交戦期間が長引くにつれ、当事国の民衆はもはや互いに相手のことを同じ人類種であると認識できなくなってゆく。 しょせん獣(ケダモノ)、人の皮を被った悪魔、何百万人死のうともただ一片の憐憫たりとて恵んでやるに価せぬ、ただ粛々と屠殺さるべき畜生風情に過ぎない、と。 戦火が齎す心の荒廃、その典型であるだろう。 就中、指導者層へと差し向けられる怨憎は、真に血液を逆流せしむ、身の毛もよだつモノがある。 ヴィルヘルム二世も憎まれた。 (Wikipediaより、ヴィルヘルム二世) 第一次世界大戦期間中、連合諸国の人々がドイツ帝国最後の君主に浴びせかけた悪口は、批判はおろか誹謗中傷の域すら超えて、もう明かに呪詛の…