1976年生まれの米国「資本主義士官学校」留学記
僕自身は米国の大学に留学した経験がない。
大学時代から強烈な留学願望があったが、経済的事情などなどで結局それは叶わなかった。米コンサルティング会社に入ってからは、「留学したつもり」で社内転籍に申し込みサンフランシスコオフィスで修行したりしたけれど、やっぱり若いときの留学は羨ましいなと、岩瀬大輔「ハーバードMBA留学記」を読んで改めて思った。
- 作者: 岩瀬大輔
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2006/11/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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しかし現代を生きる岩瀬は、経営コンサルティング会社には進まず、「生命保険のネット事業」を起業する道を歩く決心をする。新しい日本人が生まれつつあるんだなという感想を持つ。日経新聞が彼を取材した記事(11月20日)には、こうある。時代が大きく変わってきたことを感じる。
岩瀬は東大法学部四年で司法試験に合格。しかし卒業するとすぐにコンサルティング会社へ。その後、移った投資会社の先輩から「人生はマラソンだ」と言われ留学した。(中略)
留学時代、そんな思いなどをブログ(日記風簡易型ホームページ)に書き込んでいた。今年六月に帰国。古巣に戻るつもりだったが、ブログを読んでいた投資家、谷家衛(43)から「君なら、すぐに金を出す」と言われ、方針を変えた。
「ベンチャーはアドベンチャーだから気概が必要。しかし方法論も大事で、粗削りなところもあるが、彼は二つとも持っている」。ネット企画に五〇%出資したマネックス・ビーンズ・ホールディングス社長の松本大(42)は岩瀬をこう評する。
岩瀬の新事業には保険業免許が必要。ここ四年ほど生保の新免許は下りておらず、ネット専門となれば過去に例がないようだ。保険業法は免許条件として適正な財産基盤に加え専門の「知識や経験、十分な社会的信用」などを求める。巨大生保に挑むにはこの「法の壁」をまず乗り越えなければならない。
本書は30歳の岩瀬が、起業への道を歩む直前の一区切りとして、ハーバードビジネススクールという「資本主義士官学校」で感じたこと、彼が二年間学んで得た現代的視点で「絶対に書いておきたい」と感じた「現在の米国」が切り取られている。「ユビキタス・アントレプレナーシップ」「「民」と「公」が交差するところ」「ファンド資本主義」といった章立てにも、そんな新しいセンスと気概があらわれている。
一読の価値ありと思う。
追記・はてなブックマークのコメントで、「「岩瀬大輔は1976年生まれ。はてな近藤淳也やミクシィ笠原健治の一つ年下である」とあるけど、プロフィルによれば大学を98年に卒業してるから、早生まれの76年で、学年的には近藤・笠原両氏と同じなんじゃないかなぁ。」とあった。きっとそうなのであろう。ただし未確認。