため、声帯の伸長度にはかなりの個人差があると考えられる。
CTスペースの減少幅は、最低音または最高音が声区遷移領域に位置する5度において最も小さく、また、最も高い音域の5度でも小さかった。
歌唱トレーニング経験のある歌手は、経験のない歌手と比べ、特定の周波数においてCTスペースの変化がやや少ない傾向にあり、よりミックスボイスを使用し、ビブラートがはっきりしていた。
これらの結果は、F0制御メカニズムが声域や声区によって異なる可能性があり、また、発声に関わる構造の個性や発声テクニックによって異なる可能性があることを示している。
参加者:クラシックの歌唱トレーニング経験が10年のアマチュア男性歌手1人/同5年のアマチュア女性歌手1人、歌唱トレーニング経験の無い合唱団の歌手男女4人ずつ
(anterior) cricothyroid space=輪状甲状間スペース(訳語不明)=輪状軟骨正中部上端と甲状軟骨正中部下端の間のスペース。輪状甲状靭帯があるスペースの正中部。
cricothyroid spaceの画像出典(※赤い下線は書き加えたものです):
輪状甲状関節の位置の上中下3タイプ>
https://t.co/fCBGLCy0Ts
— 風地@毎日音楽の話を(も)しています (@huuchi) 2021年5月21日
輪状軟骨が回転する軸(輪状甲状関節)の位置は3タイプに分けられる。軸の位置が、輪状軟骨の下部3分の1にあるI群、中央3分の1にあるII群、上部3分の1にあるⅢ群。声帯の伸展度は順に、12%、8%、3%。
つまり輪状甲状関節の位置によって、声帯の伸ばしやすさが異なる。 pic.twitter.com/UhrkWvYTio
輪状甲状関節が輪状軟骨の下の方にあるほど、声帯の伸びが多い。
元ツイート:
歌唱中の輪状甲状間スペースのピッチ同期変化 https://t.co/q2QVlM5yvj
— 風地@毎日音楽の話を(も)しています (@huuchi) 2023年4月17日
歌手10人(男女各5人)の、5度音程ごと(画像2,3枚目参照 例:参加者E,J)の発声時の輪状甲状間(CT)スペースを調査。殆どの場合にピッチ上昇と共にCTスペースは狭くなったが、サイズの変化は非線形であり、広くなることもあった。 pic.twitter.com/ShX5R1wZBN
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