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株価ピークから40%下落「関西電力」は買い?なぜいま公募増資?長期投資家が電力株で考えるべきこと=栫井駿介

今回は関西電力<9503>を取り上げます。直近で公募増資を行ったことによって株価が下がっていますが、逆にこれが買いのチャンスだと捉えている方もいるかもしれません。関西電力への投資を考えている方にはもちろん、周辺の電力株に投資をする上でも参考になると思いますので最後までお読みください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

好調からの大幅下落

関西電力の株価は上がってきていました。

関西電力<9503> 日足(SBI証券提供)

関西電力<9503> 日足(SBI証券提供)

しばらく好調を保っていましたが、11月13日に公募増資を発表し、大きく値下がりした状況です。
1,000円くらいのところから2,500円を超えるところまで上がっていましたが、そこからの大幅下落ということで落胆も大きいのではないかと思います。

上がっていた理由

<原発再稼働>

関西電力は福井県に多くの原発を保有しています。
東日本大震災の後、原発が稼働できなくなり、厳しい状況が続いていました。
それがようやく再稼働し始めました。

2021年6月: 美浜原発3号機(40年超運転:全国初)
2023年7月: 高浜原発1号機(40年超運転)
2023年9月: 高浜原発2号機(40年超運転)
2024年5月: 高浜原発4号機

東日本大震災の福島第一原子力発電所の事故の後、原発は電力会社にとって”金喰い虫”になっているのです。

管理が大変で、動いていなくてもコストだけがどんどんかかってくるからです。

ものすごくお金をかけて事故対策も行わなければならず、それでいて稼働できないとなると収益にも反映されなくて、財務を押しつぶしていたところがあります。

しかし、原発が動くとなると、これまでは燃料費のかかる火力発電で補っていたところをコストの抑えられる原子力で安く発電できるということになります。

このことから足元で業績が回復するのではないかといわれています。

<生成AIの発展による電力不足>

生成AIを使用する時には裏で膨大な情報を処理しています。
それをどこで処理しているかというと、サーバーということになります。
生成AIを動かすためには要するにエヌビディアのGPUを動かさなければなりません。
建物の中にこの半導体を使ったサーバーがたくさんあって、それが新しく作られ続けているわけです。
サーバーを動かすためには電気が必要ということで、データセンターには電力の供給をどんどんしていかなければなりません。

当然、電気が売れると電力会社は儲かることになるので、その期待で株価が上がってきた部分があります。
アメリカでもデータセンターが作られていますし、日本にも作られるという期待が上がっています。

さらに、日本は半導体の製造拠点としても注目されています。

北海道ではRspidusの半導体工場が作られていますし、熊本にはTSMCの工場が入っています。

工場を動かすための電気も大量に必要になります。

このことから、今後電力が足りなくなるのではないか、どんどん電気を作って売っていかなければならないのではないか、ということになると必然的に電力会社が潤うことになりますし、電気が原発で作られるとなればコストも低く発電できて強いという見方になります。

アメリカでも電力不足の懸念から電力会社への注目が高まっていて、その流れが日本にも起こると思われます。

発電所はすぐにはできないものなので、今はどちらかというと使う電力を少なくしようということで、省電力の半導体を日本企業を始め様々な製造会社が切磋琢磨して開発を行っています。

Next: なぜ公募増資は今だった?電力会社への投資はアリか、ナシか…

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