野球が大好き。プロ野球が大好き。生まれ変わったら絶対野球選手になりたい!(^^♪今年のペナントレースも早や交流戦が始まり盛り上がっているよね。
さて、選手時代から大好きだったのが、中日ドラゴンズの落合博満監督。スポーツグラフィック「Number」誌の「名将の言葉学」という特集に掲載されている。言葉といいながら、落合監督の「沈黙」に焦点を当てているのだが、これがまた深イイのだ。そのエッセンスを紹介しよう。
ベンチでは、いつも無表情を貼りつけている。ホームランが出たところで、そのメモとも口元も微動だにしない。勝っても負けてもコメントの少ない「記者泣かせ」と言われる監督会見は、もう当たり前の風景となった。中日ドラゴンズ監督就任以来7年間すべてAクラスで、優勝3度、日本一1度。現代の名称に数えられる落合博満監督に、およそ「言葉」のイメージはない。だが、舞台裏ではそのひと言が選手を成長させ、チームの秩序を保つのに大きな役割を果たしている。70人近い支配下選手の中で、落合の言葉を聞く選手はそう多くない。
昨季、日本記録となるシーズン59ホールドポイントを達成した浅尾拓也は、マウンドで初めて落合から声をかけられた。、8月12日の横浜戦、1点リードの8回、微妙な判定で無死一塁となった場面だ。
「この回は、お前に任せた」
監督に認められた…その言葉は若者に十分すぎるほどの自信を与えた。浅尾は昨季、勝負の行方を左右する修羅場を70試合以上も くぐり抜け、防御率も1.68と自身最高の成績を収めた。
落合は選手個々の性格、チーム内における立場によって言葉の数や種類を使い分ける。ただ、その口から発せられる言葉には共通項がある。
常に「情」ではなく「理」なのだ。落合は「頑張れ」とは言わない。その代わりに放った言葉がこれだ。
「心は技術で補える。悩むのは技術がないからだ」
昨季、セ・リーグMVPを獲得した和田一浩は、立場を超えて議論できる唯一の選手だ。
「監督が話してくれるのはいつも理論です。物事には順序があるように、打撃にも順序があるということなんです。今は監督の言葉を信じてやっています。感覚ではなく、理論で言ってくれる。三冠王を三度もとった人はいないわけですから」
言葉と同様か、あるいやそれ以上に指揮官としての力になっているものがある。落合が発する短い言葉をより深く重く、強くする―それは「沈黙」だ。 〜中略〜
2004年、監督就任直後の落合は、コーチ陣にあるルールを徹底するよう求めた。
『こちらから選手を指導してはならない。選手が助けを求めてきた時に初めて指導すればいい』 『コーチと選手が一緒に食事に行ってはならない』
近年では、選手の方を抱き、悩みを聞いて励ます、いわゆるファミリー型の指揮官が目立っているが。落合の考えはまったく反対だ。おそらく言いたいことは山ほどあるだろう。選手が不満を抱けば、それも察知しているはずだ。それでも沈黙を貫く。無口なのでない。あえて黙する。それがチーム内の馴れ合いを排除し、緊迫感を生む。選手を考えさせる。その結果、自主性(=オレ流)が生まれる。この緊迫感、野球への真摯な姿勢こそが常勝軍団の礎だ。それを築いたのは、指揮官が発する「理」の言葉の数々とその前後に横たわる「沈黙」。これこそ落合博満の「言葉の力」である。