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口承文芸を専門とする民俗学者による「怪談」関連の論文集。どれも面白かったがネットロア「きさらぎ駅」について述べた「スマホサイズ化される怪談」が特に興味深かい。過去の体験を語る実話怪談と異なりリアルタイムで進行していく点への注目などなるほどなぁと思った。おまけのコラム記事も良い。
他の本も読んでみたいと強く思わせる内容。
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怪談の何が怪談を怪談たらしめているかということを中心に、オーソドックスな怪談のみならず、猥談や悲話、ネットロアや実話怪談についての評論をまとめた本。それぞれの章、発表した年が違うこともあって全体としてのまとまりはそれほどでもないのだが、豊富な注からもわかるようにしっかりした作りではあり、なおかつ読み物としても楽しむことが出来る。怪談が一つのジャンルとして確立していることを実感。
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怪談というものの定義と、それから分岐する創作怪談と実話怪談についての考察はとても面白く楽しく読めた。
単純な私は怖い話は、単純に怖い話で怪談であると思っていたが、怪談というものがそもそも語りであり、物語とはまた違う文脈と性質を持つというのはとても興味深く思えた。怪談が時に美談になり、笑い話となるというのも、指摘されてみればなるほどと膝を叩く内容で、そもそもとして語り手と聞き手の関係によって成立するものという根本的な部分が、すぱっと解説されているのも面白いと思えた。
物語と怪談の違いや、神と妖怪の差異といったものの事例としてアマビエが出てくるのも面白い。参考文献に気になるものがいくつかあったので、読んでみたいとも思った。特に、以前読んだはずなのに、ほとんど頭に残っていない『妖怪学新考』はぜひとも読み返したい。どこにしまっちゃったかなーっ捨ててはいないはずなんだけど……