「アマゾン銀行」という衝撃的なフレーズ。冷静に分析・洞察された次世代金融シナリオ。総勢13の次世代金融プレーヤーについての解説。金融はもはや特別でも例外でもない! 著者の『次世代』シリーズ最新版!
2019/04/19 20:54
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投稿者:Cat lover - この投稿者のレビュー一覧を見る
金融からキャリアをスタートし、「ストラテジー&マーケティング」と「リーダーシップ&ミッションマネジメント」を専門とする著者ならではの本書。金融ディスラプターや既存メガバンクを、金融を出自にもつ者の視点から本格的かつ冷静に考察しています。
登場するプレーヤーは・・・
・アマゾン(米国)
・アリババ/アントフィナンシャル(中国)
・テンセント(中国)
・楽天(日本)
・LINE(日本)
・ヤフーソフトバンク連合(日本)
・SBI(日本)
・ゴールドマンサックス(米国)
・JPモルガンチェース(米国)
・MUFG(日本)
・みずほFG(日本)
・SMBC(日本)
・DBS(シンガポール)
金融ディスラプターと既存金融機関の総勢13社。次世代金融産業のランドスケープを広く見渡せる、まさに圧巻です。
序章の「鈴木さんの2025年4月の近未来ストーリー」。「1人ひとりの個性や強み、その人のライフスタイルやワークスタイル、そして信頼という本来最も重要な価値が評価される、新たな金融システム」の一端が東京の四ツ谷を舞台に描かれています。金融産業とは重厚で厳格なもの、ビジネスに変革の波が押し寄せるなかでも金融だけは特別、そんな発想は吹き飛んでしまいます。
お金が価値をはかる尺度であったり、交換・決済機能を持つ限り、金融は厳格なものという思想は変わらないと思っています。しかし、著者は、そのような思想が、不便、時間がかかる、わかりにくいなどの「当たり前だったこと」になっていたとします。そして、カスタマーエクスペリエンスの視点から、便利、時間がかからない、わかりやすい、楽しいなど「新しい当たり前」が次世代金融産業を生き抜くカギとなるとします。
「当たり前だったこと」の変革を迫られるのは既存金融機関。「新しい当たり前」を次世代金融産業に取り込むのがメガテック企業。この両者の戦いを、次世代金融産業を巡る戦いの構図として最初に挙げている点は明快。
「顧客接点やカスタマーエクスペリエンス、顧客との継続的で良好な関係性」は、著者が次世代金融産業を分析・考察するにあたっての最も重要なレンズとなっています。次世代金融産業ではこれを巡る戦いが繰り広げられる。だからこそ、次世代金融産業では「すべての産業の秩序と領域を定義し直す戦い」によって、「金融そのもの」の創造的破壊や破壊的創造を通して、「覇権を握るのは大手金融機関でもテクノロジー企業でもない可能性すらあるかもしれない」としています。
この次世代金融産業の「戦いの構図」のもと、著者が投げかける問題意識のなかで最も納得したのが、「金融はもはや「Duplicate(擬似的に創造)」できる」こと。そう!金融はテクノロジーを使ってもはや擬似的に創造できる。だから、金融は特別でも例外でもない。既存のメガバンクでさえ、金融ディスラプターとのし烈な競争にさらされるのです。
著者は、本書の結びで、序章の「鈴木さん」が利用した金融サービスを「新たな社会における、新たな価値や価値観を表象する、新たな金融システム」として、それを「金融4・0」と呼びます。「金融4・0」では、各プレーヤーには「新たな金融ビジネスにおいてどのような存在となるのか」というグランドデザインが求められる。「金融4・0」の社会は、人が本当に持っている「信頼」が重視され、それが本当に評価される。「金融4・0」では、新たな金融テクノロジーは人が本来大切にしてきた価値や価値観で生きることができるようにすることを支援するために使われるべき。これら主張は、著者のキャリアや専門を総動員した日本への鼓舞にも思えます。
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AmazonやBATそして日本の新興企業の施策を概観するには良い本。が、それぞれの分析はやや甘い気がする。
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AmazonやAlibaba等の新たなプラットフォーマーの出現により従来の金融のあり方が見直されていく事例について考察された書。預金により集めた資金を融資という形で世の中に提供していくという仕組みが、壊されつつあるということが実感できた。テクノロジーの進化に伴い、個人の「身の回りのことをこなす」ことへの要求水準が益々高くなっている中、手続きに数十分を要する銀行預金のあり方は大きく見直されるべきだと感じた。(そもそも預金による調達が出来なければ、満足な貸出の継続が危ぶまれるということに対しては非常に危機感を感じた)
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この本は読むなら早いほうがいいと思いました。
現在進行形で動いているテーマですし、その動きも速いので、どんどん状況が変化していくため、本書に書かれた内容に新規性や発見が無くなる可能性があります。
それぐらい、実態の社会がここ数年でどんどん変化し、変わっていくのだろうとも、この本から読み取れる金融を取り巻く各プレイヤーの熾烈な競争環境を考えると、思いました。
お金の取り扱いについて、一般消費者にとって当たり前に出来ること、便利になることが増える背景に、本書に書かれたような強烈な変革が引き起こっていくのですから、既存金融と金融ディスラプターの覇権争いは、世の中を良い方向へバージョンアップさせる原動力なんだと思いました。
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本書にある既存金融機関で仕事をしている身にとってみると、たいへん難しい課題を次から次へと投げつけられているような、そんな読み方になってくる。このような状況下、変われ変われと言われ続けて、定点にあるものはほぼ否定されて、動き続けることが正解だということなのだろう。ある一点からの変革によってたどりついた場所は即座に否定されるのである。
そういう状況を鑑みると、本書に書かれていることもまた一寸先は闇とも言えるだろう。それぐらいの勢いで変われ変われの課題を投げつけられる。
やはり本書を振り返ってみても思うことは、金融は手段なのだということなのである。手段が目的化した既存の金融機関にとって、その意識を変えることは非常に負荷が大きいことなのだが、そこをなんとかして金融の本筋に戻るしかない。
顧客が経験価値として心から欲するところへ向かうしかあるまい。
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アマゾン銀行の話は少なかったけど、金融機関の行く末を見据えるという意味では参考になった。デジタル化の意味がわかってきた!
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Amazonに限らず、これからの金融を担うのはデジタルに強い企業かと。
10年後にはどのような金融になっているか示唆されていると思います。
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金融がどう変わっていくのか、俯瞰して全体感を知っておきたいと思い手に取りました。
そんな中、フェイスブックのリブラも世界的に大いに注目を浴びて るニュースが報道されたりと、この流れをしっかり把握しておきたいとの思いを新たにするのでした。
そういう意味では参考になりました。
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紹介されている中国IT企業、外資金融などの取組みは参考になった。それ以外は誇大表現による未来予測と、海外事例の礼賛の繰り返し。もう少し短くできたんじゃない?
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金融が果たすべく役割とは何か、本質的な価値とは何かについて考えされる内容だった。
世界最先端のフィンテック大国、中国。
楽天、ライン、ソフトバンク、SBIなどの日本の金融ディストラプター等など興味深く読めた。
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近未来の金融の姿。プレイヤーの紹介。
アマゾン、アリババ、テンセント。
ラクテン、LINE、ヤフー・ソフトバンク、SBI
三メガ、DBS シンガポール。
キャッシュレス、自動化・無人化、シェアリング。
プラットフォーム、UX、DX
Duplicate, 垂直統合、当たり前
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タイトルを見た時は巷に溢れるアマゾン分析本かと思ったが、中国や日本国内の事情も詳しく書かれており(真新しさは乏しいかもしれないが)金融の未来予測について網羅的な一冊。特にシンガポールのDBS銀行の事例は本書で初めて知ったので非常に勉強になった。改めて日本まだまだ遅れてるんだなぁ…
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私は現在金融機関勤めなので、次世代金融がどうのという話は好きです。そして大抵メガバンクなどの既存金融機関はダメな子扱いなので、悲しくなって本を閉じます。
この本で繰り返し述べられているのは、次世代金融においてはカスタマーエクスペリエンス(=UX)が重視され、そのことから必然的に高密度な顧客接点を持つアマゾンなどのディスラプターが金融機能をDepulicate(複製)し、垂直統合していく、という主張です。
個人的には規制当局の対応が焦点かと思っています。ディスラプターになんの規制も行わずに金融機能を委ねてしまうことは、当局及び中央銀行がコントロールできない部分をますます増やしてしまいますから。ただ、例えば日本の金融庁も、当局の役割として、「金融市場の安定と、その健全な発展」と挙げている通り、金融への新規参入に後ろ向きでいるだけでは後者の役割が果たせないため、何らかの緩和措置はとるかと思います。一方で日本はこの手の新技術導入のための措置(サンドボックスなどの)については、例えば民泊やライドシェアへの反応を見る限りでは苦手な印象があるので不安は残ります。
加えて、シンガポールのDBS銀行の取り組みを例に、デジタルトランスフォーメーション(=DX)の何たるかを説明し、フロントのUIやシステムのみならず企業文化に至る骨の髄まで「デジタル化」できるか否かが、今後の既存金融機関の生き残りに大きな影響を与えるとしています。個人的にはDXというバズワードのイメージが掴めて良かったのではないかと思いました。名前がかっこよいので実態が伴わないまま(コンサルに薦められて)中期経営計画に盛り込む企業は後を立たないのだと思いますが、DBS銀行については今後も動向をウォッチしていこうかなと思いました。
星は3にしていますが、次世代金融に係る着眼点を知ることができる良書かと思います。
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Amazonは生活する上で必要な会社だと思います。そんなAmazonが銀行となれば、ますます利便性が増すのでは。
金融機関に勤める者としてメガバンクを脅かす存在が何を考えてどうしようとしているのかが理解出来る著書です。数年すれば間違いなくGAFA、アリババやテンセント、日本ならLINEなどが次世代の金融を担うようになる可能性は高いと思います。
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金融業界がGAFAを中心としたTech企業に侵食され、それに対し金融業界がどのように対応しているのかをまとめた著書。テンセント等の中国企業を含め、昨今の各社の事情が簡潔にまとめられた良書。ただ、新しい発見という意味では少なかった。