話は3カ月ほど前にさかのぼる。

 日本で桜の便りが南から届き始めた頃、米国北部では横殴りの雪が降っていた。

 3月下旬、ミネソタ州セントポール。州内最大都市のミネアポリスから30分ほど路面電車に乗って停留所で降りると、顔に雪が吹き付けて痛さを感じた。

 ミネソタ州はカナダと国境を接する。冬の冷え込みは厳しく、目的地のスタジアムは雪に紛れて白くかすんでいた。この日の気温は零下1度ほど。平日で、試合のない会場周辺に人影はなく、除雪用のトラックが2台止まっているだけだった。

 ここアリアンツ・フィールドは、米メジャーリーグサッカー(MLS)西地区に所属するミネソタ・ユナイテッドの本拠地だ。2019年にサッカー専用スタジアムとして完成した。

拡大する写真・図版横殴りの雪が降っていたアリアンツ・フィールド=2024年3月25日、米ミネソタ州セントポール、藤野隆晃撮影

 日本では、Jリーグが26年からシーズン移行に踏みきる。春に開幕して冬に終わる現行のシーズンが、夏に開幕して翌年5月ごろに閉幕する日程に変わる。つまり、冬場も試合が続く。寒冷地のクラブ関係者を中心に、冬の開催を不安視する声が上がる。

 まさに寒冷地に位置するアリアンツ・フィールド。22年、米国代表がワールドカップ(W杯)予選を2月に開いた時の気温は零下15度ほどで、観客が買ったビールに氷が張ったという。MLSは2月に開幕し、プレーオフは冬に終わる。序盤戦と終盤戦の寒い時期にも試合がある。

 Jリーグのシーズン移行で、参考になりそうなヒントはないか。それが、記者がミネソタを訪ねた理由だった。

3月でも雪が積もるスタジアムには、それでも試合を開催できる様々な仕掛けが施されていました。ただ、取材するうちに、記者の胸の内には疑問もわいてきます。

 「あなたを歓迎しているような…

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