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高校駅伝2023ここに注目

「ぽつっといた原石」が光を放つまで 仙台育英エース・大浜逞真

全国高校駅伝で好走が期待される仙台育英の大浜逞真=宮城県総合運動公園で2023年11月25日午前11時2分、深野麟之介撮影 拡大
全国高校駅伝で好走が期待される仙台育英の大浜逞真=宮城県総合運動公園で2023年11月25日午前11時2分、深野麟之介撮影

 「よくあの走りで先頭について行けるな」。それが恩師の第一印象だった。

 昨年まで目立った成績はなかったが、今季、才能を一気に開花させた3年生がいる。男子の仙台育英(宮城)のエース、大浜逞真(たくま)選手。埋もれていた「原石」はどのように磨かれ、都大路の注目選手に成長できたのか。

 <「高校駅伝ここに注目」では、24日に開催される全国高校駅伝の男女注目選手のストーリーを紹介します>

フォームはバラバラ、でも……

 「宮城にぽつっといた原石が、将来は日の丸を背負える可能性のあるところまで成長してきた。めっちゃうれしいです」

 大浜選手が高校1年生の時の監督だった真名子圭・大東文化大監督は、感慨深げだ。

 真名子さんは原石の可能性にいち早く気づいた。2019年6月。ある大会の3000メートルを視察に行くと、当時中学2年生だった大浜選手が目に留まった。

 フォームはバラバラ。体の線も細い。だが、必死に先頭集団に食らいついていた。「よくあの走りで先頭について行けるな」。それが第一印象だった。

 ただ、同時に一つの確信も芽生えた。「あのガッツは、絶対に駅伝で力を発揮する。体ができてフォームが安定すれば、一気に化けるはずだ」

仙台育英の大浜逞真=宮城県総合運動公園で2023年11月25日午前11時2分、深野麟之介撮影 拡大
仙台育英の大浜逞真=宮城県総合運動公園で2023年11月25日午前11時2分、深野麟之介撮影

 レース後、大浜選手を指導する顧問の先生に声をかけた。「彼にうち(仙台育英)に来てほしいです」

 返事は予想外だった。「(大浜選手は)両親の仕事の都合で、来年から埼玉県の学校に転校するんです」。この時は仙台育英への入学は厳しいように思えた。

 それでも諦めきれない真名子さんは翌年夏、埼玉県の試合に足を運んだ。大浜選手は1年前より少し体が大きくなり、タイムも20秒近く縮めていた。改めて高い将来性を感じ、本人に「もう一度、仙台に戻ってきてほしい。うちで待っているから」と伝えた。

 大浜選手の当時の心境は「埼玉県の公立高校を受験するつもりだった。陸上は『そこそこ』で続けようと思っていた」。それでも真名子さんの熱意に動かされ、仙台育英の体験入部に参加した。「違う学年間でも交流が活発で、チームの雰囲気も明るい。この環境でやってみたい」。寮に入り、本格的に陸上と向き合うことを決意した。

吉居兄弟に重なる姿

 最初はハイレベルな練習についていくのが精いっぱいだった。「同期の中で僕が一番、中学時代の練習量が少なかった」。ジョギングのペースもこれまでと比べものにならないほど速く、こなすのに一苦労だった。

 2年生までは「シンスプリント」と呼ばれる、足のすね付近の脛骨(けいこつ)の炎症など、故障の多さにも悩まされた。しかし、3年生になり、朝練習でもも上げなどの「動き作り」に力を入れると、徐々に故障が減った。

 「継続して練習を積めるようになったことが、今年の飛躍につながった」。今夏の全国高校総体5000メートルでは折田壮太選手(兵庫・須磨学園)に続き、日本選手2番手の6位。全国高校駅伝で優勝回数2位タイの強豪・仙台育英の大黒柱に成長した。

 真名子さんはともに仙台育英OBで、正月の箱根駅伝での快走が期待される中央大のエース吉居大和選手、弟の駿恭選手と大浜選手の姿を重ねる。「レースの爆発力や、大事な試合の前に一気に調子を上げてくる集中力は似ている」。大浜選手は真名子さんが指導する大東大に進学予定という。

 大浜選手を2年生の時から指導する仙台育英の千葉裕司監督も「芯が強く、目標に対する実行能力が高い。まさにアスリート気質」と評する。

 都大路では各校のエースが集まる最長の1区(10キロ)で起用される可能性が高い。大浜選手は「やっぱりラスト勝負。1秒でも競り勝って区間賞を取りたい」。納得する走りができた時、原石はまばゆい光を放つはずだ。【深野麟之介】

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