道路の側溝に設置する金属製の格子状のふた「グレーチング」の盗難が茨城県内で相次ぐ中、スマホで位置情報を把握できる小型機器を活用した稲敷市の対策が効果を上げている。財布などを紛失した際に見つけやすくする用途の製品を、職員のひらめきで試しにふたに取り付けたところ、設置当夜に盗まれ、犯人逮捕につながった。(佐野周平)
◆まさか…震える手で110番
「あれ?」。6月のある夜、市の職員が自宅でスマホを見て、驚いた。グレーチングに取り付けた小型機器の位置情報が、画面の表示では本来あるべき場所から十数キロ離れた阿見町に移動していた。
市はこの日と前日に、盗難が相次いでいた地区のふたに機器を設置したばかりだった。「まさか、その夜に盗まれるとは」。職員は震える手で110番。盗難を察知した市は県警と連携して追跡し、盗まれた12枚のふたは最終的に土浦市の金属買い取り業者の敷地内で見つかり、容疑者の男2人の逮捕にもつながった。
◆1カ月弱で63枚も被害
小型機器は、米Apple社製の「AirTag(エアタグ)」で、直径3センチの円形、厚さ8ミリ、重さ10グラムほど。紛失に備えて財布やバッグなどの中に入れておくのが本来の用途だが、高級車の盗難対策に使う人がいることをインターネットで知った市職員が、ふたへの設置を思い付いた。価格帯は性能などに応じてさまざまで、市が使っている機器は1個約5000円という。
市内では5月中旬以降、グレーチングの盗難が相次ぎ、1カ月弱で63枚が盗まれた。位置情報を把握するためには、AirTagの周囲にiPhoneなどApple社製のデバイスが存在する必要があるが、防犯カメラの設置といった一般的な対策に比べて低コストで済むこともあり、試行的に導入した。
市内では5月中旬以降、グレーチングの盗難が相次ぎ、1カ月弱で63枚が盗まれた。位置情報を把握するためには、AirTagの周囲にiPhoneなどApple社製のデバイスが存在する必要があるが、防犯カメラの設置といった一般的な対策に比べて低コストで済むこともあり、試行的に導入した。
◆迷いもあったが…あえて「手の内」を周知したのは
市によると、6月に設置を始めて以降の被害は、7月の2枚にとどまっている(26日現在)。AirTagが直接的な原因かどうかは不明だが、被害件数は激減している...
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