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トランプ氏とイーロン・マスク氏の「蜜月」で世界どうなる?

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トランプ氏(左)の集会で演説した実業家のイーロン・マスク氏=米東部ペンシルベニア州バトラーで2024年10月5日、松井聡撮影
トランプ氏(左)の集会で演説した実業家のイーロン・マスク氏=米東部ペンシルベニア州バトラーで2024年10月5日、松井聡撮影

 トランプ2.0では、「政府効率化省」トップのイーロン・マスク氏から目が離せない。

 トランプ米次期大統領は第2次政権(トランプ2.0)で「米国第一主義」を強化し、「小さな政府」の実現も目指すとみられる。けん引役として注目されるのが、実業家のイーロン・マスク氏だ。トランプ2.0に大きく左右される2025年の世界経済は、両者の「蜜月」にも翻弄(ほんろう)されそうだ。

 小さな政府を考察する前に、トランプ氏が追求する米国第一主義とは何かを検証したい。トランプ2.0で、小さな政府は米国第一主義の実現を支える重要な柱と位置付けられているとみる。

 米国第一主義とは、第二次世界大戦後の米国の繁栄を支えてきた自由貿易や国際協調を基盤とする秩序を転換するものだ。自由貿易が進む中、人件費上昇などの影響で、ラストベルト(さびついた工業地帯)を中心に米国の製造業は国際的な競争力を失い、中産階級の地位は低下した。米国が築いた国際秩序は、かつては米国の利益に貢献したが、現在ではその維持が米国の負担となっている。第2次政権は、1次政権以上に「米国の繁栄」を最優先するだろう。

 米国第一主義を具現化する主な政策は、①追加関税による保護貿易、②脱炭素に向けた国際協調の後退と、化石燃料生産の規制緩和、③不法移民の抑制や強制送還──が挙げられる。中でも追加関税は、中産階級を守る…

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