プロ野球の試合中にロッテ・佐々木朗希投手(20)に対して球審が詰め寄った場面が議論を呼んでいる。何が問題だったのか。プロ野球パ・リーグの審判を29年間務め、日本野球機構(NPB)の審判技術委員として後進を育てた山崎夏生(なつお)さん(66)は、試合後の審判団の対応について疑問を呈し、「しっかりと説明責任を果たして、応援される存在になってほしい」と求める。
「私は何があろうとも審判の味方。とはいえ、時には苦言も必要です」。現在は「審判応援団長」として審判の権威向上や野球発展に向けて活動している山崎さんが語るのは、佐々木投手が登板した24日のオリックス戦(京セラドーム大阪)での出来事だ。
二回2死一塁、カウント0―2から3球目の外角低めへの際どい直球がボールと判定されて盗塁も許すと、二塁方向から振り返った佐々木投手は苦笑いを見せながら数歩、前に出てマウンドを降りた。その動きを問題視したのか、白井一行(かずゆき)球審(44)がマスクを取ってマウンドへ向かい、2人の間に入った松川虎生捕手(18)に対しても厳しい表情で声をかけた。試合後、ロッテの井口資仁(ただひと)監督は「球審はもっと冷静にやらないといけないと思いますし、当然判定に対しては何も我々は言ってはいけない」と話した。
まず、山崎さんは球審の行動については「あくまでも、ルールに沿った審判の仕事」だと見ている。
公認野球規則の8・02審判員の裁定(a)の【原注】には「ボール、ストライクの判定について異議を唱えるためにプレーヤーが守備位置または塁を離れたり、監督またはコーチがベンチまたはコーチスボックスを離れることは許されない。もし、宣告に異議を唱えるために本塁に向かってスタートすれば、警告が発せられる」とある。山崎さんは「マウンドを降りたという事実に対して、審判はルールを適用しなければいけない」と説明する。
一方で、苦言を呈するのは、その後の審判団の対応だ。通常、1軍は球審と塁審3人、控え審判1人の5人で1試合を担当する…
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