福岡静哉

韓国大統領代行体制始まる　弾劾訴追ちらつかす野党　与党代表は苦境

　尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領に対する弾劾訴追案が14日に可決されたことを受け、韓悳洙（ハン・ドクス）首相（75）が同日から大統領代行としての職務をスタートした。15日には米国のバイデン大統領と電話協議し、米韓同盟の維持と強化のために努力することで一致。韓氏は行政経験が豊富だが、尹氏による戒厳令

韓国弾劾訴追案可決　与野党が次期大統領選を想定も、情勢見通せず

　韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領に対する弾劾訴追案が14日、国会で可決された。尹氏を支えてきた保守系与党「国民の力」から、12人が賛成に回ったとみられる背景に何があったのか。混乱を極める政局や、尹氏に対する内乱容疑での捜査は今後、どう進むのか。　「採決に参加しよう」。与党国会議員団トップの権

韓国戒厳令は「違憲」?　布告文の法的検討者は尹大統領か

　3日夜に「非常戒厳」を宣布した韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領に対し、韓国司法当局による内乱罪での捜査が本格化している。検察は10日逮捕した金龍顕（キム・ヨンヒョン）前国防相と尹氏が共謀したとみているが、捜査の一つの焦点が3日夜に出た戒厳令の布告の責任の所在だ。　布告には「国会と地方議会、政

「代表を守れ」　走った議員秘書　韓国戒厳令で民主主義守った与野党

　尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が「非常戒厳」を宣布し、国会が約2時間半後に解除要求決議をした3日深夜から4日未明の「事件」から11日で約1週間。与野党国会議員や秘書らの迅速な対応がなければ、混乱がより長期化しかねない「危機一髪」の状況だったことが、当事者たちの証言から改めて浮かび上がった。　「韓

韓国国会が特別検察官の任命法案を可決　「非常戒厳」巡る捜査を統括

　韓国の国会は10日、尹錫悦（ユンソンニョル）大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り内乱容疑の捜査を統括する特別検察官を任命するための法案を賛成多数で可決した。尹氏が元検事総長であることから、検察による通常の捜査では公平性を担保できないとして、最大野党「共に民主党」が提案していた。採決では与党議員の一

戒厳令後の韓国　混乱収拾の前面に立つ韓首相　合理的な実務家

　尹錫悦（ユンソンニョル）大統領による非常戒厳で政権運営が混乱を極める中で、注目が集まっているのが韓悳洙（ハンドクス）首相（75）だ。8日に韓首相と共に「談話」を発表した保守系の与党「国民の力」の韓東勲（ハンドンフン）代表は、今後は首相と共に経済や外交などの懸案を論議すると表明した。　経験豊富な韓首

求心力低下の尹大統領　世論次第では退陣も　弾劾訴追が不成立、廃案

　韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領に対する弾劾訴追案は7日、国会で事実上「否決」された。だが戒厳令の宣布とその後の混乱を受け、尹氏の求心力は急激に弱まった。尹氏は、自身の任期についても与党「国民の力」に一任すると表明している。一方で、野党は再度の弾劾訴追案の採決を目指しており、世論の動き次第で

尹氏寄りを続ける与党、支持層間でも分裂激しく　弾劾訴追案が不成立

　韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領による戒厳令を違憲だとして野党が提案した弾劾訴追案は、与党からの造反者が極めて少なく、廃案となった。国会や選挙管理委員会に兵士を突入させるという前代未聞の事態を起こした尹氏を、与党はなぜ見放さないのか。　「尹錫悦大統領、万歳！」。弾劾訴追案の採決を目前に控えた

選管庁舎にも特殊部隊…尹錫悦・韓国大統領は何を狙っていたのか

　韓国の尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領が3日夜に「非常戒厳」を宣布した際、特殊部隊が選挙管理委員会の庁舎に突入していたことが明らかになった。4月の総選挙を「不正選挙」として国会の正統性を否定する狙いがあった可能性があり、事態の深刻さに韓国内での衝撃は深まった。野党による弾劾訴追案が可決される可能性

参謀総長も「蚊帳の外」　国防相だけが知っていた戒厳令、その胸中は

　韓国の尹錫悦（ユンソンニョル）大統領が3日夜に「非常戒厳」を宣布し、280人もの兵士が国会に突入するまで韓国軍内に何が起きていたのか。軍幹部らの証言からは、5日に尹氏が国防相の辞表を受理した金龍顕（キムヨンヒョン）氏以外、軍幹部の誰も事前に知らされないまま戒厳下に突入し、その後も一貫して金前国防相

弾劾か辞任か…尹大統領の今後は　与党も反発、高官・全閣僚は辞意

　「違法な戒厳と内乱行為はとても看過できない」。韓国国会の野党6党は4日午後、尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領による3日夜の「非常戒厳」宣布が憲法違反に当たるとして、弾劾訴追案を国会に提出した。　韓国の憲法は、大統領が戒厳令を出せる要件として「戦時やそれに準じる国家非常事態」において「兵力で対応した

半島の現場から

「野球は悪」の誤解をといた脱北者たちの挑戦

　北朝鮮から逃れた脱北者たちで作る野球チームがソウルにある――。そんな話を耳にし、少し驚いた。というのも、米国発祥の野球は、北朝鮮では「資本主義のスポーツ」として忌避されているとの説を聞いたことがあったからだ。気になって取材を始めた。　北朝鮮の野球事情に関する情報は少ないが、皆無ではない。新潟市で1

トランプ氏2期目、米朝関係再び動くか　ハードル上がる非核化交渉

　トランプ政権第2章が幕を開けることになった。4年ぶりの復権が、国際社会に与える影響を探る。　「金正恩（キムジョンウン）（朝鮮労働党総書記）とは非常に良い関係だ」　トランプ前米大統領は選挙期間中の10月中旬、米通信社のインタビューでそう語った。トランプ氏は1期目の2018～19年、北朝鮮の核・ミサイ

「南にルーツ」証拠の家系図見つからず　北朝鮮軍が持ち去った?

　北朝鮮の金日成（キム・イルソン）主席のルーツは韓国の全州（チョンジュ）金氏なのか――。売れっ子風水師だった孫錫佑（ソン・ソクウ）氏は自著の中で、1928年に刊行された全州金氏の「大同譜（テドンボ）」に、金主席の本名「成柱（ソンジュ）」の名があったと書いた。大同譜とは、「族譜」と呼ばれる一族の家系図

金日成氏のルーツは韓国?　波紋呼んだ「本貫は全州金氏説」

　その墓は、まるで古代の円墳のようだ。直径は約4メートル。向かって右側に墓碑がそそり立ち、上部には竜の彫り物。周囲ににらみを利かせているかに見える。　ここは韓国南西部にある古都・全州（チョンジュ）。首都ソウルからは高速鉄道を使えば2時間もかからない。朝鮮伝統様式の住居が並び、日本人観光客にも人気だ。

「爆破」の開城工業団地、どうなった?　金正恩氏新政策で新たな動き

　約4年前、北朝鮮と韓国が共同運営する事務所が爆破される映像が世界を驚かせた開城（ケソン）工業団地（北朝鮮・開城市）。衛星画像の分析などから、約8年前に操業停止した韓国企業所有の工場を稼働させたり、機械設備の一部を運び出したり、といった動きが捕捉されている。北朝鮮は何を狙い、なぜ最近になって動きが活

半島の現場から

気候危機に立ち向かう　韓国の若者たち

　今夏も熱波が世界各地を襲い、韓国では各地で9月の観測史上最高気温を記録した。近い将来、人類は今まで通りの生活を送れないのでは――。そんな危機感から韓国の若者たちが立ち上がった。それはアジアで初めて、政府の気候変動対策を違憲と認める憲法裁判所の判断につながった。韓国で起きた新たな波は、日本や台湾で活

特派員の目

韓国で「核保有支持」が増える理由　火付け役に聞いた＝福岡静哉（ソウル）

　韓国で近年、核保有支持の意見が専門家の間でも増えている。その火付け役となり、8月には日本で著書を出版した鄭成長（チョンソンジャン）博士に、背景などを聞いた。　鄭博士は北朝鮮の政治や核開発などの研究で知られ、政府の諮問委員も務めた。現在は著名シンクタンク「世宗（セジョン）研究所」の朝鮮半島戦略センタ

今度はベンツでドライブ　金正恩氏、露政権幹部と親密ぶりアピール

　北朝鮮国営の朝鮮中央通信は14日、金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党総書記と、訪朝したロシアのショイグ安全保障会議書記が13日に会談したと報じた。同通信は、両氏が一緒に金氏の専用車に乗る写真をホームページで公開した。　北朝鮮は6月にも、ロシアのプーチン大統領と金氏がロシア製最高級車でドライブする

きしむ世界　国際秩序の行方

ラオスでうごめく北朝鮮ビジネスの影　ハッキングや資金洗浄の指摘も

　国連安全保障理事会（安保理）による対北朝鮮制裁決議への違反の有無を調べる専門家パネルが4月末に活動を終了した中、ラオスで活発化している北朝鮮のビジネスは、レストランやカラオケだけとは限らない。　＜関連記事＞　・北朝鮮　ラオスで高級カラオケ出店　露朝蜜月で制裁「骨抜き」に　・「外貨稼ぎ監視継続は不可