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表紙の絵にぴったりの作品です。
2018/11/14 23:36
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投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
肩胛骨は翼のなごりで知られる作家さんです。
続編のミナの物語も評判がよく、読んでみたい方でした。
積読もしています。
読み順がおしていてなかなか手に取れなかったのですが、
この本でようやく触れることができました。
読後、優先順位を上げようと思うような、
素敵な時間を過ごせましたよ。
バートはバスの運転手です。街の向こうで十年、いまの路線で
十年です。発車、停車、発車、停車、発車、停車────。
若いころは大好きだった運転なのに、いまやうんざりする毎日です。
乗客たちの態度に内心で毒づきながら運転していたら、
突然胸が苦しくなってきました。
あわててブレーキを踏み、エンジンを切ります。
苦しむバートの頭の中は、これでこんな思いもしなくていい、
バスともお別れだという気持ちと、救急車を呼んでくれとの
思いがごちゃまぜになっています。
苦しみが引いていくと、胸のポケットのふくらみに気がつきました。
指を入れると何かの感覚があります。つまみあげて手にのせます。
生き物です。白い服を着ていて……翼があったのです。
「それはなあに」黄色いセーターに黄色いジーンズの少女に
みつかりました。バートは慌てます。バスの中がざわざわし始めます。
とにかくやり過ごし、妻のベティと相談することにして
気持ちを落ち着けます。バートをさしおいて少女が話しかけてきます。
「あたし、ミジェット・ジェムを持っているんだけど」
ポケットの中から手が伸びて、少女はお菓子を渡してあげました。
ゆっくりと状況に合わせていくバート。
最初から受け入れる少女のナンシー。
天使なんかそっちのけのモール校長代理。
固くなった大人の頭をほぐし、純粋な子供のこころを受け入れ、
ひねくれてしまった悪者気取りの少年たちに波紋を広げていきます。
きっかけはすべて天使のアンジェリーノです。
ひとつの奇蹟が、次々とみんなの新しい引き出しを開けていくのです。
文中にあるたくさんの挿絵で居心地のいい雰囲気に包まれます。
鉛筆で描いたクロッキーですが、力強くてのびやか、時にはしっとりと、
時には朗らかに物語をもり立ててくれます。
読むと気持ちが晴れわたりますよ。
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