なるほど活版印刷にふさわしい
2019/07/04 21:20
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
ほしおさなえ『活版印刷三日月堂』の3巻目、「庭のアルバム」を読みました。
一言で言うと、とてもよかった。
ストーリーもだけど、八木重吉の詩が出て来て、なるほど三日月堂の印刷にはぴったりだと思いました。
短くてひらがなが多くてやさしくて鮮烈。
さらに、盛岡が舞台になったのもうれしい。
盛岡は好きな街の一つで、なるほど、賢治や啄木ゆかりの盛岡は活版印刷にふさわしい。
そんなわけで、まだ次に続く終わり方だったのでほっとしています。
しばらくしたら、また読める。
よかった。
月子さんの静かな情熱
2023/05/21 00:44
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投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
人と人との繋がりの大切さを、
本当に素直に感じさせてくれます。
印刷機を残したいけれど、
残す意味を言語化できない葛藤など、
文化はこうやって形を変え消えていくのかな、
と寂しく思いました。
月子さんの静かな情熱を見守りたい。
素直に感動できるシリーズの3冊目!
2021/05/09 17:48
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投稿者:higassi - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ3冊目。素直に感動できるシリーズですね。短歌や万葉集など「活版印刷」が映える世界が展開されたり、弓子さんのお母さんのことに触れられたりと、読者を飽きさせない流れが素晴らしい!
柔らかく優しい…
2020/07/13 17:37
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
柔らかく優しい世界。それでいて寂しさが一滴混ぜられているエピソードが揃っている。
「庭のアルバム」の楓ちゃんの部活エピ「部にいたのはマンガやイラストっぽい絵を描く子ばかり」のくだり、まんま自分の事なので楓ちゃんみたいに高尚じゃなくてごめーんという気持ちになった。
優しさと癒しがいっぱい!
2018/05/06 22:46
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投稿者:しんごろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ第3弾!シリーズが進むにつれて、優しさと温かさが更にパワーアップしてきましたね。『カナコの歌』には、思わず涙ぐみましたね。『庭のアルバム』も温かさがあって良かったです。いや、結局、全部がいいですね。弓子さんの仁徳が、出会い、気づきを素敵にしていくんではないかと思います。読了後、たくさんの素敵な一文(言葉)に気づきをもらい、こんなに温かさと優しさに包みこまれる作品はそうはないですね。思いっきり伏線を残して終わった今作だけに、次回作が早く読みたくなります。
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シリーズ第三弾。本作が一番胸に沁みる。生きるとはどういうことなのか,ふと考えさせられる。そんな一冊でした。
あらすじ(背表紙より)
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!ブクログ1位、読書メーター1位、第5回静岡書店大賞、第9回天竜文学賞、4冠!
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この巻はやはり「カナコの歌」でしょう。登場するお母さんの短歌がどれもいい。お母さんが書いた想定で歌集を出してもらっても面白いかも。
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■活字と言葉の温かみが心を解きほぐす。
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!
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人にはそれぞれ、懐かしく感じる風景や出来事などがあると思う。それが景色であったり音であったり、あるいは香りであったりと様々だが、ふとした時に何かがスイッチになって懐かしく思い出すものだ。
大人になってからそうやって“ふと思い出す懐かしい景色”のことを「原風景」と呼ぶらしい。原風景は屋外の景色だけではなく、屋内の景色も含むのだろう。藁葺き屋根の古民家であったり、古い家屋の土間であったり、町工場の機械が動く音であったりと、人の数だけそれぞれの心に刻まれた景色がある。
また、原風景に限らず思い出に残る景色と言うのはたくさんあって、そういった懐かしい景色を思い出すたびに、歳をとるというのも案外悪くないなと思ったりする。
私の思い出の景色のひとつに、小さな印刷工場の室内がある。小学生の頃に仲の良かった友だちの自宅が、小さな印刷工場を営んでいた。学校帰りに遊びに行っては、ガチャンガチャンと大きな音を出しながら力強く動く印刷機械の迫力に見入ったものだ。
当時はまだ活版印刷が使われていた時代だが、そんな景色を懐かしく思い出させてくれるシリーズの最新刊が出た。ほしおさなえさんの書かれた「活版印刷三日月堂 庭のアルバム」だ。埼玉県川越市にある小さな活版印刷所を舞台に、活版印刷をめぐる素敵な物語が連作短編集という形で綴られた一冊だ。
内容(「BOOK」データベースより)
小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第3弾!ブクログ1位、読書メーター1位、第5回静岡書店大賞、第9回天竜文学賞、4冠!
物語の始まりは、小さなタウン情報紙の取材だった。川越市にある昔懐かしい映画館が、昔懐かしいウエスタン特集を行おうと企画。それを取材しに行ったところ、チケットを街の小さな活版印刷所にお願いするという話を聞きつける。
そこで作られた活版印刷製のチケットが縁となり、次々と活版印刷所の三日月堂に人が集まる。そして、それぞれに素敵な出会いや気付きを得ながら、三日月堂の店主である弓子の物語へと繋がっていく。
人と人とは見えない縁で結ばれているんだなと思わされる内容であり、何気なく使っている言葉は一つ一つが意思を持っているんだなということを考えさせてくれる一冊だった。
今回発刊された書籍でシリーズ3作目だが、累計で14万部を突破しているというのだからブクログや読書メーターで1位をとっているというのも納得だ。活版印刷の魅力が詰まっているだけではなく、言葉や文字自体の持つ魅力を余すことなく伝えてくれる。このシリーズを読むと、無性に活版印刷で刷られた印刷物をみたくなってしまうのだ。
シリーズ第4弾が今から楽しみだ。
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第三弾。
神保町のフェアって、イメージは活版TOKYOだろうなぁ。
ラストの出会いがどうなっていくのか。
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いくら活版が流行りとは言え、
このモチーフでは
シリーズも長くは続かないだろうと
決めつけていました。
弓子が手探りで印刷所を再開したのと
同じように 頼りなく細々と繋がり始めていた
人の縁が ここに来て網の目のように広がって
弓子を生み 弓子を育んだすべてのものが
目の詰まった手編みのセーターのように
あったかい形を整え始めましたね。
そうしてまだ この物語は終わらない。
新しく始まろうとしているのを感じます。
ことのはを組み 人の思いを誰かに伝える…
なにげないことで 意味のあることは
私の日常にも必ずあるのだと思えてきました。
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「三日月堂」シリーズ第3弾。
三日月堂を中心とした連作短編集。
○自分の仕事と周りの友人たちとの仕事を比べてうつうつしているタウン誌の男性。
○弓子さんの母親の同級生行違いがなくなるまで。
○弓子さんの母親を偲ぶ会のカードから触発され自分の描きたいものが見つかった高校生と、亡くなった祖父の気持ちに気がついた祖母の話。
○フェアで高校生が描いたカードを見た活版印刷を持っている印刷会社の社員と印刷とは何か、弓子さんの母親が育った土地との出会い。
全てに共通するのは、ちょっと勇気を出して行動したり、気持ちを言葉で相手に伝えたら「自分の思っていたこと」とは違う結果になるかも。と思えること。勿論、相手の状況によっては悪い結果になるかもしれません。でも、少しだけ頑張ってみようかな。という読後感を持ちます。
「ねえ、楓さん。わたし、ずっとひとりでやって来たけど、やっぱり人と作業するのって、楽しいな、って思った」。ひとりで活版に向き合ってきた弓子さんは誰かと一緒に活版に向き合っていきたいと思い、人と繋がります。弓子さんも三日月堂も段々と変わってのだなぁと思いました。
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小さな活版印刷所「三日月堂」には、今日も悩みを抱えたお客がやってくる。店主の弓子が活字を拾い刷り上げるのは、誰かの忘れていた記憶や、言えなかった想い。しかし三日月堂を続けていく中で、弓子自身も考えるところがあり…。転機を迎える、大好評シリーズ第三弾!
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年末に買っていて、正月にでも読もうと思っていたのが今になってしまったが、このシリーズ、やっぱりいいなぁ。
通勤の片道の電車の中でサクサクと読み終えるような短い話が4つ。
劇的なことが起こるわけでもなく、主人公が活躍するわけでもないが、お話としての芯が通っており、3冊目になってまた広がりを見せてきた。
第1話、前作からの続きのようなお話だが、作者のご家庭では父君を囲まれハードボイルドや西部劇やミステリーや映画が好きな人が集まって談論風発ワイワイとやられていたのだろうなというようなことを想像させられる。本筋とは関係ないが、本の雰囲気として凄くいい。
そうした昔をなぞりながら、今の時代に生きることや働くことの意味を考えさせられる。
『大人にも何段階かあってね。もがいているうちは一段階目。受け入れたら二段階目』
何のために生きているのか、働いているのか。そんなことが分かってから働くなんてないんだよ、働きながら分かることなんだよ、当地の息子にも言ってやりたい。
と思っていたら、登校拒否気味の女子高生が自分のやりたいことに目覚める第3話。彼女の祖母が語る、親としても子への接し方が耳に痛い。
主人公の父母のことが語られる第2話から、母が暮らした盛岡での縁に繋がる第4話。
全編を通じて、現実にはこんなうまくいくことはないと思いつつも、とは言え、ここにも常日頃から自分の好きなことをコツコツと積み重ねていることの大事さが伺える。
三日月堂に集まる人が皆幸せになっていくのは心地良い。
今年の夏、福島に遠征するが、その途中では川越に行ってみたいと思った。
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人と出会い、その人たちを通して、つながり広がっていくことの面白さをもっと今の時代だからこそ、大切にしていきたいと思えるお話。
さて、どうやらこの物語はまだまだこれから続いていくようだ。主人公の転機になるのかな。