奥泉光の作品だから要注意
2019/08/17 22:47
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校時代に同級生だった天才ピアニスト永嶺修人との思い出を語っていく静かな作品として読み進めていた、ところがである。というか、芥川賞受賞作の「石の来歴」でレイテ島で戦友から「石には宇宙が刻印されている」と聞かされてから石に魅せられた男を主人公として静かな立ち上がりからとんでもない方向に話がいってしまった作者のことだから、こういう結末になることは読者としては予想しなくてはいけなかったかもしれない。それにしても「演奏なんかしなくたって音楽はもうすでにある。演奏はむしろ音楽を破壊し、台無しにする」というのはすごい科白だ。いつか機会があれば使ってみたいがそういう局面はこの先私には訪れることはないだろうが。
流麗な文章とその裏側
2016/03/28 15:15
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投稿者:tsz - この投稿者のレビュー一覧を見る
読後感がなんともいえない一冊でした。
当然シューマンの楽曲を知っていた上で読むとその楽曲分析の興味深さには納得しますが、たとえ知らずに読んでいても文章としての面白さが勝りすらすらと読めると思います。
そしてその文体が導く結末は、予想はされた形ではありましたが、新鮮な読後感へと誘うものでした。
ぼのジャンルが好きな方にもおすすめです。
シューマンを聞きながら読みました
2021/07/09 18:10
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投稿者:美恵子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どう言ったら良いのか、イマイチ分からない。
ただ、シューマンについて、知識がとっても増えたのは確かです。
少し分かりにくい内容ではありますが、ユニークな作品です。
それは、あ、つまりシューマンがキーワードであって、メインのイメージなのだと思います。いえ説明が難しいです。錯綜しながら綴られる文章をシューマンを聴きながら読むのが、多分正解なのだと思います。
うーん、ちょっと合わなかったかな
2017/06/23 13:50
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投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
音楽小説のブックツリーから行きあたり、読みました。芥川賞作家さんですから文体は重た目です。音楽小説としては『蜜蜂と遠雷』の方が、私にはスピード感があって読み易かったです。ストーリーはちょっと私には合わなかったかな。推理小説としてはストーリー展開が見えてしまったので。
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投稿者:magic_flute - この投稿者のレビュー一覧を見る
大好きな作曲家シューマンに纏わる音楽小説と言う事で期待を込めて読み始めましたが、3分の1位で疲れて来ました。せっかく買ったので読まずに捨てるのは嫌だったので我慢して斜め読みしました。その後もまぁ延々と解りづらい固くて重い文体が続いて、最後に至ってはどんでん返しのつもりか、訳のわからない展開に。音楽小説は色々と読みましたがどれもそれなりに面白かったが、今回は大ハズレでした。
タイトルにシューマンとか入れないで欲しかったなあ。
ピアニシモplay
2013/08/08 13:16
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投稿者:123chan - この投稿者のレビュー一覧を見る
サマータイムラグ
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2012/10/16 Amazonより届く。
2019/8/30〜9/1
シューマンを題材に、奥泉さんらしい幻想的なミステリ。最後のヒネリのヒネリまでは想像できなかったなあ。
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シューマンをほとんど知らないためか、解説多彩な文章は興味が寧ろあったが、なんせ一文が長いし読みにくい小説だった。ミステリー的ではあるが若干違和感があるし、不思議な感覚。ただ、疲労が激しい。解説まで理解しにくい点が多く、ついていけず・・・。まだまだ修行不足か?
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面白くなかった。最初から、一つの学校に、そんな生徒いないだろうと、思ってたら、案の定のトリックやった。
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半年くらい前に単行本が出たとき、
何だかすごい面白そう!と
根拠のない期待をして文庫になるのを待ちました。
が、
シューマンと彼の曲のしつこすぎる解説が延々と続き、
中盤からは文字を目で追うだけ…。
最後まで読んだ自分、お疲れ。
肝心のラストも、後書きを読んで
あ〜そういう感じにしたかったのね〜となりますが、
閉まりはするもののカチッといわないなぁこの蓋!
って感じでなんとも…。
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最後の終わり方はなかなかおもしろいと思いましたが、導入の部分でなかなか入っていけない感じがしました。
天才ピアニストが2重人格で、本人はそのことに気づかず、ずっと友人として記述していて話は終わるけど、そのあとのおまけのように妹の手紙によってその真実が明かされるというのは、そういうことだったのか!!とびっくりさせられました。
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後半の展開にやられました。最後にもっとやられました。
ただ、音楽論めいた文章が多いので、クラシック音楽の知識がない方は読み進めるのがツラいかと…
個人的にはシューマンの音楽はこれまであまり聴いたことがなかったので、これを機に聴いてみようと思えるようになりました。
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おもしろかったのはおもしろかったんだけど、なんかしっくりこなかった。
結末(事実?)を知った今、状況を踏まえてまた読んでみようと思った。
それにしても、ピアノの描写?はそんなになくてもいい気がするなあ。
クラシックに興味なかったり、楽譜が読めないひとには前半ツライかも。
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わたしは音楽に疎くて、シューマンの作品について細かーいことを書かれても曲が頭に浮かぶわけでもなく、正直、まーったくちんぷんかんぷんだったのだけど、それでも、あまり嫌ではなくて、奥泉さん特有の、詩的で幻想的ですごく豊かなの言葉を追っていくだけでなかなか楽しい、という感じだった。文体が好きなのかも。
主人公が子どものころからピアノをはじめて先生について音大受験の勉強して、っていうクラッシック界の話も興味深かった(もっと知りたかった)し。
音楽に対する、神々しいような、「敬虔」というような、少しでも音楽というものに近づきたいという祈るような気持ちを主人公が抱くところになんだかすごく感動した。こういうのいいなあと、うらやましいような。
それから、さほど才能がない主人公が、ごく普通の社会生活を営んでよき家庭人となることを肯定されるようなところにも心打たれた。(わたしはもともと、いわゆる無頼派が苦手というか、作家とか芸術家が作品をつくりつつ家庭をもって普通に生活しているときくとなんだかうれしくなる性分でー)。
しかし、そうやって楽しく読んでいたんだけれど、終盤でがっかりした。あの謎解きはなんだか全然すっきりしなかったし、後味も悪かった。まあミステリだからそういうものかもしれないけど、なんだか「だまされた」って気分で。楽しかったのにこういう結末?みたいな。(すみません、個人的に、ハッピーエンド好きなものでー)。
……「鳥類学者のファンタジア」のほうが、やっぱり幻想的だったりはしたけれどユーモアもあったし楽しかったし、よかったな。
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音楽と文学、そのどちらの神にも愛され、どちらの愛にも応えようとした作曲家は、まるで二つの神様から同時に両腕を引っ張られたみたいに分裂してしまい、悲劇的結末を迎えた。そうしたシューマンの姿が、作中のピアニストの姿に重なる。
純文学でありミステリーであると評されるこの小説が解き明かそうとしているのは、シューマンの音楽性だとか、事件の真相だとか、そういうことだけではないだろう。
主人公が語る音楽の不可逆性、不再現性みたいなことを「文学」に当てはめてみたときに、また違う読み方ができるんじゃないだろうか。
もしかしたら音楽と文学は、一つのものの別の人格、鏡像、分身、いわゆるドッペルゲンガーみたいなものなのかもしれない。
そういえば、「ドッペルゲンガー」という言葉も、もともとはドイツ語だ。
できれば月の出ている、何の音も聞こえない静かな夜に読んでほしい。
だって音楽はすでにここにあり、いまも聴こえているのだから。