窓の灯とおく
企業で遺伝子の研究をしている葛井築は、人づき合いの一切をひたすら面倒だと思ってきた。そんな築が通勤電車で、灰谷新と出会う。痴漢に遭っていた高校生を颯爽と庇う新を理解できな...
窓の灯とおく
商品説明
企業で遺伝子の研究をしている葛井築は、人づき合いの一切をひたすら面倒だと思ってきた。そんな築が通勤電車で、灰谷新と出会う。痴漢に遭っていた高校生を颯爽と庇う新を理解できないと断じた築だが、実は近所住まいだった彼から人なつこく構われ続ける羽目に。新に会ってからというもの、築は己の情動と行動をうまく制御できなくなって……?
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
初恋なのかも。
2012/01/23 22:24
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きなこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「街の灯ひとつ」のスピンオフ。
ドライというかもはや人間が苦手な築は、満員電車での痴漢騒ぎで、新と出会う。新はなんと向かいのマンションに住んでいて毎日同じ時間帯の通勤電車で出会い・・・。
淡々としていた築が自分の気持ちを自覚するところとか、ローテーブルの件とか、ふとした気持ちが描かれるところがすごくうまいなーと思った。築が人を好きになって、無関心じゃいられなくなっていく様子がとても丁寧に書かれていてよかった。
築にはこれが初恋なのかも。好きな人に好きといえなくてもいいから、どうにかして幸せになってほしいと仕掛けを用意する築がせくなくていじらしい。
「街の灯ひとつ」と同じくらいの時間軸で話が進んでいた様なので、「街の灯ひとつ」も未読の方は併せて読んでみるのもいいかもです。(築がたまに出てくる程度ですが)
読中感が良い
2011/12/05 22:28
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クローバー100 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一穂先生の文章や会話のやりとりが大好きです。読書中にふっと表情が和らぐほど、微笑むことがあります。
読書中から読後感も幸福感が持続します。一穂先生の作品は、出会いから付き合うまでは、少女マンガのように少し都合のよい展開なんですが、おとぎ話でいいじゃないと思えるくらい、安心して読めます。癒し系の作家だと思います。
「窓の灯りとおく」は、企業で遺伝子の研究をしている葛井築(受)は、人付き合いの一切が面倒だと思ってきた。そんな中通勤電車で灰谷新(攻)と出会う。痴漢に遭っていた高校生を颯爽とかばう新を理解できないと断じた築(受)だが、実は近所住まいだった彼から、人なつこく構われ続ける羽目に。新に出会ってからというもの、築(受)は己の情動と行動をうまく制御できなくなって・・・・?
「窓のあかりとおく」と「鍵の音ちかく」と「胸の音いずこ(あとがきにかえて)」とあります。
蚕の育つ音
2022/07/11 05:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
「窓の灯りひとつ」のスピンオフ
前作読んでなくても大丈夫な感じですけれど
初鹿野の気になる同僚の築の話なのと
時系列が同じなので読んでおくと深まる感じはします。
ああ、あの時築はこういう状態だったのかとか思ったりね。
起業で遺伝子の研究職についている人との付き合いを面倒に思っている築
痴漢をきっかけに電車で出会い向かいに住んでいた新
そこに蚕が加わって交流を深めていくのが興味深い
新のトラウマ
自分の潜在しているかもしれない「性質」への恐怖
そして恋心
今まで人と関わったりすることをうとましく思っていた築の
目覚めた恋心
その気持ち所以の行動がこれまたちょっと斜め上。
すごい、ある意味献身って言っても良いくらい
これをしようと思いできる築が愛らしくなってしまいました。
築の両親が、ああこの人たちが育てたから築はこう育ったんだろうなぁって
思ったりしてしまいました。
新の親との対比としての存在としても秀逸
前作よりも二人の気持ちが刺さってきた作品でした。
余談ですがこの作品個人的にも刺さってくるものがあった。
まずは蚕
蚕の食べる時の音は知っている
(一時家で飼っていた者がいたので)
繭になる姿も、羽化する姿も見て
そして蚕の習性(羽化したら飛べない云々)を知った時の
なんかやりきれないような恐ろしい気持ち
そして「ガタカ」これ映画館で観たんですよねー
そのときに感じた気持ちが
個人的な何かにぶすぶすささってきた作品でもありました。
スピンオフです。
2017/03/08 19:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かすみ草 - この投稿者のレビュー一覧を見る
スピンオフですが、こちらだけ読んでも構わない感じでした。
人との付き合いが苦手(嫌い?)な築が、新との出会いを経て、相手を思いやれたり、気遣ったりと変わっていく姿が良かったです。
何をどうしたら一生を『全う』したと思えるのか。の答えを恋で知る。
2016/09/09 06:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nachi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「街の灯ひとつ」よりこちらの方が好きです。恋愛的なストーリーとかではなく、人物が普通に好みという観点で、もちろんストーリーもとても良かったです。
何事にもありのままを話す人って好きです。自分と真っ向な意見だとしても、口に出きる人って尊敬します。裏表とかそういう概念が最早基から無い、っていう。隣にいると楽だと思う。新の気持ちに共感するというか、もう電車、改札で会った瞬間から、人間的にぴったり嵌まったんだなって。
人を好きになる理由がその人間が好きだからっていうのは、わたしが性別関係なく好きになる質だからであって、普通の場合あまりそうはいかないんだろうか。
前回のでもあったシーンで、蚕が桑食ってんのみて、こっちも食べたくなるのもすごく共感してしまった。苦笑
子供の頃、よく蝶を卵から育てて、それを思い出して、また見たくなった。
蛹が羽化する瞬間とか。また蚕は全然違うんだろうな。
魚とか虫、あまり人に慣れない生き物の食事をみると、何のためになんて、意味のないことを考えたりも時たまあるわけで。
生き物の変態を、自分や誰かや物事に置き換える話も沢山あるんだろうが、するすると内側に、大きな波があるんでなくて、理解できる。
このお話はblというよりは、そういった面の入り込み方ができて、純粋に良いなっていう感想を抱きました。でももちろん恋の切なさにも涙しました。
4
2017/07/28 00:28
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:NATSU - この投稿者のレビュー一覧を見る
一穂ミチ『街の灯とおく』4
前作『街の灯ひとつ』のスピンオフで、葛井さんが主人公です。
BLにはよくあるオマエモホモカー展開ですが、実は時間軸が前作と同時進行らしく、ホモのバタフライ効果ならぬ見事なシンクロホモ。
そしてお相手は義肢装具士と、またちょっと変わったご職業ですね。
前作の様にエキセントリックな関係ではなく、磁石の様に惹かれ合う関係も素敵です。
但し、受けは毎度恒例のエキセントリックキャラ。クールぶっておきながら、恋に落ちた途端にパッションな人格に・・・。
前作との対比や、『裏窓』設定も面白いです。
光と熱がテーマになっているのは同じでも全く違う印象で、前作以上にタイトルが沁みます。