- 販売開始日: 2021/03/10
- 出版社: 日経BP
- レーベル: 日経プレミアシリーズ
- ISBN:978-4-532-26455-0
お殿様の定年後
著者 安藤優一郎
ご隠居様、それでは藩の財政がもちませぬ!著述活動、文化振興、歌舞伎見物、庭園整備……家督を譲った後も、彼らはアクティブに天寿を全うした。 江戸時代は泰平の世。高齢化が非常...
お殿様の定年後
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商品説明
ご隠居様、それでは藩の財政がもちませぬ!
著述活動、文化振興、歌舞伎見物、庭園整備……
家督を譲った後も、彼らはアクティブに天寿を全うした。
江戸時代は泰平の世。高齢化が非常に進んだ社会だった。そのうえ大名は充実した医療も受けられ、隠居後の長い人生を謳歌できる資産もあった。
隠居すると、現役時代のように政治向きに関与することはほとんどなく、著述活動のほか、文化財の収集や保護などに力を入れるのが通例で、パトロンとして期待した文化人も集まってくる。そんな文化人のサロンをつくり文化事業を展開した。
現役時代にはできなかった娯楽に興じるお殿様も多かった。隠居後は江戸で余生を送るのが定番で、上屋敷を跡継ぎに譲り、巨大庭園のある中屋敷や下屋敷が生活の拠点となる。屋敷外での行動も束縛がなくなり、歌舞伎小屋に連日通う事例もみられた。江戸は日本最大の娯楽街であり、お殿様たちが江戸での隠居生活に憧れる大きな理由にもなっていた。
文化や娯楽に投じた費用が巨額にのぼり、藩の財政を傾かせる要因となった事例まである。例えば、徳川光圀が端緒を付けた『大日本史』編纂は水戸藩の財政に重くのしかかった。また、『大日本史』編纂を通じて創り上げられた水戸学は歴史を動かす原動力となったことは、はからずも幕末の歴史が証明している。政治への影響力も見逃せないのである。
権力に未練を残しつつもそれぞれの事情で家督を譲った後、藩主時代にはできなかった趣味に没頭するなどアクティブに活動した彼らの姿を通じ、知られざる歴史の一面を描き出す。
目次
- プロローグ 隠居という名の「定年」制
- 第1章 大名のご公務――江戸と国元の二重生活
- 1 隠居と家督相続のルール
- 2 堅苦しい江戸での生活
- 第2章 水戸藩主徳川光圀――水戸学を創った名君の実像と虚像
- 1 苦難の藩主時代
- 2 『大日本史』編纂に込めた光圀の狙い
- 3 水戸学の誕生
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お殿様の定年後
2022/02/17 23:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雨読 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は安藤優一郎氏です。
江戸時代の大名の隠居にまつわる話題が取り上げてありました。
水戸藩主徳川光圀、大和郡山藩主柳沢信鴻、白川藩主松平定信、肥前平戸藩主松浦静山、薩摩藩主島津重豪の五人に焦点を当てそれぞれの隠居までの様子や隠居後の生活について記載されており大変面白く拝読させて頂きました。
帯のコピーとはやや違い
2021/10/26 17:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Zyousui - この投稿者のレビュー一覧を見る
帯の「ご隠居、それでは藩の財政が!」とややコミカルなコーピーと違い、紹介さてている5人の殿様の生涯を現役時代を含め少ない紙面の中で丁寧に説明。
水戸光圀の藩財政の失敗、失脚後の松平定信が改革で取り締まった山東京伝などを活用しての文化事業など、いずれの興味ぶかく読めた。
殿様の第二の人生
2022/05/31 13:26
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代に生きた殿さまたちが隠居後どの様に過ごしていたかを書いている。5人の殿様を挙げているが、大日本史編纂に藩財政を傾けた徳川光圀。六義園復興を行った柳沢信鴻、言論出版を取り締まりながら引退後は文芸復興にいそしんだ松平定信など興味深い。エピローグにある幕末の隠居藩主の役割がもっと書かれていればさらに面白かったのではないか。