連載

エンタメノート

お笑い、大衆芸能、放送などエンタメ全般を取材してきた、油井雅和記者が「舞台裏」をつづります。

連載一覧

エンタメノート

紅白、レコ大の歌がわからない… 今の時代の「はやり歌」って

松枝忠信さん=兵庫県西宮市で、油井雅和撮影
松枝忠信さん=兵庫県西宮市で、油井雅和撮影

 年末恒例の日本レコード大賞(レコ大)、紅白歌合戦も間近だが、「出場歌手や歌を知らない」という声を今年は例年以上によく聞く。歌の世界も世代交代の波は止められないが、この先、演歌や歌謡曲はどうなるのか。レコ大の審査にもかかわった芸能記者の大ベテラン、松枝忠信さんに聞いた。今の時代の「はやり歌」とは――。【油井雅和】

かつて夜の街では…

 御年88歳。「頭だけはダメですけど体はこの通り元気」と言う松枝さん。歌謡界に深く食い込んだ記者として知られ、レコ大が第10回を迎える1968年、読売テレビ「ベストヒット歌謡祭」の前身、「全日本有線放送大賞」を立ち上げた一人だ。

 「あれは最初は、深夜番組『11PM』(読売テレビ、日本テレビ)の年末企画で、『夜のレコード大賞』として始まりました」

 かつてクラブやキャバレーでは、電話代の10円玉で有線放送に聴きたい曲をリクエストできた。

 「夜の街で、酒を飲みながら10円玉で聴きたい曲はなんだろうと。有線で聴かれている曲を番組で紹介することで、レコ大とは違う新しいもの、ええ歌を拾いたい、という精神があった。ニューヨークで約1カ月、いろんなエンタメを見て、しっとりした歌ばかりでははしゃぐことがない、歌というのははしゃぐものだと感じたんです」

 84~86年にはテレサ・テンさんが「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」で全日本有線放送大賞を3連覇。スターとなるきっかけにもなった。

 そんな松枝さん。子どもの頃は、軍歌を聴いて口ずさんでいた。そして、「田端義夫さん、美空ひばりさん、三波春夫さんで育ちました。今の人は自分の好きな今の歌を楽しんで、年を取ると、その歌をなつかしい歌謡曲や演歌のように歌うんでしょうね。僕らの世代は今の歌にはついていけないし、それは仕方のないこと」と言う。

レコ大「五八戦争」

 40年以上も前。かつてはレコ大で「大賞は五木(ひろしさん)か八代(亜紀さん)か」と、今の時代で言えばM-1グランプリの優勝決定の瞬間よりも多くの人が注目した時代があった。アイドル歌手が次々に登場し、熱狂的なファンも増えていった。はやり歌が、その一年を表したと言っても過言ではなかった時代。だが、その捉え方は今、変化しているようだ。

 …

この記事は有料記事です。

残り1480文字(全文2415文字)

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月
  翻译: