見る 知る 楽しむ 考える 拡がる! [総合・情報ブログ]  個性派執筆陣が、街ネタやネット上の話題からニュース・政治・文化・芸術・化学・食・健康・環境・映画、アニメや漫画に至るまでの幅広いジャンルの記事を、皆さんにお届けします!

  1. 特大家族 第二章 リセットスイッチ その6 (小説)

    午後五時。  宮城家の和風庭園は、旅館の庭園だったこともあり壮観である。 池を中心として、岩を積み上げて造られた滝、様々な大きさや形の庭石、四季折々に異なる表情を見せる多彩な木々、地元の清流に住む岩魚やカジカが放流されている川── それらがダイナミックに配置された池泉式庭園で、あと三週間もすればアジサイが見頃を迎える。 七瀬千春子と美晴子の姉妹が部活動をせず、第一便のバスで帰るのは、この庭園の管理を...

  2. 先ずは六つ葉

    先ずは六つ葉

    Photo by Kuronoichi我が家は、阿蘇山周辺に母親の実家を始め何軒もの親戚があります。  ここ数日はろくに連絡もつかず、気が気ではありませんでしたが、今朝、全員無事だという電話がきました。 まあ、家の中はぐちゃぐちゃだそうですが、今までかかってなんとか屋内で住めるようにしたみたいです。今日あたり電気も復旧しそうとの話でした。  というわけで富山に住んでいながら他人事ではなかった今回の地震、亡くなられた...

  3. 特大家族 第二章 リセットスイッチ その5 (小説)

    その頃、宮城楓は鳳凰台高校から徒歩一分の距離にある 「キースピアノ研究所」 という物々しい名前のピアノ教室に来ていた。 今日は週に一度のレッスンの日である。 教室の主宰者であるキース・リチャードソンは、楓の素質に惚れ込み、彼女を特待生として遇している。 キースは現在四十五歳。ショートカットの金髪と青い瞳、モヤシのようにひょろりとした長身と、年がら年中着用している黒いカンフースーツが外見上の主な特徴で...

  4. 特大家族 第二章 リセットスイッチ その4 (小説)

    しばらくして生徒会室に現実の松之進が入ってきた。  松之進は会計である。 「平野家は宮城家の一員であり、宮城家は金持ちであるから、会計を任せても、金に目が眩んで使い込むようなことはしないだろう。これぞ適任」 という学校側の考えによって推薦された。 その考えはある意味確かに合っている。松之進は決して使い込みはしない。 乱暴な口調とは裏腹に、純朴で真面目な男である。投稿者:クロノイチ...

  5. しだれ桜 2016

    しだれ桜 2016

    Photo by Kuronoichi我が家には桜が六本ありまして、一本はそこそこおいしいサクランボのなる桜で、一番最初に咲いて散ります。 花は白くてショボい感じ。四本はソメイヨシノで、今が散りかけ。 で、最後の一本であるしだれ桜が、ようやくほぼ満開になりました。 十年に一回ほど、ソメイヨシノと満開時期が一致することがあって、その時は随分と見応えがあります。 今年は八十点くらいでしょうか。 我が家は敷地こそ広いので...

  6. 特大家族 第二章 リセットスイッチ その3 (小説)

    朝礼のチャイムが鳴り、教室に担任が入ってきた。 担任の名は宮城リツコ。言わずと知れた楓の母親である。 同じクラスに松之進がいることを考えても、たまたまそうなったとは考えにくい。覇斗をサポートしようとする学校側の意図が見て取れる。 リツコは、全身UVカット加工の衣類で指の先まで完全防備し、顔面も紫外線対策のファンデーションをゴテゴテに塗りたくっていた。投稿者:クロノイチ...

  7. 特大家族 第二章 リセットスイッチ その2 (小説)

    午前七時半、覇斗は平野松之進と連れ立って自転車で光城高校を目指す。 二人の男子中学生も同じく自転車通学だ。  マイクロバスは既に出発していた。三往復もする夕方と異なり、朝は一便のみの運行だ。 バスに乗らない者は、家族や居候の自家用車に分乗し、各自の目的地に向かう。 覇斗と松之進が一年一組の教室に入ると、友人の渡辺健司(わたなべ・けんじ)が早速 「よっ」 と言って擦り寄ってきた。投稿者:クロノイチ...

  8. 四つ葉さがし 2016

    四つ葉さがし 2016

    Photo by Kuronoichiわが家の周囲のクローバーは、まだまだ葉っぱが小さく 老眼になりかけの身では、四つ葉ですら見つけられなさそうな気がしていたのですが、まあ物は試しで自宅周辺をグルリと探索してみました。  十五分ほど頑張って、四つ葉のみやっと5本見つけましたが、五つ葉以上は見つかるはずもなく次回へ持ち越しとなりました。  ちなみに皿の直径は8センチです。小さ過ぎ。  この次はもうちょっと本格的に探索...

  9. 特大家族 第二章 リセットスイッチ その1 (小説)

    六月十一日(火)  宮城家の朝は午前五時より始まる。三階の仏間に家族全員が集合し、お参りするのだ。 つまり各自の起床はそれより前ということである。  この仏間は、かつて 「あかりや荘」 が法事の団体客を呼ぶために、旧大宴会場の隣に作ったものだ。 どの宗派の法事にも対応できるよう、仏壇を置いておらず、大きな台の上に燭台と花瓶と香炉を置き、後は宗派ごとに大きく異なる本尊や仏具をその時々で交換して設置する...

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