Google Cloud のマルチリージョン デプロイ アーキタイプ

Last reviewed 2024-11-20 UTC

Google Cloud デプロイ アーキタイプ ガイドのこのセクションでは、マルチリージョン デプロイ アーキタイプについて説明します。

マルチリージョン デプロイ アーキタイプを使用するクラウド アーキテクチャでは、アプリケーションは複数の Google Cloud リージョンで実行されます。アプリケーション データは、アーキテクチャ内のすべてのリージョンに複製されます。高速かつ同期的なデータ レプリケーションを確実に行うため、これらのリージョンは通常、1 つの大陸内にあります。

次の図は、2 つの Google Cloud リージョンで実行されるアプリケーションのクラウド トポロジを示しています。

マルチリージョン デプロイ アーキタイプ。

上の図は、2 つの Google Cloud リージョンで独立して実行される 2 つの分離された多層アプリケーション スタックを示しています。各リージョンのアプリケーションは 3 つのゾーンで実行されます。2 つのリージョンのデータベースが複製されます。ワークロードの目標復旧時点(RPO)が低い場合や、リージョン間での強整合性データが必要な場合は、データベース レプリケーションを同期させる必要があります。それ以外の場合は、データベースを非同期で複製できます。ユーザー リクエストは、DNS ルーティング ポリシーを使用してリージョン ロードバランサに転送されます。2 つのリージョンのいずれかで停止が発生した場合、DNS はユーザー リクエストをもう一方のリージョンのロードバランサに転送します。

ユースケース

次のセクションでは、マルチリージョン デプロイ アーキタイプが適切なユースケースを示します。

地理的に分散したユーザーに対する高可用性

ビジネス クリティカルで、リージョンの停止に対する高可用性と堅牢性が重要となるアプリケーションには、マルチリージョン デプロイをおすすめします。1 つのリージョンがなんらかの理由で利用できなくなった場合でも(自然災害による大規模な停止が発生した場合でも)、アプリケーションのユーザーにダウンタイムは発生しません。トラフィックは、使用可能な他のリージョンのアプリケーションにルーティングされます。データが同期的に複製される場合、目標復旧時間(RTO)はほぼゼロになります。

アプリケーション ユーザーに対する低レイテンシ

ユーザーが大陸などの特定の地域内にいる場合は、マルチリージョンのデプロイを使用して、可用性とパフォーマンスの最適なバランスを実現できます。いずれかのリージョンが停止すると、グローバル ロードバランサは、そのリージョンから送信されたリクエストを別のリージョンに送信します。リージョンが一つの地域内にあるため、ユーザーはパフォーマンスに大きな影響が出ているとは感じません。

データ所在地と主権の要件を遵守する

マルチリージョン デプロイ アーキタイプでは、データ所在地と運用主権に関する規制要件を満たすことができます。たとえば、ヨーロッパのある国では、その国に物理的に配置されたデータセンターですべてのユーザーデータを保存し、アクセスすることが義務付けられている場合があります。アプリケーションをヨーロッパの Google Cloud リージョンにデプロイし、ジオフェンス ルーティング ポリシーと DNS を使用してルーティングできます。

設計上の考慮事項

ロケーションにまたがって冗長リソースをプロビジョニングして管理すると、ロケーション間のネットワーク トラフィック量が増加する可能性があります。また、複数のリージョンにデータが保存され、複製されます。マルチリージョン デプロイ アーキタイプを使用するアーキテクチャを構築する場合は、クラウド リソースとネットワーク トラフィックの費用が高くなる可能性があり、デプロイの運用が複雑になることに注意してください。ビジネス クリティカルなアプリケーションの場合、マルチリージョン アーキテクチャの可用性の利点が、コストの増加と運用の複雑さを上回る場合があります。

リファレンス アーキテクチャ

Compute Engine VM でのマルチリージョン デプロイの設計に使用できるリファレンス アーキテクチャについては、Compute Engine でのマルチリージョン デプロイをご覧ください。