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シリーズ第三弾。本作が一番胸に沁みる。生きるとはどういうことなのか,ふと考えさせられる。そんな一冊でした。
あらすじ(背表紙より)
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!ブクログ1位、読書メーター1位、第5回静岡書店大賞、第9回天竜文学賞、4冠!
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この巻はやはり「カナコの歌」でしょう。登場するお母さんの短歌がどれもいい。お母さんが書いた想定で歌集を出してもらっても面白いかも。
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■活字と言葉の温かみが心を解きほぐす。
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!
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人にはそれぞれ、懐かしく感じる風景や出来事などがあると思う。それが景色であったり音であったり、あるいは香りであったりと様々だが、ふとした時に何かがスイッチになって懐かしく思い出すものだ。
大人になってからそうやって“ふと思い出す懐かしい景色”のことを「原風景」と呼ぶらしい。原風景は屋外の景色だけではなく、屋内の景色も含むのだろう。藁葺き屋根の古民家であったり、古い家屋の土間であったり、町工場の機械が動く音であったりと、人の数だけそれぞれの心に刻まれた景色がある。
また、原風景に限らず思い出に残る景色と言うのはたくさんあって、そういった懐かしい景色を思い出すたびに、歳をとるというのも案外悪くないなと思ったりする。
私の思い出の景色のひとつに、小さな印刷工場の室内がある。小学生の頃に仲の良かった友だちの自宅が、小さな印刷工場を営んでいた。学校帰りに遊びに行っては、ガチャンガチャンと大きな音を出しながら力強く動く印刷機械の迫力に見入ったものだ。
当時はまだ活版印刷が使われていた時代だが、そんな景色を懐かしく思い出させてくれるシリーズの最新刊が出た。ほしおさなえさんの書かれた「活版印刷三日月堂 庭のアルバム」だ。埼玉県川越市にある小さな活版印刷所を舞台に、活版印刷をめぐる素敵な物語が連作短編集という形で綴られた一冊だ。
内容(「BOOK」データベースより)
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第3弾!ブクログ1位、読書メーター1位、第5回静岡書店大賞、第9回天竜文学賞、4冠!
物語の始まりは、小さなタウン情報紙の取材だった。川越市にある昔懐かしい映画館が、昔懐かしいウエスタン特集を行おうと企画。それを取材しに行ったところ、チケットを街の小さな活版印刷所にお願いするという話を聞きつける。
そこで作られた活版印刷製のチケットが縁となり、次々と活版印刷所の三日月堂に人が集まる。そして、それぞれに素敵な出会いや気付きを得ながら、三日月堂の店主である弓子の物語へと繋がっていく。
人と人とは見えない縁で結ばれているんだなと思わされる内容であり、何気なく使っている言葉は一つ一つが意思を持っているんだなということを考えさせてくれる一冊だった。
今回発刊された書籍でシリーズ3作目だが、累計で14万部を突破しているというのだからブクログや読書メーターで1位をとっているというのも納得だ。活版印刷の魅力が詰まっているだけではなく、言葉や文字自体の持つ魅力を余すことなく伝えてくれる。このシリーズを読むと、無性に活版印刷で刷られた印刷物をみたくなってしまうのだ。
シリーズ第4弾が今から楽しみだ。
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第三弾。
神保町のフェアって、イメージは活版TOKYOだろうなぁ。
ラストの出会いがどうなっていくのか。
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いくら活版が流行りとは言え、
このモチーフでは
シリーズも長くは続かないだろうと
決めつけていました。
弓子が手探りで印刷所を再開したのと
同じように 頼りなく細々と繋がり始めていた
人の縁が ここに来て網の目のように広がって
弓子を生み 弓子を育んだすべてのものが
目の詰まった手編みのセーターのように
あったかい形を整え始めましたね。
そうしてまだ この物語は終わらない。
新しく始まろうとしているのを感じます。
ことのはを組み 人の思いを誰かに伝える…
なにげないことで 意味のあることは
私の日常にも必ずあるのだと思えてきました。
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「三日月堂」シリーズ第3弾。
三日月堂を中心とした連作短編集。
○自分の仕事と周りの友人たちとの仕事を比べてうつうつしているタウン誌の男性。
○弓子さんの母親の同級生行違いがなくなるまで。
○弓子さんの母親を偲ぶ会のカードから触発され自分の描きたいものが見つかった高校生と、亡くなった祖父の気持ちに気がついた祖母の話。
○フェアで高校生が描いたカードを見た活版印刷を持っている印刷会社の社員と印刷とは何か、弓子さんの母親が育った土地との出会い。
全てに共通するのは、ちょっと勇気を出して行動したり、気持ちを言葉で相手に伝えたら「自分の思っていたこと」とは違う結果になるかも。と思えること。勿論、相手の状況によっては悪い結果になるかもしれません。でも、少しだけ頑張ってみようかな。という読後感を持ちます。
「ねえ、楓さん。わたし、ずっとひとりでやって来たけど、やっぱり人と作業するのって、楽しいな、って思った」。ひとりで活版に向き合ってきた弓子さんは誰かと一緒に活版に向き合っていきたいと思い、人と繋がります。弓子さんも三日月堂も段々と変わってのだなぁと思いました。
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小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!
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年末に買っていて、正月にでも読もうと思っていたのが今になってしまったが、このシリーズ、やっぱりいいなぁ。
通勤の片道の電車の中でサクサクと読み終えるような短い話が4つ。
劇的なことが起こるわけでもなく、主人公が活躍するわけでもないが、お話としての芯が通っており、3冊目になってまた広がりを見せてきた。
第1話、前作からの続きのようなお話だが、作者のご家庭では父君を囲まれハードボイルドや西部劇やミステリーや映画が好きな人が集まって談論風発ワイワイとやられていたのだろうなというようなことを想像させられる。本筋とは関係ないが、本の雰囲気として凄くいい。
そうした昔をなぞりながら、今の時代に生きることや働くことの意味を考えさせられる。
『大人にも何段階かあってね。もがいているうちは一段階目。受け入れたら二段階目』
何のために生きているのか、働いているのか。そんなことが分かってから働くなんてないんだよ、働きながら分かることなんだよ、当地の息子にも言ってやりたい。
と思っていたら、登校拒否気味の女子高生が自分のやりたいことに目覚める第3話。彼女の祖母が語る、親としても子への接し方が耳に痛い。
主人公の父母のことが語られる第2話から、母が暮らした盛岡での縁に繋がる第4話。
全編を通じて、現実にはこんなうまくいくことはないと思いつつも、とは言え、ここにも常日頃から自分の好きなことをコツコツと積み重ねていることの大事さが伺える。
三日月堂に集まる人が皆幸せになっていくのは心地良い。
今年の夏、福島に遠征するが、その途中では川越に行ってみたいと思った。
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人と出会い、その人たちを通して、つながり広がっていくことの面白さをもっと今の時代だからこそ、大切にしていきたいと思えるお話。
さて、どうやらこの物語はまだまだこれから続いていくようだ。主人公の転機になるのかな。
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【あらすじ】
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!
【感想】
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読んだになってたけど、え?読んでた?という感じです。
積読状態だったと信じて。
改めて、このシリーズ好きですね。
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今回は、弓子さんのお母さんに関連するお話が根底にあって、今までのシリーズを通して、弓子さんご家族に関するお話がすべて語られた気がします。
弓子さんが家族のことに触れるたびに、三日月堂を訪れた人たちや弓子さん自身も少しずつ成長している。
そんな弓子さんに、三日月堂での決意だったり、大きな印刷機械のことだったり、偶然が必然になり、新しい門出を迎えた巻でした。
弓子さんの考え方や決断は読んでいても心地よくて応援したくなるし励まされます。軽い小休止を迎えた気もしますが、これから三日月堂がどうなっていくのか、とても気になります。
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図書館で借りたもの。
大好きなシリーズの3作目。
前作で出てきた『我らの西部劇』がちゃんと本になってるのが分かって良かった。
ぜんぶ刷るのに3週間。それを全部一人でってすごいなぁ。
今作では『カナコの歌』が好き。
三日月堂店主・弓子のお母さんのお話。
短歌っていいなぁ。
短い中に思いがぎゅっと詰まってる。
いま、活版印刷の商品がいろいろあるけど、ほとんどが凸版で作ったものなんだろうな。
活字を組んで作った活版印刷を見てみたい。
弓子にもいろいろな出会いがあり、これからの三日月堂がどうなっていくのか…。
続きが気になるなぁ。
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活版印刷三日月堂をひとりで営む弓子と、活版印刷に魅せられた人々の物語を、ゆるやかなチェーンステッチのように綴る、連作短編集その3。
硬い蕾のようだった弓子が、少しずつ表情も言葉も意欲も豊かになってきた。
今回は、タウン誌の取材を受けた事をきっかけに、早逝した母カナコの残した短歌を作品に仕上げる依頼を受けた弓子は、活字になった母の短歌に、「生きててよかった」と笑顔を見せる。
そして、母の句を印刷したカードを目にした女子高生との出会いで、人と作業する喜びを見出し、依頼を受けて制作する受け身の姿勢からさらに前進し、自ら企画した作品を制作・販売することに挑戦する。
そして、さびしさを常にまとってきた、天涯孤独な弓子のパートナーになる予感を感じさせる男性・悠生との出会い。
少なくとも、彼は、祖父の大型印刷機を甦らせ、本を作りたいという気持を持ち始めた弓子の、大きな支えになることは間違いない。
でも、これまでも弓子自身にひそかに惹かれているらしき男性たちが何人も…
まさか次巻はそんな男性陣たちが火花を散らす?
物語が進むにつれて、弓子がだんだんくっきりとした輪郭を持って生きる女性となってきて、ますます次巻が楽しみ!
どんな物語が待っているかはわからないけれど、弓子が早く「ひとりぼっち」でなくなりますように。