米不足では収まらない。
食料自給率の国比較 農水省「食糧需給表」より
そもそも日本は農作物の中で米の自給率はほぼ100%で特に高いのです。米以外で自給率の高い農作物は(あくまでカロリーベースの自給率です。食料危機の議論において、生産額ベースの自給率は意味がありません。)イモ類、野菜、キノコ類が70%を超えます。鶏卵も95%程度。鶏肉65%程度、牛乳・乳製品は60%程度、魚介類も50%程度です。それ以外は50%に満たない低い数値で、総合食料自給率はここのところずっと40%を切って38%程度です。しかしその数値は、甘過ぎる見積りなのです。肥料や飼料まで含めれば自給率はもっと下がり、穀物自給率は30%未満となります。 日本は化学肥料の原料である、リン、カリウム、尿素もほぼ全て輸入に依存していますが、その化学肥料を使った慣行農法が99%以上なのです。
野菜の自給率は80%と発表されていますが、野菜の種はほとんどがF1であり輸入されているのです。輸入されたF1種で作られた野菜が9割を超えるのです。だから種から肥料まで100%国産の有機農法による野菜は 10%にも満たないのです。
同様に、95%以上という高い自給率が発表されている鶏卵も、餌やヒナが輸入されている分を国産に含めずに、ヒナから餌まで純国産とした場合の自給率を考えれば、自給率はほんの数%(5%未満)なのです。
現在日本で「安全保障」と言えば、軍事面ばかりが強調されています。当然のことながら、武器をたくさん持っていても、食料がなければ国民の安全は保てません。武器より食料が優先されて然るべきです。
日本の食料自給率の推移 農水省HPより
日本政府は、アメリカの食糧戦略に対する忖度(半命令)や、日本の自動車産業などの企業の輸出戦略などにばかり力を入れてきたのです。その結果、蔑ろにされ続けてきた日本の食糧安全保障は砂上の楼閣、風前の灯火状態なのです。飢餓は日本の直ぐそこまで迫っているのです。
<主な参考website>
1.農林水産省 世界の食料自給率
2.農林水産省 食料自給率のお話
3.農林水産省 お米と食糧安全保障
4.長周新聞 店に行ってもコメが買えない!
5.長周新聞「食料危機にいかに備えるか」
6. 長周新聞「世界で最初に飢えるのは日本――食の安全保障をどう守るか」
7.農林水産省 世界の食糧需給の動向
8.農業ジョブ 日本の「食料自給率」を解説
にほんブログ村
- 関連記事
-
- 食料供給困難事態対策法 2024/10/17
- 米不足では収まらない。 2024/09/19
- 百姓は元々全ての人々 2022/12/13
- 自然農法の似合う果樹 2022/12/05
- 家庭菜園如きで黒マルチ 2022/08/11
- マルチ 2021/05/17
- 農村の再生は困難ではない。 2021/01/23
- 専門農家の作ったミニトマト 2020/07/24
- 家畜の餌 (& 書評) 2014/10/11
- 米粉の活用 2014/09/17
- 一粒万倍 2014/04/23
- 農業の近代化 2013/07/05
- シュマイザー裁判 2013/06/23