投稿元:
レビューを見る
メインはGPIFの年金運用の見えている未来の話。
このパートは話が長く、また前提情報が欠けている部分もあり資産運用業界に関わったことがないと理解できないと思い正直イマイチかなと。
証券業界のドルコスト平均法などの背景の説明が個人的にはためになった点。
投稿元:
レビューを見る
昨年(令和2年)7月に読み終わった本ですが、令和3年GWの部屋の大掃除の時に埋もれていたのを発掘しました。
この本で特に気になったのは、資産運用の鉄則とまで言われていると私が思っていた「ドルコスト法」にはリスクがあるので、特にお年寄りの場合は注意せよ、というメッセージでした。
私も気持ちだけは若いつもりでやってきましたが気付いてみれば2ヶ月前の誕生日を迎えて、いわゆる昔の定年まで3年を切りました。いつまでもアクティブ運用はできないなと思っていましたが、ドルコスト法も注意すべきとは私にとっては新鮮なアドバイスでした。
以下は気になったポイントです。
・現在黒田日銀が行っている「マネタリーベース=お金の量」を増やすという「異次元の金融緩和」は「非伝統的金融政策」に属する政策となる。これは短期金利がすでに0%で利下げ余地がなく、これに頼るしかなかったから(p29)2001年の量的緩和では純粋に「お金の量」を増やしたのに対して、今回は、日銀が長期国債を買い上げることで、お金の量を増やすと同時に長期金利の低下や、株価上昇、円安を目指したことである(p30)
・銀行が国債売却代金を受け取ってもその資金を貸出に回すのではなく、そのまま日銀内の当座預金に預けることになった。これは2009年の11月から当座預金のうち所用準備額を超える部分に0.1%の利息をつけるようにしたから、これは国債表面利率と同じ、これは国債保有と同じ効果がある(p54)マネタリーベースの増加分382兆円の93%以上は国民に渡ることのない「日銀当座預金』増加によって占められる(p55)企業収益が最高という報道がある中で景気回復の実感できない理由である(p56)
・2014年4月に消費税は5%から8%と引き上げられたが、増収分の8.4兆円のうち、3.2兆円が基礎年金の財源に回されている。国税増税分6.4兆円をベースにすると5割が基礎年金支給の財源に回されたことになる(p77)
・GPIFが世界最大の機関投資家だと豪語したところで、総資産は160兆円に過ぎず、足元の日本の公的年金給付額は年間50兆円強なので、GPIFが保有する資産規模は3年分程度に過ぎない。この先100年間の年金給付に必要な2540兆円から3740兆円の財源の大半は現役世代から徴収する保険料と国庫負担(税金)で賄われ、GPIFの積立金を財源として見込んでいるのは200〜400兆円と全体の10%程度に過ぎない。年金給付の9割を現役世代から徴収する保険料と国庫負担で賄う限り、日本の年金制度は簡単に破綻することはない。しかし年金財政という点では、金融的には破綻している状態にある。これは今までの給付水準を維持できないということ(p124)
・財政検証が示す3つのケースのうち、現実に近いケースでは、2029年度からGPIFの元本取り崩しが始まることを示している。これはそれまでに運用収益を見込んでいる前提である、その運用ができなかった場合には、積立金の元本取り崩しは早まる可能性がある(p136)
・例として65歳になった時に3000万円の金融資産を作ろうとした場合、30歳であれば運用期間が35年あるので積立累計額は1750万円(毎月3万円、ボーナス時7万円)、2.96%ですむが、50歳から開始する場合は、500万円で36%の利回りが必要となる(p193)資産形成を始める年齢=運用期間、目標額、年間の積立額の3つを決めることで、目標達成の「運用利回り」が算出される(p196)
・ドルコスト平均法とは、買付コストを平準化することを目的とした投資手法であり、目標金額を貯めることを目的とした投資手法ではないことを再確認する必要がある(p211)つまり、ゴール(年齢、60歳)が近づけば近づくほど積立資産は価格変動リスクの影響を強く受けるようになる(p212)このリスクがほとんど触れられていないことが、ドルコスト平均法の抱える大きなリスクである(p214)
2021年5月4日作成
投稿元:
レビューを見る
視座が日本だけにしかない。プレイヤーはGPIFだけではない。国際分散投資に否定的というか、著者はグローバル・マーケットの動向を見ていない。