DATE : 2017年02月
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紅茶も置いてない喫茶店 (ショート・ストーリー)
大して腹も膨れないメニューばかり、腹いっぱい食べようと思えばとてつもなく金がかかる飲食店 ─ それが俺の持つ 「喫茶店」 に対するイメージだ。 飲物の種類が多いとか、コーヒーの淹れ方がどうのこうの、紅茶の品種がどうのこうのといったこだわりとか、そういうものははっきり言ってどうでもいい。 俺はそこそこうまい食い物をたらふく胃袋に詰め込みたいのだ。それもなるべく安く。 だから、俺は一人では一生喫茶店には行...
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特売で買っとくばい (ショート・ストーリー)
我が地元の百貨店は、半年に一度、八階特設会場で衣料品の大特売をする。 三割引から八割引という、そう珍しくもない割引率なのだが、毎回開店前から大行列ができる盛況ぶりだ。 なぜかというと、通常 「割引対象外」 が当たり前の高級ブランド衣料が、少量とはいえ、当たりくじさながら、安物の商品の中にまぎれて超格安で売られているからである。 行列に並ぶほとんどの人がこれを目当てに来ているらしい。 そして、俺は今...