海外留学は語学力を向上させるだけでなく、新しい文化や価値観に触れる経験ができるため、将来の選択肢の幅を広げるきっかけになる魅力的な選択肢の1つです。
カナダは日本人の留学先として人気の国ですが、その学校制度は日本と異なる点が多く、最初は戸惑う留学生も少なくありません。
しかし、異なる教育制度や授業スタイルを経験することは、文化の違いを深く理解し、グローバルな視野を広げて大きく成長するための貴重な機会になります。
本記事では、日本とカナダの学校制度や生活の違いを詳しく解説します。
また、カナダの学校に留学するメリットや魅力についても解説するので、カナダ留学を検討中の学生の方はもちろん、お子さんの留学を考える親御さんもぜひ参考にしてくださいね!
カナダの学校制度の特徴
カナダは多文化主義の国であり、その影響は学校制度にも色濃く反映されています。
ここでは、日本とは異なる特徴が多いカナダの学校制度について、6つのポイントに分けて紹介します。
州ごとに教育制度が異なる
カナダの教育制度は各州の管轄下にあり、州ごとに異なる特徴を持っています。
各州に教育省が置かれており、それぞれがカリキュラムや評価方法などを決定しています。また、義務教育の開始年齢や期間も州によって異なります。
例えば、トロントやオタワのあるオンタリオ州では4歳から義務教育が始まりますが、他の州では5〜6歳から始まるところも多いです。
カナダ留学を検討する際には、各州の教育制度を事前に確認して、希望する教育環境が整ったエリアを選ぶことが重要です。
義務教育の期間が長い
カナダの義務教育期間は州によって異なりますが、多くの州では5歳または6歳から18歳(高校卒業)までが義務教育に含まれています。
義務教育期間中の学費は無料なので、すべての子どもたちに均等な教育の機会を提供できるという点が大きなメリットです。さらに、高校卒業後に進学する大学やカレッジには学費がかかりますが、現地の学生は留学生に比べて学費が安い傾向があります。
学年の区分けと学年の始まりが日本と異なる
カナダの学校では、新学年は9月に始まり6月に終了するのが一般的です。
学年の区切りは生まれ年で決まるため、同じ年に生まれた子どもたちが同じ学年に在籍します。
例えば、オンタリオ州では満4歳になるとJunior Kindergarten(日本の幼稚園年中に相当)に入園しますが、12月生まれの場合は3歳9ヶ月で入園することになります。
また、学年の区分も州によって異なりますが、一般的には小学校が1年生から6年生、中学校が7年生から8年生、高校が9年生から12年生までと分けられているケースが多いです。
公立学校の種類が豊富
カナダの公立学校は、多文化国家ならではの多様な種類と特色を持っています。
以下、カナダの主な公立学校の種類です。
一般的な公立学校(Public School)
英語話者のためのフランス語学校(French Immersion)
フランス語話者のためのフランス語学校(French School)
カトリック系の公立学校(Catholic Public School)
オルタナティブスクール(Elementary Alternatives)
アートフォーカススクール(Art-Focused School)
これらの学校は基本的に授業料が無料であり、生徒の興味や将来の目標に合わせた教育環境が整っています。
英語とフランス語を学ぶ
カナダは英語とフランス語を公用語としており、学校制度にもその特徴が反映されています。カナダの多くの州では英語を主な授業言語としながら、フランス語を第二言語として学ぶことが必修となっています。
一方、ケベック州などのフランス語圏では、英語を第二言語として学んで両方の公用語を身につける機会が提供されており、多文化社会で活躍するための力を養える点が大きな魅力です。
高校受験がない
カナダの学校制度は高校まで義務教育のため、一部の私立学校を除いて日本のような高校受験はありません。公立高校への進学は、居住地の学区に基づいて指定された学校に入学するシステムになっています。
さらにカナダの高校では、日本の大学のように自分の興味があるコースや学びたいクラスを自由に選択できます。
カナダの学校生活の特徴
カナダの学校生活は日本と異なる部分も多く、留学前に違いを知っておくことでスムーズに適応できます。
ここでは、カナダの学校生活の特徴について6つのポイントに分けて詳しく紹介します。
自由な校風
カナダの学校は多様な人種の生徒が在籍していることもあり、日本と比べて自由な校風が特徴的です。公立学校では基本的に制服を着用せず、服装や持ち物、髪型も個人の判断に任されています。
また、体育の授業でも体操服への着替えが不要のため、動きやすい服装が好まれる傾向があります。
授業ではグループ学習やプレゼンテーションが重視され、生徒同士が協力して課題に取り組む機会が多いです。そのため、自分の意見をはっきりと伝える力や自主性を伸ばせる環境が整っています。
給食がない
カナダの学校には給食がなく、生徒たちは各自でランチ(お弁当)を持参するのが一般的です。
多くの学校にはカフェテリアがないため、保護者が毎日ランチを準備する必要があります。
一部の学校では、高学年になるとランチタイムに自宅へ戻り食事を摂る子どもも少なくありません。
また、「ホットランチ」や「ピザデー」と呼ばれる有料のランチプログラムを導入している学校もあり、希望者は事前に申し込むことで温かい食事を提供してもらえます。
さらに、カナダの学校には「スナックタイム」と呼ばれるおやつの時間が設けられており、ランチの他に軽食(フルーツなど栄養価の高いもの)が必要です。
学校の送り迎えが必要
カナダでは「子どもを1人にしてはいけない」という意識が非常に強く、学校への送迎は保護者が行うか、スクールバスを利用する場合でもバス乗り場まで送迎するのが一般的です。
自宅でも幼い子どもを1人で留守番させることは避けられており、万が一放置すると保護者が罰せられる場合もあります。
一部の州では法律で明確に規定されており、例えばマニトバ州やニューブランズウィック州では、12歳以下の子どもを1人にすることが禁止されています。
教科書やノートは貸出し
カナダの学校では、教科書は生徒に無料で貸し出されるため、個別に購入する必要はありません。
また、ノートや文房具も学校が支給するケースが多く、ほとんどの場合は配布されたプリントを使って授業が行われます。
宿題の量は担任教師によって異なりますが、日本に比べて少なめと感じることが多いでしょう。近年では高学年の生徒に対して、パソコンやタブレットが貸し出されることが増えており、デジタル技術を活用した授業や学習環境が整っています。
ボランティア活動のカリキュラムがある
カナダの学校ではボランティア活動のカリキュラムがあり、非常に重要な位置を占めています。
特に高校では、卒業要件として一定時間のボランティア活動が義務付けられており、生徒は地域社会への貢献を通じて社会的責任感やリーダーシップを養います。
大学進学を希望している場合、ボランティア経験は大学の入学審査において大きなアピールポイントとなる可能性があるため、積極的に社会貢献活動に参加することが重要です。
複式学級のクラスがある
カナダでは学校の規模に関わらず、複式学級(複数の学年を1クラスで編成する制度)が採用されています。学年は「Grade」で表され、複式学級では「Grade 1/2」や「Grade 2/3」といった形式で表示されます。
この制度は、生徒数のバランス調整や教育資源の効率的な活用を目的としています。複式学級では上級生が下級生に教える場面も多く、互いに学び合うことで協調性や自主性が育まれるというメリットがあります。
幼稚園~高校でカナダ留学をするメリット・魅力
カナダは美しく豊かな自然と高い教育水準を誇り、多文化社会の中で多様な価値観を学べる環境が整っています。
個々の能力や興味を尊重するカナダの学校のカリキュラムは、日本人留学生にとって新たな学びと成長の機会になるでしょう。
ここでは、幼稚園〜高校でカナダ留学をするメリットや魅力について紹介します。
英語やフランス語の習得が可能
幼稚園から高校までの留学を通じて、カナダの公用語である英語とフランス語を自然な環境で習得することが可能です。
英語圏の学校に通いながら、第二言語としてフランス語を学べるバイリンガル教育が整っており、語学力を効率的に伸ばせる点が魅力です。
また、移民国家であるカナダでは英語やフランス語以外にもさまざまな言語を耳にする機会が多く、異文化理解や多言語への柔軟性を身につけられます。
グローバルな視野を養える
多文化社会であるカナダでは、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒たちと交流することで、異文化への理解やグローバルな視点を自然と養えます。
見た目や言語、文化が異なる仲間と協力し合うことで、他者への尊重や共感力を高め、国際社会で活躍できる力を身につけられる点が大きなメリットです。
個性と自主性を伸ばす教育方針
カナダの教育方針は、生徒1人1人の能力や興味に応じた柔軟なカリキュラムを採用しており、個性と自主性を最大限に伸ばせる点が魅力です。
生徒の進度や興味に合わせて個別の教育プランを提供する学校も多く、特定の分野で優れた能力を持つ生徒にはギフテッドプログラムが用意されることもあります。
また、留学生にはESL(第二言語学習者向けのクラス)を設けている学校も多いので、英語に自信がない人でも安心して学べる環境が整っています。
未成年がカナダ留学する際に注意すべきこと
早期英語教育やグローバルな環境で学ばせたいと考える親にとって、カナダ留学は魅力的な選択肢の1つです。しかし、未成年が留学する場合に必要な準備や確認すべき点がいくつかあります。
ここでは、未成年がカナダ留学する際に注意すべきことを解説します。
後見人が必要
後見人(カストーディアン)とは、留学先で親の代わりに学校との連絡や緊急時の対応を行う代理人のことです。後見人の条件として、以下を満たす必要があります。
●25歳以上
●カナダ市民権または永住権保持者
カナダ現地に知り合いがいない場合、留学エージェントを通じて後見人を手配することが可能です。後見人についての詳細や手続きについては、留学エージェントや留学先の教育委員会に確認するようにしましょう。
留学に必要な書類の準備
未成年が留学する際に、渡航同意書の提示が求められる場合があります。そのほか、カナダ留学に必要な書類の例として以下があります。
●出生証明書や戸籍謄本(抄本)
●公的身分証明書(パスポートなど)の写し
●後見人の宣誓書
家庭の状況や留学時の年齢、同行人の有無などで必要な書類が異なるため、事前にしっかりと調べておきましょう。
子どもの学費が無料になる場合とは?
カナダでは、親が特定の条件を満たす場合、子どもの公立学校の学費が免除されることがあります。条件は各州や各都市の教育委員会によって異なりますが、以下に一般的な条件をまとめました。
親の条件 | ● 有効な就労許可証を持っている場合 ● Diploma以上の学位を取得するプログラムに1年以上通う学生ビザを持っている場合 ● カレッジや大学進学を目的とした、特定の条件をすべて満たすESLに通っている場合 |
子どもの条件 | ● 5歳から17歳まで(州によって異なる場合あり) ● 親と同居していること |
注意点 | ● 親が通う学校が公立カレッジや大学であること ● プログラムが2学期以上、フルタイムであること ● ESLの場合、Diploma以上の学位の入学許可証が発行されていること。 |
子どもの学費免除の詳細について知りたい方は、留学先の教育委員会や留学エージェントに相談することをおすすめします。
まとめ
本記事では、日本とカナダの学校制度や生活の違いについて詳しく紹介しました。
自分に合った学校を見つけるためには、カナダの教育システムについて理解を深めて、希望する教育環境が整ったエリアを選ぶことが大切です。
カナダへの留学を検討している方はぜひ本記事を参考にして、充実した留学生活を実現してくださいね!
◇経歴
・英米文学科卒業
・George Brown College卒業(カナダ・トロント)
・カナダ現地のパティスリーにてパティシエとして働く
・現在はWebライターのほか、SNS運用やコンテンツクリエイターとして活動しています。
◇資格
IELTS General 6.0
◇留学経験
・ニュージーランド(2週間)
→高校留学でホームステイ体験
・カナダ(13年)
→ワーキングホリデー→カレッジ留学→現地就職→永住権取得
◇海外渡航経験
長期滞在:カナダ、韓国(3ヶ月)
旅行:ニュージーランド、オーストラリア、アメリカ、
イタリア、タイ、インドネシア、シンガポールなど
◇自己紹介
英語学習や留学に関する記事を書いているWebライターです。
幼少期から英語や海外に興味があり、子ども英会話教室に通ったり、ニュージーランドへ短期留学したり、大学は英米文学を専攻したりと英語に関わる人生を過ごしてきました。
現在はカナダ在住13年め、海外で子育て奮闘中です。
英語学習や海外生活に興味のある方に、役立つ情報をお届けできたらと思っています。どうぞよろしくお願いします!