脱原発こそ脱経済成長の象徴
原発の導入は、軍事転用が一番の目的であった事は公然の秘密ですが、軍需産業こそ、資源の浪費による経済成長の典型例です。その軍事利用の為に「核の平和利用」という名目で必要のない原発を導入して資源を浪費して来たのですから、資源とエネルギーの浪費による経済成長に繋がって来ました。そう、不必要な事でも経済活動が増えれば『経済は成長』なのです。・・・GDPの増加で経済成長を定義している段階で、『経済成長』主義は破局に向かう愚かな思想であるのです。
だからと言って、「原発が戦後の日本の高度経済成長の牽引になった」・・と言う主張には、簡単には賛成出来ません。何故なら、そう表現する場合、原発の生み出す膨大な電力が、様々な産業で必要とされる電力を賄ってきた・・・というニュアンスで述べられるからです。それは間違った認識、若しくは推進派の意図的な嘘でしょう。何故なら、戦後の日本は、政策として発電能力を増やして来ました。原子力発電所ばかりでなく、火力発電所、水力発電所もどんどん作って来ました。その結果、常に発電所は余っていたのです。原発がなくても、日本の産業界と一般家庭が必要とする電力は十分に供給出来たのです。現実的には原子力発電のコストが一番高いのですから、寧ろ原発がないほうが、安く電力を供給出来た筈です。
一方、原発ははじめから不要であり、不要なものを作る事や使う事でも、ある一定の期間・・・破局を迎えるまで・・GDPの増加=経済成長 に貢献しますから、その部分だけ考えれば、 皮肉な意味=資源の浪費を拡大すると言う意味 に於いて原発は十分に経済成長に貢献してきたとは言えるでしょう。
現在、原発の存在意義は、本質的には身勝手な原子力邑の利権のみの為です。「原発が国民にとって今現在何故必要か?」・・・と問われれば、原子力関連の企業で働いている人の雇用の確保の為・・という理由しか残りません。つまり、【パーキンソンの法則】よろしく、不要な原子力産業をどんどん大きくして、全国17箇所に57機もの原発を作ってしまったばっかりに、そこで働く雇用が生まれ、拡大し、雇用の為に原子力産業が必要とされてきた・・・と言う構造です。これぞまさしく、破局へ向かって突き進む愚かな経済成長路線のステレオタイプの構造です。だから、原発は、経済成長の大きな象徴と言えましょう。
脱成長を目指すにあたって、脱原発は避けて通ることの出来ない、一刻も早く達成しなければならない大きな関門と言えましょう。
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