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裏染天馬シリーズ第三弾は日常の謎系の短編集。長編二作からの短編集なので、ちょっと箸休めかな、と思ったらこちらもかなり面白かった!
「もう一色選べる丼」は学食の食堂に返却されず、外に置きっぱなしにされ、なおかつ半分しか食べられていない丼の謎をめぐる短編。
シャーロック・ホームズはワトソンと初めて出会ったとき、握手をするなりワトソンが海外に行っていたことを言い当て、その理由を述べました。
裏染の推理もそれを彷彿とさせます。わずかな痕跡から食器を残していった生徒の特徴を絞り込んでいき、それに加えてのロジックで、遂に一人の生徒にまでたどり着く構成はお見事の一言!
『体育館の殺人』『水族館の殺人』と、ロジックに相当なこだわりを見せてきたこのシリーズですが、短編集の『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』でも、そのこだわりは健在です。
表題作「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」は、祭りの屋台のお釣りがなぜか50円玉ばかり。さらに調べていくと、少年が屋台の店主にお釣りを50円玉にしてほしい、と頼み回った、という謎をめぐる話。
不可解な謎と、ある意味納得のいく意外な動機がこれもまた上手い。シリーズのキャラもわちゃわちゃと登場して、その賑やかさも良かったです。
「針宮理恵子のサードインパクト」は、作中随一の甘酸っぱさ。
不良ぽく、口調も乱暴な理恵子とその後輩の華奢な吹奏楽部部員の早乙女。一応付き合っている二人ですが、早乙女が部活内でいじめられている、と思われる状況に理恵子は遭遇してしまい……
理恵子の一人称の語りと思考のもどかしさや、照れくささであったり、その青臭さが「いいなあ」と思ってしまう短編でした。
不良少女のギャップというか、女の子らしさというか、好きな人にはたまらないこと請け合いじゃないかなあ。そしてこの短編での裏染が、ある意味これまでで一番主人公らしかったかも(笑)
「天使たちの残暑見舞い」は教室から忽然と消えた二人の女子生徒の謎。
耽美な雰囲気もあり、そして大仕掛けもありの短編。この耽美な雰囲気も好きな人にはたまらないはず。
「その花瓶にご注意を」は裏染の妹の鏡華が主人公。
花瓶を割った犯人との推理対決。天馬は名探偵らしいというか、解決シーンになると淀みなく一気に推理披露し、事件を解決するイメージなのですが、鏡華は犯人の反論や矛盾を指摘されつつも、粘り強くその穴を埋めて、犯人を仕留める推理という感じ。
各短編と比較しての、天馬と鏡華の推理の過程の違いも面白かったし、もちろんロジックもしっかりしている。普段は猫を被ってる鏡華の暴走と、ワトソン役である同級生の姫鞠のやり取りも、他のキャラたちに負けず劣らず面白かった。
そして、最後に収録されているおまけの「世界一の居心地の悪いサウナ」
この短さでもロジックを放り込んでくるあたりは流石だな、と思ったのですが、登場する二人の関係性や、セリフからのも今後気になるところでした。
でもまあ、この二人「同じ穴のムジナなんだな」と思ったりもしたのだけれど(笑)
青崎さんの長編のがっつり推理にページを使う本格ミステリも好きですが、この短編集のような気軽に読めるロジックのミステリも、キャラの魅力も相まってとても良かったと思います。
長編だけでなく、この路線でもどんどん作品を発表してほしいなあ。
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今回はコージーミステリー色全開の短編集。
天馬の天才的な推理よりも、何やら少しだけ爽やかなお色気を醸し出すシーンが多かった印象です。
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再読。裏染天馬シリーズ短編集。いわゆる日常の謎系ミステリ。学校内で巻き起こる数々の謎に対して、裏染天馬がお得意のロジックを駆使して合理的な解決をしてみせる(一話だけ妹が探偵役の話もあるが)。特に一番謎と結末までの距離が飛躍しているのは「もう一色選べる丼」ではないだろうか。食べ残しから謎解きをするというのはユーモアがあるが、特に日常的な雰囲気が強くて身近な謎と言える。本作品は全体的に笑える要素が多めなので気軽に楽しめる点もよかった。
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裏染天馬シリーズの短編集。
他の作品を読んだことがある者にとっては、エキストラ出演する生徒たちに、思わずニヤリとさせられる。
事件は些細なものばかりで、殺人事件は起こらず、真相もくだらないのも正直多い。
シリーズを読み進める中での、また違った雰囲気を楽しめた。
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人は死なない短編集。
五十円の謎解きは無理矢理感があるなあ。少し納得できない。
解説によると図書館の殺人の続編もあるとか。
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風ヶ丘高校のチャーミングな面々が活躍する短編集、裏染天馬シリーズの第三弾。
どの作品も人物の魅力が出ていて面白いっ! 裏染天馬シリーズを読んでいる人は必読の一冊です。
■もう一色選べる丼 ★3
裏染天馬と袴田妹のやり取りはどんなことでも楽しいですね。
犯人の行動ですが、自分も似たようなことをやってしまったことがあります。ごめんなさい…
■風ヶ丘五十円玉祭りの謎 ★5
夏祭りの描写や、登場人物がガヤガヤしている雑多な雰囲気が超素敵。意外性のある結末もGOOD!
■針宮理恵子のサードインパクト ★5
いい年にもかかわらず、思わずキュンとしてしまいました… 二人を応援したくなりました。裏染天馬の優しさも甘酸っぱく、本編のムードを盛り上げています。
■天使たちの残暑見舞い ★4
女子のみなさまがBLを好む理由が少し理解できた気がしました。確かにこの雰囲気はドキドキする。真相を当てる推理も見事でまとまった短編です。
■その花瓶にご注意を ★3
ロジカルにトリックを解いていくさまがお見事。緋天学園の二人も利発で可愛らしく描かれています。
全編通して、青春があふれ出る世界観がとっても素敵。懐かしいあの頃に戻りたい人におすすめの作品です。
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裏染天馬シリーズの短編。今回は殺人事件ではないため、ある意味安心して読める。しかし読み応えは十分、むしろいくつもの変わった日常的ミステリを読むことができる。また、動機やトリックは日常にありそうな変わり種が多い。キャラクターも掘り下げられていて読みやすい。 天馬以外の探偵役である裏染鏡華の推理も、天馬とは違っていて面白い。
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人が死なないミステリもたまにはいいなって思わせてくれる作品。
3作目にもなると私もすっかり裏染君に夢中で、裏染君と柚乃の会話を聞いて「仲良いなぁ」とニマニマしちゃいます。
鏡華ちゃんは同級生と居ると可愛いね。
今までは年上目線から見た鏡華ちゃんだったから新鮮だった。青春良き。高校生の日常のちょっとした謎を解く短編集で、だからといって簡単な謎という訳でもなく今までと同じで事実と論理的思考で推理していた。
〝天使たちの残暑見舞い〟と〝針宮理恵子のサードインパクト〟が好き。
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<裏染天馬シリーズ>の3冊目。
今度は学園生活で起きる日常の謎を題材にした短編集。
謎解きについて行けないこともあるけど、前作からこのシリーズのお楽しみは天馬with香織,時々鏡華×柚乃&早苗の掛け合いを楽しむような趣になっていて、今回もとても微笑ましかった。加えて孤高の金髪・針宮理恵子の可愛いところまで知れたしね。
どうやら図書館で大学生が殺されたようだな。そちらの事件へ行ってみよう。
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'22年7月26日、Amazon audibleで聴いて。
2回目、かな…ということもあって、か?
正直に、言ってしまうと…つまらない&くだらない。
なんだろう…軽いストーリーが嫌いではありません。でも、これは……僕は、今回は全く、楽しめませんでした。ファンの方、ごめんなさい(_ _;)
なんか、このシリーズ…僕は、ダメなのかな?この作家さんの、シリーズ外のを読んだら、また違うのかも。
登場する写真部の部長の女のコ、可愛かった…ナレーターの個性と、そこは合っていたような。あと、不良っぽい女のコ。名前は覚えてませんが…針宮さん?いじらしくて、可愛かったです。
「体育館」と「水族館」、★4つ、付けましたが…厳しく言うと、好きではないんだな…ということを、今作で実感しました。「図書館」は、もう聴きません。
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裏染シリーズの続きとして、手に取った本作。
天馬だけでなく、鏡華の活躍ぶりも楽しめる本作は珠玉の短編集でした。自作も期待して読みたくなりました。
父親との関係も少しだけ表現されており、そこまで悪い仲でもないことが明らかになりましたね。
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短編集も面白かった。日常の謎系好きにはたまらない。
ライトノベル風?のキャラ付けが濃くなってきたような……。これが平成風ってことか!
『もう一色選べる丼』
タイトルからして遊び心が満載。放置された学食の食器という謎、これをこんな風に謎解きするなんて。何を謎にするか、というのも作家のセンスなのか。
『風ヶ丘五十円玉祭りの謎』
競作 五十円玉二十枚の謎が大好きな新本格ファンにはたまらない。このオチもまた…笑。お兄さん、だんだん心配症なお父さん的になってきちゃって。
『針宮理恵子のサードインパクト』
青春小説!胸キュン!かわいい!!
裏染天馬くん的にはこう、眺めて楽しむ学園ラブコメ的な存在なんだろうか。謎もよかったけど、物語がすごく良かった。これ好き〜。
『天使たちの残暑見舞い』
これは、作者の百合趣味が爆発してるんだろーか????
密室トリックのこのネタすごいおもしろかった。一発ものとも言えるけど、料理の仕方も楽しい。
『その花瓶にご注意を』
探偵キャラとしての鏡華ちゃんにはそこまで惹かれないんだけど、おともだちの仙堂さんがまさかの…で面白かった。再登場あるかな?
『おまけ 世界一居心地の悪いサウナ』
裏染天馬くんの気になるところのさわりに触れられた、のかな。シリーズでこの人はまた出てくるんでしょうね、楽しみだな!
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シリーズに登場するおなじみの人物たちが活躍するためシリーズ読者にとってはうれしい一冊。それぞれ趣向を凝らした短編で楽しめるが、謎は裏染が一瞬で解いてしまうため読者が考える余地はない。
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いわゆる日常の謎系の短編集。
時系列的には体育館の殺人〜図書館の殺人の間に位置することになるのかな?
天馬妹が登場することを踏まえると、やはり体育館→水族館→本作の順番で読むべき。
短編なうえに人が死なないからか、推理パートの比重が軽めで、読み応えという点では前作に劣るかなといったところ。その分サイドストーリーが充実してたので、青春小説としては今回も十分楽しめました。
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裏添天馬シリーズ第3弾。短編5話とおまけの話1話という構成で、1話目は体育館の殺人の2週間後という設定、第2話は水族館の殺人の10日後という設定。いわばミッシングリンク(使い方あってましたっけ?)的作品。ミステリーと言っても殺人事件は一切なく、高校生の学内や、日常で起きた謎に挑む天馬や柚野、天馬の妹の鏡華たち。他の作品で出てきた登場人物の何気ない高校生活や個性を掘り下げたようなお話。おまけの話では天馬の父親も出てくるし。とにかく第4弾以降、期間が空いているので第5弾を切望します。