15年ぐらい前だったか。
とある業界団体のパーチーがあって、
カメラマンさんと取材にいった。
*
こうもんみえても、超絶人見知りなので。
パーチー的なものは、とくに苦手で。
「仕事だからしようがない」ってんで
必要最低限のことだけをして。
あとはカメラマンさん以外、
誰ともいっさい会話をしなかったんだが。
そういうとこでこまめに名刺交換とかして
名前だけでも売りこんどいたら
新しい仕事につながる
なあんてこともあったのかもねん。
*
そのときは、とにかく。
「そういうのどうでもいいから
一刻も早く、この場から離れてえんだ」
って気持ちでいっぱいいっぱいだった。
とか、どうでもいいな。 措きまする。
*
カメラマンさんは。
「必要最低限の仕事」以外に
挨拶が終わったお偉いさんとか、
ご歓談してる参加者とか、
いわゆる捨てカットを撮ってまわってる。
*
「捨てカット」ってのは。
必ず撮っておくべきカットのほかに
紙面をつくってて、埋め草っていうか
「ちょっとこういうの入れたいなあ」
ってなったときのために撮っとくもので。
パーチーなら、そういう
歓談の様子がちょっとあれば
全体のふいんきが伝わりやすくなるとか。
たとえば、古民家でグラビア撮影があったら。
水着のチャンネーのほかに
柱の傷とか花の一輪挿しを押さえとく。
窓ごしの青空を押さえとく。
そういうのがポッとあったりすると
なんとなく収まりがよくなる。
そういうもので。
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話の本筋とは関係ねえ捨てカットの説明を
なんでこんなにていねいにしてるのか
じぶんでじぶんがワケワカメなんだが。
しかし、「捨てカット」って
ひでえネーミングだよな。
*
。。。
*
おれがそんなん感じで。
「話しかけたらぶっころす」
的なオーラを出してる横でw
あいそよく撮影してるカメラマンさんには
話しかけてくるひともいるわけで。
何人か、 写真が趣味っぽいひとが
「どんな機種つかってるんすか?」
「レンズは何を?」
「どういうセッティングで?」
「ほかにはどういう仕事してんすか?」
とか、興味しんしんに訊いてきて。
カメラマンさんは
それにていねいに答えてる。
*
あとで。
「写真すきなひと、けっこういるんですね」
って話したら、そのカメラマンさん。
「ああいうふうに話しかけてくるひとって、
えてして、写真よりカメラがすきなんですよね」
ほほう。
「なんとなく話を合わせますけど。
ぶっちゃけ、ぼくもカメラのことは、
よく知らないっていうか、
あんま興味ないんすよ」
むうん。
そんなもんなんすかね?
*
そのすぐ後だったか。
学校案内をつくる仕事で、
とある高校にいったとき。
休み時間に校庭で撮影してると。
将来カメラマンになりたいって高校生が
興味しんしんなようすで近づいてきて
そのカメラマンさんに質問してる。
「ぼくの持ってるのの、上位機種だあ」
「さすがプロ。高いレンズ使ってますね!」
「どういうセッティングで撮ってますか?」
「ほかにはどういう仕事してんすか?」
に、対してカメラマンさん。
「そんなことより、
本当にカメラマンになりたいんなら。
安いカメラでも、なんでもいいから
撮りまくったほうがいいんじゃないすかね」
!!!
*
。。。
*
それはたまたまそのカメラマンさんが
そうってだけで。
あまつさえ。
言ってもプロだし商売道具だし
機種とかセッティングとかについての
知識はあるに決まってんだろうけど。
なんつうか、その。
「写真(を撮る)のがすきか。
カメラというメカがすきか」
の違いを識別する? ってのは。
ものすごく興味深いっていうか
いろんな示唆が含まれてる気がした。
*
そのカメラマンさんは、きっと
「写真を撮るほう」なんだろうし、
「他人のセッティング聞いてどうすんのよ?」
なんだろう。
*
マラソンをはじめてしばらくして。
市民ランナーと知り合いになって。
「より時代を先取りした練習方法の研究」
「誰それはこんな練習してるらしいぞ」
「あのシューズ、気になってるんすよ」
「この補給ジェルはすげえらしいぞ」
ってネタが、手を替え品を替え、
次から次へと出てくる出てくる。
コレ。
「写真がすきかカメラがすきか」ってのと
おんなじすたっらくちゃーだな。
おもった。
そんなこと考えてる間に、走れよ。
おもった。
*
ただ、写真・カメラと違うのは。
市民ランナーのばあい。
「写真もカメラもすき」
的なひとの割合が多いってこと。
えてして。
理屈を考えるのがすきなひとは
やたらたくさん走ってて(クソ速いし)
やたらたくさん走ってるひとは
理屈を考えるのもすきで(クソ速い)
と、おもう。
あくまで傾向として。
*
なので。
「弁はたつだけで、結果が伴わない」
と、そこはかとなくバレバレで
わかりやすく浮いちゃうのかなあ。
とも、おもう。
あ、ここでいう「結果」ってのは
「速さ」じゃないっすよ。
いちおう。
ぬおお。
話が隘路につっこんだまま、
戻ってこられなくなったパッターンぽえむ。