祝・開業130周年! 東海道本線
アツい夏の日差しを浴びて、特急「スーパービュー踊り子」がやってきました。
▲251系・特急「スーパービュー踊り子」、東海道本線・横浜~戸塚間
「スーパービュー踊り子」のコンセプトは「乗った時から、そこは伊豆」。スグにも伊豆へ行きたいところですが……今回の目的地は横浜。
実はこのトンネルの近くに、列車を見ながらヒンヤリできるグルメスポットがあると聞いてやってきました。
そうそう、このトンネル……ただのトンネルじゃありません!
▲清水谷戸トンネルの解説板
「スーパービュー踊り子」が出てきたトンネルは、東海道本線・横浜~戸塚間にある「清水谷戸トンネル」といい、東京を出た東海道線の列車が最初にくぐるトンネル。
このトンネルの上り線(東京方面、1枚目画像の左)は、今からちょうど130年前の明治20(1887)年に出来た、日本における「現役最古の鉄道トンネル」なんです。
ちょうど今年7月で、このトンネルを含む東海道線の横浜~国府津間は、開業130周年。
戸塚以遠から東海道線で横浜・東京方面に通勤されている皆さん。
毎朝何気なく通過しているかもしれませんが、実は130年の歴史の重みを毎日感じられるという日本でココだけの何ともうらやましい通勤ルートなんですよ!
鉄分濃いめのロケーション
ヒンヤリするつもりがちょっとアツくなってしまったところで、やってきたのは横浜市戸塚区にある「肥田牧場 アイス工房メーリア」。
最寄りの駅は、横須賀線・湘南新宿ラインの列車が停まる「東戸塚駅」です。
実はこのお店、東戸塚駅ホームの保土ヶ谷寄りから見えちゃうほど近くにあるんです。
てことは、お店のほうからも……?
さっそくお店にお邪魔し、外のウッドデッキのあるテラス席へ案内いただきました。
▲「肥田牧場 アイス工房メーリア」のテラス席
さあ、列車は見えるのか?
▲東戸塚駅を発車する横須賀線の列車
デッキの右手前方に東戸塚駅のホームを確認。
横須賀線のE217系電車がしっかり見えました!
上り列車は段々とモーターの音が上がって加速していく、何とも「オイシイ」ポイント!
逆に下り列車も減速する音が聞こえて、モーター音だけでお腹いっぱいになりそうです。
でも、ココ、これだけじゃないんです。
▲通過する東海道線の列車が!
なんと、お店の左側を、東海道線の列車が通過していくんです。
つまりココ、東海道線と横須賀線の線路に挟まれた場所!
何とも“鉄分の濃い”場所に「肥田牧場 アイス工房メーリア」はあるんです。
しかも「肥田牧場」と名乗っているだけに……そう、牧場もこのスグそば!
私、小さい頃から時々、東海道線(当時:湘南電車)に揺られて静岡から上京していたので、この東海道線と横須賀線に挟まれたスポットにいる牛さんたちをしばしば見てきました。
ココの牛さんを見て清水谷戸トンネルをくぐり、ペットフードの研究所の斜面にたくさん並ぶ犬小屋を見ると静岡から2時間あまり、「もうすぐ横浜だなァ……」と旅情を感じたものです。
お店の存在も知っていたのですが足を運ぶ機会がなく、ようやく今回、念願がかないました!
なんと創業75年の老舗だった
実はこの地に「肥田牧場」が出来たのは、昭和17年(1942)のこと。
元々、近くの高台で小さい牧場をやっていらっしゃったそうですが、この場所に移転してきて、今年でちょうど75年になるそうです。
4代にわたって横浜で酪農を営む中で、地元の皆さんのために……という思いから、こちらの店舗「肥田牧場 アイス工房メーリア」を、平成14年(2002)年にオープン。
お店のほうも、今年は開店15周年の節目を迎えています。
現在は28頭の牛さんたちがのびのびと暮らす「肥田牧場」。
牛乳の多くは神奈川県酪連を通じて出荷されているため、牧場のスグそばで牛さんたちの恵みを享受できるのは、この「肥田牧場 アイス工房メーリア」だけです。
お店では新鮮な牛乳を使ってジェラートとソフトクリームが作られ、販売されています。
特にジェラートは、横浜市戸塚区の「おいしいもの とつかブランド」にも選定されているんです。
▲各種ジェラートはどれもおいしそう!
「素材の味が活きるように」という思いからジェラートになったと話すのは、店長の肥田直子さん。基本はミルクベースのアイスで、キャラメル・抹茶などその日ならではのフレーバーが楽しめます。
加えて、旬のフルーツをふんだんに使ったシャーベット系のジェラートが楽しめるのも魅力。夏場はスイカをはじめ、7~8月は桃、その後は梨へと変わっていくそう。特に梨は、横浜市内で収穫される「浜なし」!
横浜で採れた牛乳と、横浜で採れた梨を使った“純・横浜産”のジェラートが味わえるなんて……、コレをいただかずに、まず“ヨコハマ好き”は名乗れないでしょう。
こちらのジェラートは「シングル」(300円)、「ダブル」(380円)の2つから選べます。
「ダブルなら、ミルク系とシャーベット系の2つの味を味わってみては?」
肥田店長のアドバイスで、基本のミルクと夏らしくスイカをチョイスしてみました。勿論、コーンとカップが選べますが、私の好みでカップに……。
▲ミルクとスイカのジェラート(ダブル)
ミルクのミルキー感もさることながら、ジェラートなのにスイカの果汁感もたっぷり!
コレは絶対、ミルク(Milk)系、シャーベット(Sherbet)系、両方味わうべきでしょう。
まして「鉄道好き」でこの地を訪れたのなら、ミルクとシャーベットは必須……それというのも……。
ジェラート界のSM分離や!
「あの~スミマセン、ミルクがちゃんと見えるように盛っていただいてイイですか?」
私の“趣味的”無理難題に快く引き受けて下さった肥田店長。
結果、実現しました「SM分離盛り」!(私が勝手に命名)
▲ミルクとスイカのジェラート(ダブル・SM分離盛り)
シャーベットとミルクの「S」と「M」だけじゃありません。
東海道線大好きなアナタなら分かりますよね、
SM分離!
▲東海道線「321M」
▲横須賀線「1188S」
東海道線・東京~大船間では、今から37年前、国鉄時代の昭和55年(1980)年9月まで、横須賀線の電車も東海道線の線路を走っていました。
しかし、通勤需要の高まりを受け、列車を増発するために、東海道線と横須賀線の線路を分ける工事が行われ、横須賀線の列車は、元々貨物線だった線路を走るようになりました。
この時、東海道線の電車列車の列車番号には「M」、横須賀線の電車列車の列車番号には「S」が付いていたことから、俗に「SM分離、MS分離」と呼ばれていたんです。
今も、東京以南始発の東海道線の列車番号には「M」、横須賀線には「S」の列車番号が健在。
ちなみに「肥田牧場 アイス工房メーリア」最寄りの東戸塚駅も、この「SM分離」によって昭和55年(1985)開業。東海道線130年の歴史の中では比較的“新しい駅”といえましょう。
なお、お店のウッドデッキで、ミルク&シャーベットのダブルのジェラートをいただく場合は、東戸塚駅に向かって、東海道線(M)がある左に「ミルク」、横須賀線(S)がある右に「シャーベット」となるように画像を撮ると、SNS映えするかも!?
もっとも肥田店長によると、“鉄分濃いめ”なお客さんの来店は少なめで、お子さんと一緒に家族で訪れる方が多いのだとか。
ならば、お子さんと一緒に来た鉄道大好きなパパ!
家族に分からないように、こっそり「SM分離」、しちゃってみては?
この「SM分離」で東海道貨物線が横須賀線に転用されたことで、東海道本線の鶴見~大船間には、さらに新たな貨物線が作られました。
東戸塚駅付近までは並行しているため、ウッドデッキからは貨物列車が走る様子も見られます。
▲東海道貨物線を下るEF66形電気機関車けん引の貨物列車
この貨物線、朝の「湘南ライナー」なども通るほか、今後はここから東京方面に向かったところで、JRと相鉄線を結ぶ路線も計画されている“注目の路線”でもあります。
ソフトクリーム派も納得の味
「肥田牧場 アイス工房メーリア」では、ジェラートのほか牛乳成分たっぷりのソフトクリームもいただくことが出来ます。
▲ソフトクリーム(チョコレート)と横須賀線
チョコのほか、ナッツ、ブルーベリー、あずきなどバリエーションも豊富です。
ほんの30年ほど前までは、車窓に牛さんの姿を眺めることも出来た、のどかな東戸塚周辺。
都市化が進んだ今は、「肥田牧場」の牛たちも建物の中に入っているそうですが、今も変わらずに、この地で酪農を続けられていることが素晴らしい!
頻繁に行きかう東海道線と横須賀線の列車のすき間に残る“懐かしい横浜”。
そのミルキーな味わいを楽しめば、鉄道好きもそうじゃない人も、きっと心の“すき間”が満たされますよ!
お店情報
肥田牧場 アイス工房メーリア
住所:神奈川県横浜市戸塚区品濃町836-2
電話番号:045-825-2291
営業時間:
- 7~8月:平日11:00~19:00、土曜日・日曜日・祝日10:00~19:00
- 9~12月:平日11:00~18:00、土曜日・日曜日・祝日10:00~18:00
- 1月:全休
- 2~6月:平日11:00~18:00、土曜日・日曜日・祝日10:00~18:00
定休日:7〜8月 不定休、9〜12月 火曜日(臨時休業あり)、1月 全休、2〜6月 火曜日(臨時休業あり)
※この記事は2017年7月の情報です。
※金額はすべて税込みです。