物理学者アインシュタインと心理学者フロイトの「戦争」についての議論のやり取りです。人間の心理学から戦争というものを考察した一冊です!
2020/05/11 09:35
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、物理学者アインシュタインと心理学者フロイトが同書の表題ともなっている「人は、なぜ、戦争をするのか」というテーマについて議論した記録を収録した書です。同書の中でフロイトは、「人は誰しもが破壊欲動をもっており、その本性によって戦争という暴力が引き起こされるらしい」と主張します。その意味では、人間の心理学から戦争を考察できる貴重な一冊と言えます。同書のは、表題作ほか、 「戦争と死に関する時評」、「喪とメランコリー」、「心的な人格の解明」、「不安と欲動の生」の4篇が収録されています。
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投稿者:ゆきき - この投稿者のレビュー一覧を見る
どんな人でも、一度は持ったことがあるであろう疑問、「人はなぜ戦争をするのか」。
精神分析の権威、フロイトが解き明かすその答えは非常に興味深い。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
100分で名著にも取り上げられたが人はどうして戦争をするのか、わかりやすく解析した本。昔から考えていたことが良くわかり過ちを繰り返す人類に辟易する。
アインシュタインとフロイトが手紙で議論を交わしたもの
2016/01/21 17:12
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間は死を欲望する――第一次世界大戦の衝撃をうけた精神分析理論の再構築の試み。人間には戦争せざるをえない攻撃衝動があるのではないかというアインシュタインの問いに答えたフロイトの書簡。より深く平和の本質に迫る一冊。
フロイトの入門書
2022/10/16 08:46
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投稿者:こっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題以外にもフロイトの研究のさわりが読める一冊です。訳注含め、心理学に纏わる様々な人物名が記載されているので、この一冊から心理学の文献を読み広めるのが一つのお薦めです。逆に言えば、フロイトだけが心理学ではないので、色々な研究に触れる必要はあると思います。
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フロイトさんはおもろいねー。
てか、考え方似てるわー。。
なぜ戦争してしまうかって?
そりゃ、そういうもんだからだよ、人間は。
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第一次世界大戦に衝撃を受けたフロイトによる精神科医としての考察。冒頭のアインシュタインとの書簡が興味深い。人間の本性は、(どんなに知性があっても)他者を攻撃する欲動があり、それを抑えるための社会であり文明があるとする。そのため、文明が発達すればするほど、人間の本質が失われてしまう。では、どうすればよいか。人間の欲動、無意識、夢を観察し、人間の外と内でコントロールすればよいのではないか。絆を探したり、社会性の中で発散する仕組みなどあらゆる環境下で心のエネルギーを拡散させる場が必要であろう。※後半は、本旨とは関係なし。。
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共産主義者たちも、人間の物質的な要求を満たして共同体の成員のあいだに平等性を確立すれば、人間の攻撃性を消滅させることができると考えています。
道徳哲学では、良き欲動の動きから生まれた行動だけがよいものとみなされ、そうでないものは良いものとは認められない。
人間の知性を信じられるのは、強い感情の動きにさらされていない場合のみである。
自我が自分の弱さを示さざるをえなくなると、字がは突発的に不安を起こします。
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アインシュタインの疑問に心理学的に答えようとする書簡の表題。そこから、メランコリー(ここでは鬱病)のメカニズムや性を基盤としたフロイト心理学の解説をとても分かりやすく行っている。中山訳は読みやすい。フロイト自身が自己の理論に制限を感じながらやっていたとは知らなかった。
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序章「人はなぜ戦争をするのか」(1932年)
第一章「戦争と死に関する時評」(1915年)
第二章「喪とメランコリー」(1917年)
第三章「心的な人格の解明」(1933年)
第四章「不安と欲動の生」(1933年)
第一次戦争と国際連盟の失敗に衝撃を受けた西欧社会。国民の一部に過ぎない支配階級が通信を操作して国民を駆り立てる際、自らの生命を犠牲にしても闘おうとする力が生まれる理由とは。アインシュタインが考えたのは、人間は憎悪し破壊しようとする欲求があるのではないかという事であった。フロイトの答えは、アインシュタインの仮説を補強するものであった。
フロイトによると、人間の原初的に備わる欲動にはエロス(性的な欲動)とタナトス(死を望む欲動)が混在しているとする。死の欲動とは、破壊の欲動とも言い換えられるもので、自分に向かうマゾヒズムと外界に向かうサディズムに分けられる。タナトスはエロスが被さる事でマゾヒズム的な傾向が強まり、反対にエロスにタナトスが被さると外界への攻撃欲動が強まる。人間はマゾ的な自己破壊傾向から自らを守るために外界の他のものを破壊する必要があるかのようで、戦争は種の自己保存にあたる。
外界への破壊欲動を含め、種としての欲動には本来、善悪は無い。にもかかわらず、人間の原初的な欲動に対して、現代社会では文化的な「進歩」(法律を含めて)において厳しく管理し抑圧されることになる。それ自体は秩序を守るために必要である一方で、現代社会は破壊的な欲動としての人間の本質部分を考えることすらせず、文化的な成功を過大に評価し、更に道徳的な要求を高めるのである。しかし、文化に服属していても、動機が純粋か否かは外的な行動からは測れず、文化を支えているのは多くの「文化的な偽善者」であることを認めなければならない。
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白人同士はもう戦争をしないと思っていた西欧社会が直面した絶望と幻滅感を強く感じられる。国際関係の推薦図書として取り上げららないのが不思議だ。種として人間だけが行なう自殺、同種を殺しあう戦争。両者の関係を巧く説明しているように思える。また解説が素晴らしい。フロイトの考え方は非常に気に入った。
偽善者で保たれる文化や秩序の危うさ。引き上がった文化的期待値(西欧列強)に対し、無理して良い人ぶると(適応しようとすると)、内なる自己破壊傾向が加速する。人間でも国家でも変わらない。
文化、文明(エロスとタナトスのある配分)が極度に発達し、人間の本性(エロスとタナトスの配分)と乖離し始める世界では、共同体の自殺行為(又は自己保存のための外界への攻撃)が始まるのだろうか。
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中山元は『フーコー入門』が読み辛かった覚えがあるのだけども、この訳はなぜこれほど読みやすいのだろう。フロイトのエロス/タナトス理論のわかりやすい解説になると共に、アインシュタインとの往復書簡が秀逸。当時の西洋世界にとって、戦争がどれほど人類の既存の知を脅かしたのかが肌に伝わるようだ。
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経験から推して、暴力がこの世からなくなる可能性はないと言っていいだろう。法が保証する権利は、一種の暴力であるし、自己の内から沸々と湧き起ってくる怒りや攻撃的情動の存在を否定することはできないからだ。だが、暴力がこの世からなくならないという結論は、戦争を排除できないことを意味しない。(戦争勃発の可能性は常に内包し続けるだろうが)フロイトは本書で以下のように述べる。
「それは、わたしたちがなぜこれほど反戦活動に熱中するのか、わたしもあなたもほ かの人々も、人生のその他の多くの苦痛に満ちた苦難の一つとして、戦争をうけい れようとしないのはなぜかということです。戦争というものは、むしろ自然なもの で、生物学的に十分な根拠があり、実際問題としてほとんど避けがたいものと思わ れるからです。(略)わたしたちが戦争に強く反対する主な理由は、ともかく反対 せざるをえないからだと思います。わたしたちは平和主義者ですが、それはわたし たちが生理的に戦争が嫌だと感じるからです。それだからこそ、戦争に反対し、さ まざまな反戦論を提示しようとするのです。」(p.33-35)
このフロイトの発言は一考に値する。なぜなら、我々が戦争に 反対する理由を、倫理観や道徳等、「意識」の領域、つまり理屈に求めるのでなく、当の本人には知られず、であるにもかかわらず、その本人の行為に影響を及ぼす生理=「無意識」の働きに求めているからだ。無意識の領域は、まさに意識できない領域であるがゆえに、執拗である。その無意識が戦争を拒否していると仮定するならば、戦争を排除する可能性は残されていると言えるだろう。この書を読んであなたは何を考えますか?
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アインシュタインの問題提起に対して、フロイトが回答したという名著。2人の天才がどのような対話を行ったか、非常に興味深い。
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解説が確かに秀逸。
先に読んでおいて損はないです。
それでも、訳の仕方がいいせいなのか
解説を読まずしてもそんなにつっかかるところは
少ないですがね。
人という生き物は、
本当に不思議で、底知れなくて
自分という存在すら難しいな、
と感じます。
うつ病のそれは、また違った見方ができる、
という店で、すごく斬新でした。
それと同時に、ショッキングな部分も
出てきていましたがね。
でも、的を射ているな、と感じました。
私は一番、心的装置のところが
惹かれるものがありました。
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心理学的にはちょっと古いんじゃないかなーと思われる部分なんかもあるけど、ところどころ「これは!」と感じる指摘があって奥が深い。
しかし、全体的に難しくて全部は理解できなかった。余裕があれば、再挑戦したい本。