※この記事は2020年に作成した記事になります。
下戸はつらいよ
こんにちは、ライターの少年Bです。先日、とてもいいお酒をいただきました。
誰もが知っている有名な日本酒です。本当にありがたいことなんですが、ただひとつだけ問題があるとすれば、それはわたしが下戸なこと。
ホントにお酒がダメなんです。「飲めばそのうち強くなる」……社会人になりたての飲み会で、そんなことを言われて飲まされたのも今は昔。「お前、俺の酒が飲めねぇのか!」なんて言われる夜のお付き合いが苦手すぎて、会社も辞めてしまったほどです。
35歳になった今でも、お酒がまったく飲めません。カシスオレンジを1杯飲むだけで頭がくらくら、2杯飲めばすぐに眠ってしまう。ああ、なんてアルコールに弱い身体に生まれてしまったんでしょう。
ただ、せっかくお酒をいただいたのに、このまま眠らせておくのは申し訳ありません。それなら……アルコールを飛ばして、調味料として使い切ればいいんじゃない!?
飲める人、召喚
せっかくなので、味見兼盛り上げ役として、お酒が飲める友達を呼んでみました。
井上さん
▲都内のIT企業に勤めている。最近、少年Bの散歩コースに突如引っ越してきた。穏やかな性格で、少年Bによく振り回されている。お酒は大好きというわけではないが、それなりに飲める。甘めのワインがお気に入り
ぼーかりおどPさん
▲『1/6』『ラストラスト』『ジュゲムシーケンサー』などを作曲した有名ボカロP。お酒が好きで、Twitterを見るとだいたいいつもお酒の画像が上がっている。主にビールやハイボールを好んで飲む
今回、お二人にはそれぞれが持ち寄ったお酒を飲んでもらいつつ、下戸のわたしがお酒を使ったおいしい料理を振る舞います! さらに、お酒の飲める/飲めないで「アルコールが飛んだ」と感じる加熱時間は違うのか? という点も検証してみたいと思います。
※お酒の強さには個人差があります。この記事は下戸を自認する筆者が友人立ち合いのもと調理・実食していますが、お酒に弱い自覚がある方や、妊婦さんや未成年のお子さんと一緒に食べる場合は、完全にアルコールが飛んだことを確認してからいただきましょう。
下戸のための日本酒料理・美酒鍋!
まず最初に作ってみるのは、少年Bプレゼンツ「美酒鍋(びしゅなべ/びしょなべ)」。
美酒鍋とは、広島県東広島市の西条地域で食べられている郷土料理です。水は一切使わず、日本酒だけで煮込む鍋料理なんですよ。
以前、工務店で働いていたとき、地鎮祭や上棟式でよく「御神酒(おみき。神様に捧げるためのお酒のこと。一般的には日本酒を用いることが多い)」をいただきました。
建設業界にいると、仕事が繁盛すればするほど、お酒をいただく機会が多いんですよね。職人さんたちは喜んでいましたが、お酒が飲めないわたしは正直なところ、いつも持て余していました。
地元から離れて生活していると、あげる友達もいないし、捨てるのももったいない。でも、わたしはお酒が飲めない……。部屋に溜まっていくお酒のビンを見ながら、どうしたものだろうと困っていました。
そんなある時、インターネットで知ったのがこの美酒鍋でした。ものは試しと作ってみたところ、これが最高においしかったのです。
「そうか、お酒にはこんな使い道があるんだ!」と、すこし世界が広がったような気がして、その日からキッチンの隅に溜まったお酒のビンが徐々に減っていきました。
そんな美酒鍋の材料は以下の通り。
自己流にアレンジしているので、正式な作り方とは違うかもしれませんが、「下戸の酒料理」ということでご容赦ください。
美酒鍋(2人分)
- 豚バラ肉 400g
- サラダ油 大さじ1
- にんにく 1かけ
- 塩こしょう 少々
- お好みの野菜 好きなだけ
- 日本酒 600ml(野菜が半分ひたるくらい)
鍋にサラダ油を入れ、にんにくを薄切りにして、火にかけます。香りが出たら豚バラ肉を入れ、塩こしょうをして炒めます。
本家の美酒鍋では、鶏肉や「砂ずり(東日本でいう砂肝)」も一緒に使うそうなのですが、今回は豚バラ肉だけにしました。
お肉に軽く火が通ったら、ざく切りにした野菜を入れます。厚揚げや豆腐を入れてもいいですね。
野菜はなんでもいいので、今回はスーパーで売っていた鍋セットを使いました。お手軽に作れるのがうれしいですね。
ほかには玉ねぎやえのき、ピーマンなんかもおいしいので、ぜひ試してみてください。
野菜が半分ひたるくらいのお酒を入れます。フタをせずに、強めの中火でしっかりアルコールを飛ばしますよ!
ところで、一般的なレシピでは「アルコールを飛ばす」というと、だいたい2~3分煮込むことが多いのですが、お酒が飲める人と下戸では「完全に飛んだ」と感じるラインに違いがあるのでしょうか?
そこで、強めの中火に3分かけた状態の鍋つゆを、お二人に試食してもらいました。
井上:アルコール飛んでますね!
おどP:問題ないですよ、飛んでます!
少年B:すみません、下戸のわたしにはまだつらいです。ひとなめ程度ならいいけど、ちょっとまだくらっときますね……!
経験上、わたしが「アルコールがだいたい飛んだ」と感じるまでには、この鍋の分量だと6~8分間ほど必要です。下戸の人が食べる場合は、やや長めに火にかけておくといいでしょう。
もちろん、わたし以上にお酒に弱い人もいると思うので、ご自身の体質や体調に合った時間で少しずつ試すようにしてくださいね。
今回は一般的なレシピ通りの作り方をしましたが、下戸を自認する人がおいしく食べたい場合は、別の鍋で先にお酒を火にかけて、アルコールを飛ばしておくといいかもしれません。野菜を先に入れてから長時間煮込むと、野菜がクタクタになっちゃいますから。
さて、料理に戻りましょう。ひととおり野菜が煮えたら、塩こしょうで味を調えてできあがり!
少年B:完成しました! う〜ん、おいしそう。今回はいただきものの高級なお酒を使いましたが、使うお酒は清酒であれば、なんでもOKです。
井上:お酒をお鍋に使う発想がなかったです。そのままでもおいしいんですが、しょうゆをほんの少したらすと、さらにおいしいですね!
おどP:野菜に日本酒の旨味が染み渡っていてうまいですね!
ワインは煮込むとヨシ!
参加者には「飲みものは各自で持ってきてください」とお願いしたところ、井上さんがちょっといい赤ワインを持ってきてくれました。もちろんそのまま飲んでいただいてもいいんですが、下戸のわたしもワインを楽しみたい!
そこで、「牛肉の赤ワイン煮」を作ってみましょう。
牛肉の赤ワイン煮(2人分)
- 牛肉 500g
- 牛脂 1かけ(油でも可)
- 塩こしょう 少々
- 小麦粉 大さじ3
- にんにく 1かけ
- 油 大さじ1
- トマト缶 1缶(400g程度)
- 水 400ml
- 赤ワイン 200ml
- ローレル 1枚
牛肉はブロックを食べやすい大きさに切るか、カレー用のものを用意します。塩こしょうをし、小麦粉をつけたら、牛脂を溶かしたフライパンで焦げ目がつくまで焼きます。
圧力鍋に油を引き、薄切りにしたにんにくを、きつね色になるまで炒めます。
圧力鍋に焼いた牛肉、トマト缶、水、そして赤ワインとローレルを加えます。
後は圧力をかけて、弱火で30分煮込むだけ!
フタを開けると立ちのぼる蒸気。おいしそうな香りがキッチンに充満します。
塩こしょうで味を調えて、盛りつけて完成です!
少年B:こちらは30分圧力をかけて煮込んでいるので、アルコールは完全に飛んでます! まったく問題なしですね。味も染みてておいしい……!
井上:牛肉がほろほろですね。家でも作ってみたいな。
おどP:あ、これもうまいです。スープも全部飲んじゃいますね。
少年B:わー! よかった!
おどP:そんなに味がわかるほうじゃないんですが、赤ワインを入れることで、味に深みが出てる気がしますね。
井上:料理に使うのはもったいないかなとも思ったんですが、ワイングラス1.5杯分なんですね。ワインが少し余ったときにはちょうどいいかも。
少年B:あ、もちろん普段はもうちょっと安いワインで作るのがいいと思いますけど……! せっかくのいいワインなので、飲めるお二人はそのまま遠慮なく楽しんでくださいね!
お酒も進む! 手羽先のビール煮
そして、ぼーかりおどPさんが持ってきたのは大好きなビール。飲み会ということで、ちょっと多めに持ってきてくれました。
せっかくなので、こちらも料理に使ってしまいましょう。豚、牛ときたので、鶏を使った料理「手羽先のビール煮」にしましょうか。
手羽先のビール煮(2人分)
- 鶏手羽先 6本
- 塩こしょう 少々
- 小麦粉 少々
- バター 1かけ
- 玉ねぎ 1個
- ビール 150ml
- 顆粒コンソメスープの素 小さじ2
手羽先は塩こしょうをし、小麦粉をまぶします。
中火に熱したフライパンにバター1かけを加え、手羽先を入れます。中まで火を通さなくても、表面に焼き目をつける程度でOK!
焼き目がついたら、みじん切りにした玉ねぎを投入し、透き通るまで炒めます。
玉ねぎが透き通ってきたら、ビールを注いで中火で煮立たせます。150mlのビールを使う場合は、5分程度かけてアルコールを飛ばせば下戸のわたしでも問題ありませんでした。
アルコールが完全に飛んだことを確認したら、弱火にしてコンソメスープの素を入れ、フタをしてそのまま20分程度じっくり煮込みましょう。
煮汁が減って、全体に味が染み渡ればできあがり! 味見をして、物足りなければ塩こしょうで調整してくださいね。
少年B:こちらもホロホロの手羽先に、ビールのほろ苦さがたまりません! アルコールも全く感じませんね。ちょっと大人の味ですが、どうですか?
井上:鶏肉は骨からホロホロっと外れる柔らかさ。でも、ビールのおかげなのかな、お肉のジューシーさはしっかりと保たれてますね。おいしい!
おどP:ビールのほろ苦さと玉ねぎの甘味がいいですね。つまみにするとお酒が進むな~!
少年B:お酒とお酒の組み合わせだ!
井上:2つの意味でお酒が進んでますね。
おどP:下戸のBさんだからいいけど、今日の3品、酒飲みが作ったら酒代がえらいかかりますよこれ。
少年B:もらいもののお酒だし、飲めないからこそこれだけ躊躇なく使えたところはありますね!
飲むだけが、お酒の楽しさじゃない
お酒の楽しみかたは、ただ飲むだけじゃありません。わたしたち下戸だって、日本酒やワインやビールをお酒を楽しんだっていいはずです!
今回試したように、ちょっとの量を加えることで、味に深みを与えたり、ほろ苦さや風味をプラスしたりと、お酒は料理の世界を大きく広げてくれるんです。下戸の人もそうでない人も、お酒の違った一面を楽しんでみてはいかがでしょうか?