完結目前にして、東条英機暗殺計画まで有ったという衝撃の事実に愕然。
2021/04/28 23:35
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
完結目前にして、東条英機暗殺計画まで有ったという衝撃の事実に愕然。前7巻目であとは戦史は大体は判ってるなどと楽観論を記したことを後悔。戦史に関しても太平洋のガダルカナル戦など一つで完結するような判りやすいものに関してはそれなりに知ってはいたが、余りにも規模の大きすぎるインパール作戦などに関しては知識が断片かつ希薄過ぎたことに反省。物語は既に冷静に物事を分析する勢力と、東条英機に代表される精神論者勢力との不協和音に移行。興味の対象は終戦に向けて私の知らないどんな事実があったのかに移ってしまった。集団狂乱の時期と私的には思っていたが、それはむしろ一般大衆であって、上層部内には冷めた人間が多数存在したらしいことに少し安堵。著者がガンで余命宣告を受けてもなお書き続け、遂に完結までに至った本作。著者の思いが凝縮されるであろう完結巻が楽しみ。
アッ、敷島4兄弟に関しては、何と、次郎がインパールでアメーバ赤痢に罹患して死亡。柳条のような生き様が魅力的だっただけに実に残念。
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投稿者:Zero - この投稿者のレビュー一覧を見る
悪名高きインパール。Wikiで調べたが、司令官のクズっぷりにタメ息しかでない。一番船戸キャラらしい次郎も逝ってしまった。最終巻はソ連の満州侵攻が描かれるだろうが、誰が死に誰が生き残るのか。間垣と敷島家との因縁も明かされるのか。船戸作品の最後の最後を心して読まなければならない。
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太平洋戦争、ミッドウェー海戦以降悪化する戦況、そして欠乏する物資、声高に精神論をとなえる政府・軍部、破滅への道をたどる日本が克明に描かれる。
そして、その状況を映し出す様にこれまで歴史を見る役目をしていた敷島四兄弟も、歴史の波に飲み込まれ、破滅への道を突き進んでいる。
最終巻は、間垣が敷島四兄弟に深く関わる理由が明らかにされる様だ。敷島四兄弟はどうなっていくのか?どきどきしながら最終巻を待つ。
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ついに第八巻まで読み終わってしまった。
満州から始まったこの壮大な歴史小説も、残りわずか。
満州国の最後を船戸与一がどのように描くのか、とても楽しみです。
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舞台は満州から東南アジア。兵站を無視した作戦に、末端兵士が翻弄される。馬賊の二郎はインパール作戦で死亡。
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1928年~1945年の17年間の満州の歴史。登場人物4兄弟の視点で語られる。満州事変から第二次世界大戦終結までの流のなかで、南京事件、張鼓峰事件、ノモンハン事件、葛根廟事件、通化事件と有名な事件が次々と起こり、4兄弟それぞれの立場で事件と向き合う様子が描かれる。満州の歴史を詳しく知らなかったので、勉強になった。何が正しくてなにが正しくないのかなんてだれにもわからないと感じた。
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かつて満州の大地を蹴り疾駆した浪漫は、遥か南冥の地で覇道の夢の果てに、静かに骸を晒した。
哀しい。
いよいよ最終巻が楽しみだ。
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次郎、南方の山林に散る・・・・・・。
満州国もついに、全9巻中の8巻目まで読んでしまった。あと1冊でこの壮大な船戸ワールドを読み終えてしまうのかと思うと、寂しくてならない。
辻政信
牟田口廉也
東條英機・・・・・・
無能作戦立案、実行、強硬により数万・数十万の死傷者を出した男たち。その屍を尻目に終戦まで生き延びた者たち。
ある者は、戦犯として挙げられつつも裁かれるのを嫌い自決。(なんと卑怯な。死に逃げず、自らの判断が国をどんな運命に導いたのかを見届ける義務のある人間だろうに)
ある者は、平和を取り戻した戦後日本で代議士にまで上り詰める。(そもそも、そんな男になぜ票が集まったのかが疑問)
ある者は、インパール作戦の責任逃れに終始する。
(あげく、部下の無能さが作戦失敗の要因だと吹聴)
・・・・・・・一体なんだったんだろう、そんな一握りの馬鹿たれの出世欲や権勢欲のために生命を散らせていった日本人たちが、浮かばれない。
★4つ、9ポイント半。
2018.10.19.古。
※あと1冊で完結ということで、読むのが勿体なさすぎる「満州国演義」、でも、8巻でこんな引き方をされたら・・・・、続きが気になりすぎる。
すぐにでも9巻目を買いたくなってしまったが、なんとか我慢してもうしばらくは寝かせておこう。
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昭和18~19年くらいが舞台になっている。今巻の最後で次郎が死んだ。南洋の森の中で赤痢にかかり蛆に蝕まれるように死んでいった。四兄弟のなかで一番生き抜く力がありそうに思えたのに一番先に去っていった。生き抜く技術をもっていても生き抜く甲斐をもう失っていたのかもしれない。
第1巻では日本人ながらに馬賊を率いてさっそうとしていたのに、いつの頃からか違う姿になり果ててしまった。いや、いつの頃からかではなく、馬賊をやめたときからだろう。次郎は最後に馬賊として駆けていた満州の大地を思い出した様子。
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船戸与一の畢生の大作「満州国演義」シリーズを初めて手にしたのはたしか7、8年前。新潮文庫版の刊行が始まった頃だ。書店の平棚に積まれた「満州国演義一 風の払暁」の表紙と帯の文面に心を動かされ、ペラペラとページを繰ったのがきっかけ。文庫本刊行に合わせて第四巻「炎の回廊」の途中まで読み進めたものの、雑事に紛れそこで中断。その後の展開はどうなるのかな?時々脳裏によぎるものの時間だけが過ぎていった。
昨春、本の整理をし始めた時に再会した。本の整理は家人から言われ続けていることだが、自由時間が増えたことだし、のんびりやろうと覚悟を固めて、第一巻から再読し始めた次第。そして先日、「満州国演義八 南冥の雫」を読み終えた。再会できて本当に良かったと思う作品だ。本の整理は進んでいない。
本作「満州国演義八 南冥の雫」は、1942年(昭和17年)4月から1944年(昭和19年)6月に至る時代を描く。太平洋戦争開戦後の日本軍の快進撃が一転、破滅への道を突き進む悲劇の時代だ。巻を重ねるごとに広範囲になる口絵地図。本巻では、太平洋を俯瞰し、東はハワイ諸島、西はインドを見渡す広大な地図だ。
「小説」という方法を駆使して「歴史」の真実を抉り出そうとする「満州国演義」シリーズ。第二巻「事変の夜」著者後記に「小説は歴史の奴隷ではないが、歴史もまた小説の玩具ではない。これが本稿執筆の筆者の基本姿勢であり、小説のダイナミズムをもとめるために歴史的事実を無視したり歪めたりしたことは避けて来たつもりである」とある。今でも記憶に残る言葉だ。著者のこうした姿勢が本作「南冥の雫」にも貫かれている。
表題「南冥の雫」の響きはずしりと重い。辞書を検索すると「南冥」とは「南方の大海」とある。ミッドウェー海戦、ソロモン海海戦、アッツ島玉砕・・・各地で繰り広げられた戦争で「雫」のように消えていった多くの命を象徴しているようだ。
こうした時代に、敷島四兄弟はそれぞれ、激動の歴史現場に立ち合う。長兄太郎は満州国の首都新京で国内外の転変するる情勢に翻弄されつつ、自ら招いた悲劇に慄く。四郎はフィリピンで戦争の悲惨な状況を目撃、関東軍特殊情報課に所属することに。三郎は南方戦線や大陸打通作戦の現場を目撃、ソ満国境機動部隊の中隊長に。読み進めるうちに、まるで自分が80年前の歴史の現場に立ち合っているように感じてしまう。引き込まれる作品だ。
次郎は蘭印スマトラ、ジャワ島、ビルマ・・・南方方面を転々と。そして運命の糸に引き寄せられるように囚人部隊を率いインパールの地に。虫葬、蛍飯・・・終章に描かれるインパール作戦の情景はあまりにも悲惨だ。精神論に終始し兵站を軽視し過ぎた「成吉思汗作戦」。ほんの79年前、今頃の時季に行われた作戦だ。私たちは決して忘れてはならない。常に問い直すべき現実だ。本作を読み改めてそう感じた。
いよいよ最終巻へ。「満州国演義九 残夢の骸」に進むとしよう。どんな結末が待ち受けているのだろうか。