姉が介護の現状に興味を持つだけマシ?
1週間ほど前にも「電話できますか?」とラインが来て、私は夕方からのお客さんを迎える直前で、今から仕事で無理なんだと返事をした。
そこから再び「今日これからはどうでしょうか?」と低姿勢にお伺いラインが届いたのだった。
姉の電話には、いつも用件がない。
「最近はどうでしょうか?」と、母の様子を聞くだけなので、こちらが主導権を握って喋るだけ。だから疲れる。
どうでしょう? と聞かれても、変わりないとしかまとめようがない。細かいことを言い始めたら無限にあるが、東京の姉に報告するまでもない日常だからだ。
「えーー、まあ変わりはないって感じかな」
と、言うと、
「じゃあ、2人(私と夫)に迷惑をかけるようなことは特にないって感じ?」と、姉。
「いやいや、それはあるよ!」
「あるの?」
「それも含めて変わりないってことだよ。それは日々いろんなことあるに決まってるじゃん」
「そっか…」
母は安定してボケている。ああ、今日は普通に会話ができたなって言う日もあるし、何を言ってるのか解読できない日もある。急に困ったことを言い出して、説得することもあるし、私も夫も根気強く母の会話に付き合っている。
でも、それが日常なので、最近どうかとざっくり聞かれても、報告するほどのことでもないのだ。
だって、治ることはないのだし、悪くなるだけなのだから。
父のように命の危険がある病気が見つかったりはしていないけれど、じわじわと進行していき、血圧も高かったり普通だったり、薬もあまり効いている感じがしない。
「あ、認知症の薬がマックスまで増量になったよ。3mgから始まって、5mgに増量したんだけど、先週末からマックスの10mgになった。先生は遅かれ早かれ10mgに増量するものなので、と言ってたかな」
と、言うと、電話の向こうで、パチンとボールペンのインクが出た音がする。姉はせっせと何かメモをしているようだ。
真面目か!
2年前、両親の介護認定をとった頃、極端に両親の様子がおかしくなっていき、私と夫は翻弄されていたのだけど、姉はコロナを言い訳に帰ってくることもなく、様子伺いをすることもなかった。そのうち、母が急に坂を転がり落ち始め、外出ができなくなり、排泄もうまくいかなくなりリハパン生活になり、家事機能全てを失った。その頃、姉は呑気に「ヘルパーさんや看護師さんや訪問してくださる方がたくさんいらっしゃって、両親も安定してきているのでは? ルミコたちの負担も少しは減ってきたのでは?」とメッセージを送って来た。
逆よ。逆。状態が悪くなっているから、訪問してくる人が増えてるのよ。人が増えるたびに契約やら伝言やら駐車場の調整やらやることも増えて、私たちの負担は減るわけがなかった。本気で心配しているのなら、都度聞いてくれないと、数ヶ月まとめてなんてとてもまとまらない!
と、私はブチギレしたのでした。
それ以来、姉は定期的にお伺いラインをよこし、「どうですか?」と言う電話をかけてくるようになった。
興味を持つだけマシなのかなと思う。遠方のきょうだいに翻弄されている人の中には、一切関わりを絶ってくる場合もある。面倒なことに関わりたくない、親の衰えた姿を知りたくない見たくない、できればお金も払いたくない、そんなところだろう。それに比べれば、と言う次元だが、私にどんなに冷たくされても母の変化を知ろうとするだけ姉はまだマシなのかもしれない。
ただ、お金の話だけは自らは絶対にしない! 的外れな発言も多い! 母のことは聞いて来ても、私たちが無理していないか、何か足りないものはないかなどの気遣いはない! とにかく気が利かない。今のままだとただの知りたがりなのだ。
姉が知ったとてどうなることでもない。何かしてくれるわけでもない。私は姉に話すために衰えた母の行動を反芻することでまた嫌な気持ちになる。
夫が「姉ちゃんは、何のために聞いてくるんだろうな?」と、シンプルに疑問を投げて来た。
「さあ。ブログでも書いてるのかしら?」と、私が言うと、夫が爆笑していた。そんな熱量があればぜひ読んでみたいところだが、それはまずない(笑)。
せいぜい「教会でみんなで祈っています」とでも言うのだろう。
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#親の介護
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