歴代ヒットランキングとは、その名のとおり複数年以上に渡って網羅的に各種ヒットデータを集計し序列化することで、分かりやすく歴代人気コンテンツを上位表示したランキングを指す。しかし実際には、網羅性の棄損などによる欠陥を抱えたランキングがこれを自称する不適切なケースが後を絶たない。
この問題意識を踏まえ、本記事では適切なプロセスで歴代アーティスト・トータル・楽曲人気ランキングを作成したらどのような結果になり得るのかをシミュレーションし、一例として提示する。先に結果を示すと、そのTOP50は以下のとおりとなった。
歴代楽曲人気指標
このランキングを作成するにあたって用いられるべき指標は以下のとおり。
- フィジカルシングル売上
2000年代中盤までの楽曲聴取方法の主流
- 着うたダウンロード売上
2000年代中盤の楽曲試聴方法の主流
- フル配信ダウンロード売上
2000年代後半~2010年代の楽曲聴取方法の主流
- MV再生回数
2010年代以降の楽曲視聴方法の主流
歴代アーティスト・トータル・YouTube再生回数ランキング(日本国内)
- ストリーミング再生回数
2010年代後半以降の楽曲聴取方法の主流
歴代アーティスト・トータル・ストリーミング再生回数ランキング
ランキング作成方法
ここでは各アーティストの楽曲人気総量を計ることに注力している。他にもアーティスト人気を計る指標は数多く、ここで示す結果はその中の一面に過ぎないことには留意していただきたい。参照する指標や作成方法は基本的に先に作成済みの歴代ヒット曲ランキング(以下記事参照)のそれと同じである。
そのうえで数点を再掲・補足する。
- 各指標間の換算式は、「シングル10万枚=着うた50万ダウンロード=フル配信10万ダウンロード=MV・ストリーミング5,000万再生」としている。根拠は日本レコード協会(RIAJ)の各指標認定基準の下限値である。各指標においてこの式で挙げたボーダーを超えて初めて日本レコード協会から認定が授与されることを踏まえれば、これがヒットしているか否かのボーダーであり、同時に各指標間の換算目安とも言い換えられる。
- 上記ランキング作成目的のため、ここではシングル・楽曲単位の指標を網羅的にピックアップしており、アルバム売上は集計対象に含めていない。
- CDシングル売上は2011年以降楽曲人気指標として一切機能していないため、ここでは2010年までの集計データを用いており、2011年以降の売上は誰であっても集計対象外としている。
- 着うた売上及びフル配信ダウンロード売上はRIAJが公表している認定数を集計している。このダウンロード指標はこれまでTV番組等が作成する歴代ランキングにおいてしばしば無視されてきた。その理由はダウンロード市場全盛当時国内で有名なヒットチャートだったオリコンランキングがこれを無視してダウンロードランキングを作成しなかったからである。この問題は以下記事に纏めている。
- MV再生回数の総量はYouTubeアーティストランキングの週間再生回数の累計で推し量っているが、このランキングは2018/4/27以降の公開となっているため、それより前の期間の再生回数は含まれない。
結果の妥当性の確認
TOP50にランクインしたアーティストをデビュー年別に整理した表は以下のとおり。
見てのとおり、各時代の主要指標を網羅的に集計し偏りなく合算したことで、ランクインしたアーティストが特定の世代に大きくは偏っていないことをこの表から確認できる。歴代ヒットランキングとしての結果の妥当性が確認できたところで、以下よりTOP5にランクインしたアーティストをピックアップして解説する。
TOP5アーティスト解説
1位 B'z
1位は1988年にデビューしたB'z。男性2人組ロックユニットである。各指標のセールス及び再生回数はCD3,486万枚、着うた200万ダウンロード、フル配信310万ダウンロード、MV4.9億再生を記録しており、このうち2010年までの集計でCD売上枚数は歴代1位記録である。これらをポイント化し合計すればセールス3,934万相当となる。その指標別構成内訳を割合表示した円グラフは以下のとおり。
これを見れば分かるとおり、B'zの楽曲人気を可視化する主要構成要素はCD売上である。他方でダウンロード売上でも一定割合を獲得していることは見逃せない。逆にMVは、YouTubeにフルMVを殆ど公開していないため、ポイント獲得割合が小さい。ストリーミングも、全面解禁が2021年とかなり遅い時期だったため、未だポイント化される獲得規模に至っていない。それでも今のところは圧倒的なCDセールスを主力に2位以下に差をつけての総合歴代1位となっている。
次に、歴代1位となるほどの楽曲人気ポイントがどの楽曲によって築かれたものなのかを確認する。同じ計算方法でB'zの楽曲を総合ランキング化し、ミリオン相当以上の楽曲を抽出した表は以下のとおり。
B'zが当時の歴代1位記録である15作ものCDシングルミリオンセラーを輩出したことは有名であるが、他にも2001年発売の「ultra soul」がCD87万枚、フル配信25万ダウンロードの合算でミリオン、2009年発売の「イチブトゼンブ」がダウンロードミリオンを記録していることは押さえる必要がある。よってB'zの楽曲人気ミリオン相当曲数は17曲となる。
1位は1993年に発売された「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」。この曲はCD202万枚、フル配信10万ダウンロードを記録した。CD売上には、2003年に発売された12cmCD再発盤の売上9万枚も含まれる。CD売上の年間チャートでは1993年の2位を獲得している。
表題曲は単発3時間ドラマ『西遊記』の主題歌に起用され、このドラマが視聴率26.9%を記録したこともヒットに一役買っている。しかし何よりも長いタイトルのインパクト、それでいてそのタイトルをサビ冒頭の歌詞に据えたことによる覚えやすさ、タイアップにマッチしたオリエンタルな楽曲の雰囲気が支持されたことによる特大ヒットであった。
この曲はB'z唯一のCD売上ダブルミリオン達成曲としても有名であるが、他にも1995年発売の「LOVE PHANTOM」がCD186万枚、フル配信25万ダウンロードの合算でダブルミリオンを記録していることは押さえる必要がある。「LOVE PHANTOM」もB'zの代表曲として外せない一曲であり、配信では「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」を上回り、CD売上との合計を見るとその差は1万にも満たない超接戦であった。アルバム売上等も考慮すれば、「LOVE PHANTOM」が自身最大人気曲と言ってしまっても良いかもしれない。
3位以下も基本的にはCD売上順に近い並びとなっているが、やはり押さえておくべきは総合5位・売上158万相当のポイントを獲得した「イチブトゼンブ」の人気である。2009年に発売されたこの曲はCD37万枚、着うた100万ダウンロード、フル配信100万ダウンロードを記録し、Billboard JAPAN Hot 100では2週連続1位と2009年の年間1位を獲得するほどの大人気となった。
CD売上だけを見ていては、本曲の人気を大きく過小評価してしまうことになるため、注意が必要である。
ダウンロード売上にフォーカスした当ブログのB'z特集記事↓
2位 Mr.Children
2位は1992年にデビューしたMr.Children。男性4人組バンドである。各指標のセールス及び再生回数はCD2,818万枚、フル配信55万ダウンロード、MV12.3億再生、ストリーミング7.3億再生を記録しており、このうち2010年までの集計でCDシングル売上枚数はB'zに次ぐ歴代2位記録となっている。これらをポイント化し合計すればセールス3,265万相当となる。その指標別構成内訳を割合表示した円グラフは以下のとおり。
Mr.Childrenも楽曲人気を可視化する主要構成要素はCD売上である。他方でそれ以外の構成要素はB'zと大きく異なる。Mr.Childrenは楽曲の着うた・ダウンロード販売を市場全盛期に殆ど解禁しなかったため、それらのポイント獲得割合が小さい。逆にMV・ストリーミングにおいてはそこまで致命的な規模の解禁時期の遅れはなかったため、順当にポイントを稼いでいる。
次に、これらの楽曲人気ポイントがどの楽曲によって築かれたものなのかを確認する。同じ計算方法でMr.Childrenの楽曲を総合ランキング化し、ミリオン相当以上の楽曲を抽出した表は以下のとおり。
Mr.Childrenも記録的なCD売上枚数が有名であり、10作ものCDシングルミリオンセラー輩出もさることながら、うち「Tomorrow never knows」「名もなき詩」の2作がCDダブルミリオンセラーとなったことは特筆すべき点である。しかし他にも1994年発売の「innocent world」がCD193万枚、ストリーミング5,000万再生の合算でダブルミリオン相当となっていることは押さえておきたい。本曲はCD売上で1994年の年間1位となっている。
1位の「Tomorrow never knows」は1994年に発売され、CD276万枚、MV7,000万再生、ストリーミング5,000万再生を記録した。CD売上の年間チャートでは集計割れを起こし、1994年22位→1995年4位と推移した。本曲は最高視聴率18.3%を記録したドラマ『若者のすべて』主題歌。綺麗事ばかりではない達観した生き様に至る境地が、卓越した歌詞表現とサウンド構成によって壮大な名バラードに昇華されており、青春群像劇だったドラマの内容にも嵌ったことで特大楽曲人気を獲得した。
2位の「名もなき詩」もCD230万枚、ストリーミング5,000万再生を記録しており、CD売上では1996年の年間1位を獲得している。
この曲も含め、Mr.Childrenのミリオン相当曲10曲は全て90年代に発売された楽曲となっている。他方で、2000年代以降に発売された楽曲も、「HANABI」等見逃してはならないヒットが記録されている。その詳細は以下別記事に纏めている。
3位 宇多田ヒカル
3位は1998年にデビューした宇多田ヒカル。女性ソロシンガーソングライターである。各指標のセールス及び再生回数はCD1,549万枚、着うた775万ダウンロード、フル配信1,160万ダウンロード、MV9.3億再生、ストリーミング9.0億再生を記録しており、このうちフル配信DL売上総数は歴代5位、着うたDL売上総数は歴代8位となっている。これらをポイント化し合計すればセールス3,230万相当となる。その指標別構成内訳を割合表示した円グラフは以下のとおり。
宇多田ヒカルはCD市場全盛期の1990年代終盤からダウンロード市場全盛期の2000年代後半に人気絶頂を極めていたため、楽曲人気を可視化する構成要素はCD売上とダウンロード売上でほぼ半々となっていることが特徴である。逆に言えば、CD売上しか見ていないと、人気をその半分にまで過小評価してしまうことになるため注意しなければならない。MV・ストリーミングにおいても順当にポイントを稼いでいる。
次に、これらの楽曲人気ポイントがどの楽曲によって築かれたものなのかを確認する。同じ計算方法で宇多田ヒカルの楽曲を総合ランキング化し、ミリオン相当以上の楽曲を抽出した表は以下のとおり。
宇多田ヒカルも5作のCDシングルミリオンセラー輩出などのCD売上枚数記録は有名であるが、「Flavor Of Life」「Beautiful World」「Prisoner Of Love」の3曲がフル配信ダウンロードミリオンを達成していることもCDミリオン記録と同程度に認識しておく必要がある。さらに「First Love」はCD80万枚、フル配信50万ダウンロード等の合算でミリオンを突破しており、これらを総合すると、宇多田ヒカルのミリオン相当曲数は合計9曲となる。
1位は1998年に発売されたデビュー曲「Automatic」。当時まだ15歳でありながら、洗練された楽曲や大人びた歌詞、さらには藤圭子の娘という話題性も手伝ってデビュー作からいきなりの特大ヒットとなった。この曲はCD206万枚、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング1億再生を記録した。CD売上は12cm盤129万枚と8cm盤77万枚の合計であり、別集計となった年間チャートでは12cm盤が1999年の年間5位、8cm盤が同22位を記録した。
2位の「Flavor Of Life」は原曲もさることながら、最高視聴率27.6%を記録したドラマ『花より男子2(リターンズ)』の挿入歌に起用された「Flavor Of Life -Ballad Version-」が劇中で効果的な使われ方をしたことで特大人気を獲得した。原曲を表題、バラードバージョンをc/wに据えたCDシングル『Flavor Of Life』は65万枚を売り上げ、CD売上の年間で2007年の2位を記録。配信では原曲が着うた100万ダウンロード、フル配信125万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生、バラードバージョンが着うた200万ダウンロード、フル配信85万ダウンロードを記録した。当ブログ記事では集計ルール上それぞれの最大値のみを計算対象としているが、もし全てを合計すれば「Automatic」を上回るポイントとなる。
当ブログではもし当時適切な総合楽曲人気チャートが日本に存在していれば本曲が2007年の年間1位になり得たと推定している。
このようにダウンロード売上も漏らさず考慮すれば本曲もダブルミリオン相当・年間1位級特大人気曲であると把握できるのである。
ダウンロード売上にフォーカスした当ブログの宇多田ヒカル特集記事↓
3位の「First Love」はCD80万枚、フル配信50万ダウンロード、MV1.1億再生、ストリーミング2億再生を記録している。こちらはCDとダウンロードではそれぞれ100万未満だが*1、MVとストリーミングで自身最多再生回数となっており、世代を超えた人気となっていることを押さえておく必要がある。
4位 EXILE
4位は2001年にデビューしたEXILE。男性ダンス&ボーカルグループである。各指標のセールス及び再生回数はCD593万枚、着うた1,775万ダウンロード、フル配信2,065万ダウンロード、MV5.9億再生、ストリーミング2.0億再生を記録しており、このうち着うた・フル配信DL売上総数は歴代1位記録である。これらをポイント化し合計すればセールス3,171万相当となる。その指標別構成内訳を割合表示した円グラフは以下のとおり。
EXILEはダウンロード市場全盛期の2000年代後半~2010年代前半に絶頂期を迎えていたため、楽曲人気を可視化する構成要素は着うた・フル配信ダウンロード売上が過半を占めていることが特徴である。CD売上も少なくないポイント割合となっているものの、当時既に市場が縮小していたためダウンロード割合には劣っている。近年は活動ペースが緩やかになっていることから、MV・ストリーミングのポイント割合は小さめである。
次に、これらの楽曲人気ポイントがどの楽曲によって築かれたものなのかを確認する。同じ計算方法でEXILEの楽曲を総合ランキング化し、ミリオン相当以上の楽曲を抽出した表は以下のとおり。
EXILEはフル配信ダブルミリオンを記録した「Ti Amo」をはじめとして合計8曲でフル配信ダウンロードミリオンを記録しており、この曲数も歴代1位記録である。さらに「ただ・・・逢いたくて」「I Believe」の2曲もCD売上との合算でミリオン相当となっており、ミリオン相当曲数は合計10曲存在する。
なおCDシングルミリオンは当時既に楽曲人気とは関係のない訴求方法に拠らなければ達成し難いほどに市場規模縮小が進んでいた。この理由により、楽曲人気を検討している本記事では、2011年以降のCD売上はEXILEに限らず誰であっても一律集計対象外としている。EXILEは2013年発売シングル「EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~」がCDミリオンを記録しているが、これも例に漏れず楽曲人気と全く関係のない要因で達成されたものであるため、本表には当然含まれない。
1位となった「Ti Amo」は2008年発売シングル『The Birthday 〜Ti Amo〜』の表題曲。松尾潔とJin Nakamuraが手掛けたバラードナンバーである。女性目線の報われない恋を描いた歌詞の切なさや格調高く歌い上げるATSUSHIとTAKAHIROのボーカルが支持され、CD32万枚、着うた100万ダウンロード、フル配信200万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録する特大ヒットとなり、2008年の日本レコード大賞も受賞した。
続く2位の「Lovers Again」は2007年発売曲で、CD25万枚、着うた200万ダウンロード、フル配信125万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録しており、合算でダブルミリオン相当の特大人気曲となっている。こちらも松尾潔とJin Nakamuraが手掛けたバラードナンバーである。
3位の「ふたつの唇」も2009年に発売されCD28万枚、着うた200万ダウンロード、フル配信125万ダウンロードを記録しており、当ブログではもし当時適切な総合楽曲人気チャートが日本に存在していれば本曲が2009年の年間1位になり得たと推定している。
そしてなんとこちらも松尾潔とJin Nakamuraが手掛けたバラードナンバーであり、EXILEの人気楽曲TOP3は全てこのタッグによるバラードナンバーとなっている。いかにこのタッグが当時絶大な人気を得ていたのかがこれらのデータから読み取れる。
4位以下は「ただ・・・逢いたくて」、「もっと強く」、「道」と続いており、EXILEの人気楽曲上位6曲がバラードナンバーとなっている。アルバム『EXILE BALLAD BEST』が自身最大売上・Billboard JAPAN Top Albums Salesで2009年の年間1位を獲得したことからも分かるとおり、当時のEXILEのバラード人気は凄まじいものがあった。もちろんダンスナンバーも確かな大人気を獲得しており、7位以下には「I Wish For You」、「銀河鉄道999 feat. VERBAL (m-flo)」、「Rising Sun」、「I Believe」と続いている。このようにダウンロード売上を見るとEXILEの数々の大ヒット曲の人気実態が適切に把握できるのである。
ダウンロード売上にフォーカスした当ブログのEXILE特集記事↓
5位 浜崎あゆみ
5位は1998年にデビューした浜崎あゆみ。女性ソロシンガーソングライターである。各指標のセールス及び再生回数はCD2,142万枚、着うた900万ダウンロード、フル配信585万ダウンロード、MV5.6億再生、ストリーミング1.5億再生を記録しており、このうち2010年までの集計でCD売上枚数は歴代5位で女性アーティスト及びソロアーティストとしては歴代1位となっているほか、着うた売上総数は歴代6位を記録している。これらをポイント化し合計すればセールス3,049万相当となる。その指標別構成内訳を割合表示した円グラフは以下のとおり。
浜崎あゆみはCD市場全盛期の1990年代終盤から2000年代前半を中心とした活躍を見せていたため、楽曲人気を可視化する構成要素はCD売上が過半を占めていることが特徴である。他方で着うた・ダウンロード市場全盛期の2000年代後半にも一定の存在感を見せていたため、そのポイント割合も無視できない規模になっている。近年は活動ペースが緩やかになっていることから、MV・ストリーミングのポイント割合は小さめである。
次に、これらの楽曲人気ポイントがどの楽曲によって築かれたものなのかを確認する。同じ計算方法で浜崎あゆみの楽曲を総合ランキング化し、ミリオン相当以上の楽曲を抽出した表は以下のとおり。
浜崎あゆみも5作のCDシングルミリオンセラー輩出などのCD売上枚数記録は有名であるが、「evolution」がフル配信ダウンロード売上との合算でミリオン相当となっており、これらを総合すると、浜崎あゆみのミリオン相当曲数は合計6曲となる。
1位は2000年に発売された「M」。携帯電話のCMソングとして大量OAされたことや、孤独な恋を綴った歌詞が高い共感を呼び大ヒットした。この曲はCD131万枚、フル配信25万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録しており、CD売上の年間では2001年の2位を獲得した。
なおCD売上の自身1位は「M」ではなく『A』であるが、CD以外の指標で「M」が逆転し総合1位という結果となっている。『A』は4曲A面シングルであり、ミニアルバム的お買い得感から売上を伸ばした側面が大きいと思われ、実際に収録曲4曲は何れも殆ど代表曲扱いされる場面が無いどころか、4曲のうちどれが収録曲中最大人気となっているのかすら定かではない。ここではYouTubeに公開されているライブ映像の再生回数から「Trauma」としている。
3位の「SEASONS」はCD136万枚、フル配信10万ダウンロード、ストリーミング5,000万再生を記録している。年間では2000年の5位を獲得した。
4位の『H』は3曲A面シングルであり、『A』同様の分かりにくさを抱えているが、それでもこちらは収録曲中唯一「HANABI」が10万ダウンロードを突破しているため、『A』よりは収録曲中最大人気曲を導き出しやすい。ダウンロード売上はCD売上だけを見ても分からない人気楽曲の把握を助けてくれるのである。
ダウンロード売上にフォーカスした当ブログの浜崎あゆみ特集記事↓
6位以下
6位以下、TOP50にランクインしたアーティストのうち、個別解説記事を作成しているアーティストに関しては、そのリンクを以下にあいうえお順で並べた。
まとめ
以上が歴代アーティスト・トータル・楽曲人気ランキングを作成してみた結果とTOP5ランクインアーティストの簡単な解説となる。
なお、ここで作成した歴代ランキングは、売上・再生回数・RIAJ認定などの客観的指標に基づいたものであるが、それらを纏めてランキング化するうえでは、どうしても作成者である私の考えが介入せざるを得ない。私にRIAJや各種音楽番組・ヒットチャート作成機関が持っているような権威はない。よってここで示したランキングが絶対に正しいと主張するつもりは毛頭ない。
この記事で私が最も主張したいことはランキングの結果ではなく作成過程に係るものである。すなわち、
- ダウンロード市場全盛時代の楽曲人気を無視する形で当時のヒットチャートが作成された不適切性への認識があるか
- それを踏まえ適切な修正を施した歴代ランキングの作成方法になっているか
という点である。この点を無視した歴代ランキング作成を連発している『歌のゴールデンヒット』等にはこの姿勢が全く見られないため、こうした番組は明確に批判対象となる。逆に言えば、この点が満たされていることが分かる歴代ランキング作成方法になっているのであれば、その細かい順位結果はどうなっていても構わない。
全ての時代にヒット曲と人気アーティストは多様に存在する。ヒットチャートは分かりやすくそれらに光を当てることができる重要な存在である。今後もたくさんの素晴らしい楽曲とアーティストに光が当たっていくことを願うばかりである。
*1:CD売上に関してはアルバムからのシングルカットであったことも影響している