STOIC 人生の教科書 ストイシズム
ブリタニー・ポラット
花塚恵 訳
ダイヤモンド社
2024年11月26日 第1刷発行
2024年12月12日 第2刷発行
Journal Like a Stoic
A 90-Day Stoicism Program to Live with Great Acceptance, Less Judgment, and Deeper Intentionality (2022)
新聞の広告で見かけて気になった。 佐藤優氏 絶賛! とも書いてあるから、ただのキャリアポルノということもなさそうだ。図書館で借りようと思ったけれど、蔵書になっていなかったので購入。 本屋さんではベストセラーの棚にあった。
帯には、大小の活字で文字が並ぶ。
” 人生は短い。
では、 どう生きるか?
毎日が「完璧な 24時間」になる
今シリコンバレーを始め 世界に爆発的に広がっている「理性を鍛える」実践哲学
大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。 この逆説の真髄をつかんだものが勝利する。
鋼のメンタルを作る人類史上最強の教え ストイシズム。
揺るがぬ精神を完成させる究極の知恵を、1日1つ、インストールせよ。”
表紙の裏には、
”死を思え” とある。
著者のブリタニー・ポラットは、 ストイシズム研究者。 ストイシズムの原則を推進する非 営利団体ストイケアの共同設立者。ストイシズムの理念を広める非営利団体モダンストイシズムの運営委員、 ストイック フェローシップの理事も務める。 応用言語学博士。 ストイックな生き方の原則を90日プログラムに落とし込んだ本書は、「毎日の指示が成長の道を歩むための忍耐を促してくれる」「集中した心と整理された1日を手に入れるための貴重な ロードマップ」 などと絶賛されている。
目次
Introduction 「 毎日一つずつ」成長する
PART1 ストイシズムとは何か?
PART2 ストイックに生きる
第1章 EXAMINING THE INNER CRITIC 心の声に耳を傾ける
1日目~30日目
第2章 THE ROAD TO ACCEPTANCE 受け入れる
31日目~60日目
第3章 LIVING WITH VIRTUE 美徳とともに生きる
61日目~90日目
最後に
謝辞
参考文献
感想。
うん、なるほど。ダイヤモンド社っぽい・・・・。
絶賛するほどかはわからないけど、たしかに、ストイシズムの実践にはよい教科書だ。
原題に、Journal(=日記)・・・とあるように、90日間にわたって、教えと課題が2つ提示される。真面目に取り組むなら、90日間かけて、じっくり読んで課題に取り組む本だ。 イントロダクションでもそのように指示されている。目次には、1日目~90日目までのテーマも書いてあるので、なんなら、気になるところだけ、、と思ったら、課題にはすでにあった課題をもとにしたモノも出てくるので、課題に取り組むなら、最初からゆっくり読むのがいいと思う。
ストイシズムとは、ストア学派ってこと。つまり、ストア哲学。といっても、概念的であいまいに思えちゃうのだが、本書にはPART1でその意味が語られている。
“ ストイシズムは本当の意味で人生の哲学だと言える”。
つまり、日々の生活の中で、決断を正しい方向に導くための哲学。それは、宇宙を理解することであり、3つの分野がある。
・論理:Logic:明晰に考えられる
・倫理:Ethic:どんな相手ともうまく付き合える
・自然:Nature:畏怖(awe)の念を育む
そして、ストイシズムには4つの美徳(よい人生となるもの)がある。
・知恵:wisdom:うわべにとらわれない力
・正義:Justice: 他人に思いやりを持つ力
・勇気:Courage: 苦難に立ち向かう力
・節制:moderation:衝動を抑える力
これらの美徳をもって高潔であれば物質面での条件に関わらず、人は満ち足りた人生を送れる、ということ。
「自然」が「正しい方向」へ導いてもらうための、一つの分野であるというのがいい。理論、倫理ならわかるけれど、やはり、そこに「自然」があるのがギリシャ人の智恵のように思う。
「自然」を畏怖する心を失うと、人は間違った方向へ進む。自然破壊、という直接的な自然への暴挙だけでなく、自分への慢心、油断、偽り、、、。人間は自然の力にかなわない。台風も地震も津波も、、、山火事も洪水も旱魃も、、、。
自然こそ宇宙の元であり、ゼロ・ポイント・フィールドにつながる、、、って思うと、
こういったストイシズムをつくっていきたのが、古代ギリシア時代からの人たちで、ソクラテス、プラトン、アリストテレスから、ゼノンに引き継がれ、ゼノンが紀元前300年頃ストイシズムの教義を確立した。そして、セネカ、エピクテトス、マルクス・アウレリウスが書簡や手記、講義録で現実世界の問題に実際にいどんな生の声を遺している。
PART2からは、毎日のテーマと課題が並ぶ。
1日目は、「心をひらく」
” 哲学を実践するものが最初に取り組むべきことは何か?
それは「自分は知っている」という考えを捨て去ることだ。
人は「知っている」と思っている何かについて学ぼうとすることは絶対にないからだ”
まさに、1日目にふさわしいテーマ。私が、あぁ、この本の中身は知っていることが多そうだ、と、油断したところへ刺さった言葉。
そして、1日目の課題は、
”1 あなたに染み付いている 思考癖の中でもはや 不要になったものはどれか?
( 物事を悪い方に捉える癖はないか? 避けようとしてしまう発想や感情はないか?)
2 変えたいと思う思考癖を3つあげよう。”
PART1では、これらの課題に、毎日決まった時間に、日課として取り組むのが良い、と書いてある。 ”課題に向き合う時間と場所を決めて毎日が難しい場合でも週に数回は 取り組むのが理想だ”と。
規則性を持たせて取り組む方が 日常生活への効果は大きくなるということは覚えておいてほしい、って。
また、 課題に取り組むための専用のノートを用意して、同じペンを使って書くことが勧められている。その時間を確保するために、一日のスケジュールにこのための時間をくみこんでしまえ、と。
たしかに、90日間実践したら、なにかが変わりそうな気がする。
ちなみに、一日目の課題について私が答えるなら、
1.過去に見聞きしたものと同じと思い込む癖。
2.役に立たないと思う癖。知っていると思い込む癖。気になっているのに後でいいと思う癖。
かな。
他、時間をかけて課題について考えた方がいいと思ったこと覚書。
5日目:理想を羅針盤にする
課題1:10年後の自分がいまの自分に会いに来たと仮定して、 未来の自分が誇りに思ってくれるような大きな夢を3つあげよう。
課題2: その夢を実現するための、 具体的な目標を3つ設定する。 夢の実現 や目標の達成に向けて、 ルーティン や習慣にできることはないか? 設定した目標のために今週中にできることを2つ リストアップしよう。
13日目:居場所に満足する
課題1: 今現在あなたのニーズを満たしているものを思い浮かべて、ありがたいと思うものを5つあげよう。 毎日楽しみにしているコーヒー、 といった シンプルなものも含めて考える。
課題2: 良い人生を送りたいのであれば、場所ではなく意識を変えるべきだというセネカの考えに、あなたは賛成だろうか? 賛成、反対 のいずれにせよ そう思う理由は何か?
19日目: 他者からの評価に自由になる
課題1: この世で一番尊敬する人の指示をいられなかったら、一体どうなるか? 欲求や目標が根本から変わってしまうだろうか?尊敬する人に何らかのジャッジをされたら、 あなたの人間性が良くなったり悪くなったりするだろうか?
課題2: あなた自身について 誰かに言われたら嬉しいことを5つあげよう。 そして、 誰かに言われたいと思わなくなるまで、 その5つを繰り返し 紙に書くか、 鏡の前で自分に言い聞かせよう。
55日目:死に向き合う
課題1: 死について考えた時、 どのような 思いが頭に浮かんでくるか? それを考えた時、 あなたの体に物理的な変化が何か起こるか? 自分は全体の中の一部だと思うと、 安心感が 芽生えるだろうか?
課題2: 死は必然だと考えると、 何か行動を起こしたくなるのではないか。「 今すぐ感謝を伝えたい人」「 今日から 習慣にする 自分のためになる行為」「 今日寝るまでに必ず行う小さな親切」を書き出そう。
毎日決まった時間に、こういったことと90日間向き合ったら、何かが変わりそうな気がする。問題は、気がする、、、のなら、やってみることだ。
でも、さっそく、やらない理由を考えている自分がいる気もする。
2025年、毎日ではなくてもいいことにして、ちょっとやってみようかと思う。
脳科学者の茂木さんによれば、「ペンに文字にして書き出す」というのは、脳にとってもよいことだという。理性脳を使うので、ちょっとくらい理性脳を疲れさせた方が普段使わないアート脳とのバランスがよくなる、ということらしい。
書き出すって、大事だ。
インプットとアウトプットどっちも大事だけど、やっぱり、アウトプットこそが活動だからね。
2025年こそ、ストイックに頑張りたいと思っている人に、お薦め。別に、始めるのは1月1日である必要はない。今日がこれからの人生で一番若い日、だからね。