でらいつカレーvol.6 「お手軽自家製マッサマンカレー」のつくりかた
「マッサマンカレー」って知ってますか?
タイ料理好きの方ならもちろんご存知でしょうし、数年前からレトルトカレーや、なんならカップラーメンとかスナック菓子でも“マッサマンカレー味”なるものがいろいろ出回ったので、名前だけは聞いたことがある、という方も多いかもしれませんね。
マッサマンなヤツら!
大人の事情でモザイク処理しています(笑)。
「マッサマンカレーなんて聞いたことなーい!」という方のために簡単に説明しますと、タイカレーの一種で、タイ南部のイスラム教徒たちが食べている料理です。(「マッサマン」が「イスラム教」を意味していています)。
そのため、タイ国内(とくに北部)においては知名度が低かった料理のようですよ。でも、なんでそんなタイでも知名度の低い料理が、日本でレトルトカレーやカップラーメン、たはまたスナック菓子にまでなったのか、不思議じゃないですか?
それは今をさかのぼること6年前。
2011年7月にアメリカCNNのサイト「CNNGO」で発表された「World's 50 most delicious foods(「世界で最も美味しい食べ物50)」の1位に選ばれたからなんです!
世界中のいろーんな食べ物の中で1位ですよ、1位!
それもカレー限定じゃなく、「food=食べ物」ですからね。「dish=料理」でもない。
ちなみに、32位は日本の「あん肝」(チョイス渋っ!)、29位が「近江牛ステーキ」(ブランド牛ピンポイント! 松坂牛でも神戸牛でもない……)、4位が「寿司」でした。ボク的には断然、寿司が1位ですけどね。
で、そんな、世界で一番おいしい食べ物(2011年ですけど……)に選ばれたのがマッサマンカレ―。
食べたことはあっても、作ったことはほぼないんじゃなんですか?
「作ったことある!」と自慢げに言った方でも、大体はこーゆーの、使ったでしょ?
マッサマンカレーペースト!
これ使えば、超~簡単に作れます。
ネットにあふれているマッサマンカレーのレシピも大概が市販のペーストを使ってますし、本場のタイ料理店でもフツーに使ってますからね。
でも、これって、ちょっとズルくないっすか? もう、8割がた、いや9割がた出来てるんですもん。
ざっくり言っちゃえば、このペーストをココナッツミルクで溶いて、具材入れて、ちょこちょこっと調味料入れて、煮込めば完成ですから。
あ、これ、ディスってるわけじゃないですからね(笑)。
全然市販のペーストでイイんです。マチガイナクおいしいですから。
でも、東京カリ~番長リーダーのわたくしが、せっかくマッサマンカレーの作り方を載せるんですよ。
ここは市販のペーストは使わずに行きたいですよね。
とは言っても、本場の本格的なレシピは、食材的にかなりハードルが高いので(だって、カピとか、レモングラスとか、ガランガルとか、エシャロットとか、バイマックルーとか……無理でしょ?)、今回も、スーパーで比較的手に入れやすいものだけで作れる、お手軽マッサマンカレーです。
お手軽でも、本格的な味! これが作れれば、「マッサマンカレーが作れる!」と胸を張ってOKです!
ということで、今回もいってみましょう!
でらいつカレー! お手軽自家製マッサマンカレーの巻!
「マッサマンカレー」の材料
今回使う食材はコレ!(詳細レシピは最後に掲載します。)
材料(2人分)
- 鶏もも肉:250g ピーナッツ:15g(16~18粒)
- 玉ねぎ:小1個 ココナッツミルク:250ml ジャガイモ(メークイーン):小2個 ライム:1/2個
- カレーパウダー:大さじ1 赤唐辛子(鷹の爪):2本 にんにく:2片 しょうが:1片
- 砂糖:大さじ1 干し海老:小さじ2 イカの塩辛:小さじ2 ナンプラー:小さじ2~(適量)
何と言ってもこれですね。
この三点セット「イカの塩辛」「干し海老」「ナンプラー」は欠かせません。
あとは、ピーナッツとジャガイモ、ライム(レモンでもOK)、そして砂糖です。
これらが揃えば、ほぼマッサマンカレーになりますよ。
ナンプラーが無いな~という方は、「しょっつる」とか「いしる」とかなら、まーなんとか代用になるかな……って、そっちの方が持ってないか?
ん~、ナンプラーはかなり大事な要素なので、代用とか考えず、是非とも入手してください!
「マッサマンカレー」の下準備
いつもの通り、スムーズな調理のため、下ごしらえをしましょう。
にんにく、しょうがを潰して粗みじんぎりにする。
【1】 包丁の腹で潰す。
【2】 にんにくは比較的簡単につぶれるが、しょうがは1片を半分に切ってからの方が潰しやすい。
【3】 ザクザクと粗く切る。
【4】この程度でOK。
※ 包丁の腹で潰すときは真上から体重をかけましょう。中途半端に手の力だけで潰そうとすると包丁がずれて危険です。あと、包丁とまな板と手は濡れていると危険です。水気はきっちり拭いておきましょう。
玉ねぎは1/4個を粗みじん切り。3/4個をざく切りにする。
【1】 繊維方向に3~4本切り目を入れる。
【2】繊維と垂直方向に切る。
【3】 根の芯部分を切り落とし、繊維と垂直方向に半分に切る。
【4】ざく切りする。(4~5等分)
じゃがいもを一口大にきる。(【1】【2】)
ライムの皮をみじん切りにする。(【3】【4】)
【1】じゃがいもの皮をむき、縦に半分に切る。
【2】横にして3等分に切る(=1個で6等分)。
【3】ライムの表面をしっかり洗ってから、皮を削ぎ切る。
【4】みじん切りにする。
カレーペーストを作る。(【1】~【6】)
ピーナッツを乾煎りする。(【7】【8】)
【1】にんにく、しょうが、玉ねぎ、ライムの皮、干し海老、イカの塩辛をミキサーに入れる。
【2】ミキサーをかける。
【3】割った赤唐辛子(種ごと)を用意。
【4】そこにカレーパウダーと塩(小さじ1/3)を加える。
【5】しっかりミキサーにかけて……
【6】滑らかなペースト状にする。
【7】 ピーナッツを表面にほんのり焼き色がつくまで乾煎りする。(※乾煎りの時の火加減は弱火)
【8】 黒焦げにするのはNG。
※ ミキサーにかけるときは、少量の水(30cc程度)を加えると回しやすいです。もちろん、ミキサーではなく、フードプロッセサーを持ってる方はそちらの方がベターです。
【1】~【6】の行程は、一度にすべての食材(にんにく、しょうが、玉ねぎ、ライム、干し海老、イカの塩辛、赤唐辛子、カレーパウダー)をミキサー(フードプロセッサー)にかけてもOKです。
準備ができたら、調理の開始です
いつものように、ちょっと深めのフライパンで、できるだけノンスティック加工(くっつかないヤツ)のものを用意してください。
フライパンに調理油(大さじ1.5)を弱めの中火で熱する。
カレーペーストを加える。
油を熱したところに加えるので、入れた瞬間ジュワッとします。油の飛びはねに注意してください。
カレーペーストを炒める。
この時の火加減は弱中火~中火くらいです。
最初は油の中で動かさず、30秒ほど放置してください。
30秒ほど放置したら、油としっかりなじませて炒めていきます。
ペーストの水分が多いうちは、あまり動かさずに10秒に1回全体をかき混ぜるような感じで炒めていきます。
「でらいつカレー」の連載を読んでいただいている方ならもう覚えたと思いますが、玉ねぎ炒めの基本テクニック、「放置して、動かす」 これをペーストづくりのときにも応用します。
※ ポイント:にんにく、玉ねぎの青臭さがなくなるまできっちり炒めましょう!
ペーストの水分が少なくなってくると焦げ付きやすくなります。
このくらいになってきたら、常に動かしながら焦げ付かないように炒めていきましょう。
フライパンを傾けたときに油だけがタラーっと流れ落ちて、ペーストはその場にとどまるくらいまでキッチリ水分を飛ばします。
この写真のペースト、赤唐辛子の破片が見えますね。これ、ミキサーのかけ方が甘かった証拠です(笑)。
あまりよくない例ですね。みなさんはこうならないよう、ミキサーは十分にかけてください。失礼しました~。
鶏もも肉を加える。
皮はついたままでもOKですが、皮のクニュクニュが苦手、とか、カロリーを低く抑えたい、という方は取り除いてください。
肉の表面が白くなるまで炒める。
この時の火加減は弱めの中火くらいです。
ペーストが焦げ付かないよう、こまめに肉を動かしながら炒めていきましょう。
ココナッツミルクを加える。
ココナッツミルクを加えたら、若干火加減を強めます。強めの中火くらいにしてください。
ココナッツミルクを加えたら、沸騰するまで火にかけてください。
この時の火加減は強めの中火です。
水(100ml)を加える。
カップの水、ココナッツミルクを計量していたカップにそのまま入れたので、若干白く濁ってますね(笑)。
ジャガイモを加える。
水を加えたらすぐに入れてください。
玉ねぎを加える。
ジャガイモに続けてすぐに加えます!
ピーナッツを加える。
玉ねぎの後、間髪入れずにすぐ加えます! すぐにっ!!
ま~、結局のところ、1種類づつじゃなく、「じゃがいも」「玉ねぎ」「ピーナッツ」をいっぺんに入れろってコトですね。
全ての食材を加えたら、一度しっかり沸騰させる。
この時の火加減は強めの中火のままです。
ナンプラーを加える。
砂糖を加える。
ライム果汁を加える。
ライムの代わりにレモンでもOKです。
酸味の強いほうが好みであればレモンの方がよいかも知れません。
その時は、下ごしらえの時のライムの皮もレモンの皮でOKです。
マッサマンカレーにおいて酸味は重要な要素です!
必ず入れましょう!
弱火で15分ほど煮込む(フタはしない)。
これももう覚えていただいたと思いますが、煮込むときの火加減は「弱火」が鉄則です。
「強気で炒めて、弱気で煮込む」(強気=中~強火/弱気=弱~ごく弱火)
これ、カレーを作るときの基本です。覚えてくださいね。
最後に塩加減を調整して完成です!
塩ではなくナンプラーで調整するのがオススメです!
さー、温かいご飯にドバっと盛り付けましょう!
彩りにミントの葉とか、置いちゃいましょうか。
簡単自家製マッサマンカレーの完成で~す!!
赤唐辛子のキリッとした辛さとココナッツミルクの風味、その奥に隠れているイカの塩辛と干し海老、そしてナンプラーのうま味。そこに、ピーナッツのコクが加わり、それをライムの酸味がまとめる。
辛味・うま味・コク・酸味が絶妙なバランスで、市販のカレーペーストを使って作るマッサマンカレーに勝るとも劣らない、美味!
あ~、これなら「世界一おいしい食べ物」って言われても……いっかなぁ(笑)。
いざ、実食!
煎ったピーナッツがいいアクセントになっています。
気が付けば、もう最後のひと口。
2人前作ったけど、ひとりで全部食べちゃいた~い!
おさらい
簡単自家製マッサマンカレー材料(2人分)
- 鶏もも肉:250g
- ピーナッツ:15g
- 玉ねぎ:小1個
- ココナッツミルク:250ml
- 水:100ml
- ジャガイモ:小2個
- ライム:1/2個
- カレーパウダー:大さじ1
- 赤唐辛子(鷹の爪):2本
- にんにく:2片
- しょうが:1片
- 砂糖:大さじ1
- 干し海老:小さじ2
- イカの塩辛:小さじ2
- ナンプラー:小さじ2~(適量)
- 塩:小さじ1/3
- 調理油:大さじ1.5
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- フライパンに調理油を弱中火で熱する。
- カレーペーストを加え水分がなくなるまで炒める。
- 鶏もも肉を加え、表面が白くなるまで炒める。
- ココナッツミルクを加え一度沸騰させる。
- 水を加え、ジャガイモ、玉ねぎ、ピーナッツを加える。
- ナンプラー、砂糖、ライム果汁を加え沸騰させる。
- 弱火で15分ほど煮込む。
- ナンプラーで塩味を調え完成。
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最後にワンポイント!
味の塩加減は、ナンプラーが決め手!
分量を調整して、自分好みの味に仕上げましょう!
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どうです? マッサマンカレー、ホント簡単でしょ?
全く作ったことがない人も、市販のペーストでしか作ったことがない人も、
ぜひ試してみてくださいね!
※この記事は2017年1月の情報です。